ピアノメーカーはたくさんありますが、どこのピアノがお好みでしょうか?
日本だと、ヤマハや河合が多いでしょうか?
ピアノメーカーもなかなか大変なようで
良いものを作りたい、
でも多くの人が楽しめるように価格を抑えたい、
その兼ね合いはとても難しいのだと思います。
世界三大ピアノと言われたメーカー、
スタンウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン。
これらのピアノはとても素晴らしい音がします。
昔は王室や貴族のサロンなどで
行われていたコンサート。
普通のお家とは違う
大きな広間でのコンサートであっても、
現代のような大きなホールとは違います。
そんな大ホールにとても適していたのが、
スタンウェイ。
低音の素晴らしい鳴り、高音の華やかさ、
そしてアクションの性能がとても良いです。
状態の良いスタンウェイは、
鍵盤が指についてくるかのよう。
どんなに素早く連打しても、
しっかりついてきてくれるので、
弾きやすいし、音色も華やかな色で、
反応が良いと弾き手の気持ちを読み取るかのような
反応が返ってきたりします。
そんな楽器と巡り合うと、
楽器との対話のようなものも生まれます。
そんな体験ができたら…とても感動しますし、
幸せな体験です。
大きなホールでも良く響き、
弾きやすいと言うことで、
ピアニストたちに選ばれるピアノです。
スタンウェイならではの良さに魅せられた人は
たくさんいると思います。
でも、ベーゼンドルファーやベヒシュタインも
またそれぞれの音色があり、
同じピアノでも全然違う鳴り方、色、反応があり
こちらもとても魅力的な楽器です。
ホールにこの3つのメーカーの
良く調整されたピアノが有れば、
スタンウェイを普段弾いているピアニストでも
プログラムによって使い分けるかもしれません。
そんなことが可能なら素晴らしいのですが、
これらのコンサートグランドは、
数千万円はしますし、
普通家庭におけるサイズと違って
大きさもかなりあります。
良い状態に保つ楽器保管庫に
大きなコンサートグランドを3台も用意するのは
ホール側にとっても難しいのでしょう。
スタンウェイとヤマハ、
スタンウェイとベーゼンドルファー、
この2つの組み合わせで置いてあるホールは
わりとあります。
ベヒシュタインはなかなか見かけないですが、
この楽器もとても魅力的なので、
もう少し気軽に聴ける機会があるといいと思います。
コンサートというのは、例えプロであっても
緊張したりすることがあると言えます。
人間ですから、何が起きても不思議ではない。
多くの研鑽と経験を積んでも、やはり楽に弾ける楽器、
反応の良い楽器を選びたいと思います。
大ホールでのコンサート、という条件も加味して、
スタンウェイが選ばれることが多かったため、
スタンウェイの一人勝ち?のような状況が
生まれます。
また、戦争の影響もあると言われています。
ヨーロッパは戦争でピアノ工房が破壊されたため、
復興までに時間も必要でした。
スタンウェイはドイツだけでなく、
アメリカにもあったので、
こちらは戦争で被害を受けることもなく
また、アメリカではヨーロッパのように
貴族のサロンのような場所でのコンサートではなく
体育館のような広い場所でのコンサートが
行われていたため、大きな会場で
充分に鳴るピアノが作られたと言われています。
その後ホールにスタンウェイを置くことが多くなっただけでなく、一般の人の練習用のピアノも
スタンウェイモデルの設計が主流になります。
日本のヤマハも河合も、スタンウェイモデルの設計です。
とはいえ、スタンウェイのサウンドベルと言われるあの独特の美しい高音のためのものは、他社にはありません。
この場合のスタンウェイモデルとは、
アリコートという、
響きや音の伸びに関する部分を持っている
と言う特徴があります。
このアリコート、ベーゼンドルファーや、
ベヒシュタインにはありません。
スタンウェイの特徴的な設計です。
ベーゼンドルファー、ベヒシュタインには
それぞれの設計があり、
それぞれの魅力的な音色があります。
いつしか他のメーカーも
このスタンウェイモデルの設計をもとに
それぞれのメーカーで
工夫を凝らしていくことになります。
ヤマハも河合もそうですが、
それぞれ良いピアノを作っていて
世界的コンクールなどでも
選ばれるピアノになっています。
ベーゼンドルファーはオーストリアの
ウイーンのメーカーです。
リストはあの超絶技巧を駆使した演奏をするために、
色々と注文が多かったと言われていますが、
そんな弾き手を満足させるために様々な工夫をし、
また演奏家の支援なども行っていたようです。リストの他にも、ブラームス、ヨハン・シュトラウス、
ブゾーニなど偉大な作曲家、演奏家に
愛された楽器です。
音の伸びが良く、奥深い味わいのある音色はウィンナートーンと呼ばれる
特徴的なものとなっていきます。
低音の響きを良くするために、
通常88鍵のピアノですが、
92鍵、97鍵のものもあります。
(白鍵の部分も黒い鍵盤があります)
丁寧な手仕事で有名ですが、
創業180年で5万台弱制作と、
大量生産の工場で作られたものとは
大きく違っています。(ヤマハは100年で600万台)
音にこだわり、品質にこだわる姿勢は、
経営を圧迫していきます。
現在は日本のヤマハに吸収されて、
経営が立ち直ったと言われています。
素晴らしい名器がなくなることなく
存在しているのは、ヤマハのおかげです。
ヤマハは、ヤマハのピアノを作ると同時に、ベーゼンドルファーも販売しています。
ベヒシュタインは、ドイツ、ベルリンのピアノです。
こちらもリストのお気に入りで、
終生愛用していたと言われています。
私の個人的な感想では、
このピアノは、とても細かい表現に対して
非常に反応が良く、ウィットに富んだ、
魅惑的な音が出せます。
1000人以上入る大ホールより、
もう少し規模の小さな会場で、
お客様のひとりひとりに語りかけるような、
密やかな、そして親密な音楽の
やり取りができる楽器のように思います。
ベヒシュタインは、第二次世界大戦前までは、世界中のコンサートホールに常設されていた
楽器だったようです。
ベヒシュタインは、響鳴板と側板とが、
他のピアノとは違っていて、
その特徴的な設計により
美しい音色を作っていると言われています。
ドビュッシーは、
ピアノ曲はベヒシュタインのためにだけ
作曲されるべきだとまで言っています。
次回は世界三大ピアノ以外の魅力的なピアノについてすこし書きたいと思います。