今夜はナイトサファリ

動物番組ではよく、猛獣類の狩の映像を見ることがある。
ライオンやチーターなどの肉食獣が、
シマウマやインパラといった草食動物を追いかけるシーンである。
思わず、「ああっ！早く逃げろっ！！」と被食側を応援してしまう。
そして、狩失敗といった結果の捕食側の姿が映し出されると、
「ドン臭っ！」と思いながら、その逃げられた相手を見送る後姿が、
なんとも可愛く映るのだ。

今夜はそんなナイトサファリの実演・デモンストレーションが、
つんちゃ劇場で上演された。
舞台は：野球場
出演者は：つんちゃ・黒ネコちゃん
観客は：ワタシ

ナイター設備などない、フツーの公園にある野球場は暗い。
場外の公園の街灯と近隣マンションの明かり、
そして半分の月が、
今夜の照明の全てだ。

そんな暗闇の中、そこだけ墨で塗りつぶしたように黒い一角があった。
子供が忘れていった上着が脱ぎ捨ててあるのか、
それとも買い物用の袋が落ちているのか、
そんな風に思って見ていたら、突然、
地面の匂いを嗅いでいたつんちゃライオンは、
その黒墨目掛けて、猛然と飛び掛った。

次の瞬間、黒い塊は、しなやかに形が伸びたかと思うと、
フェンスに沿って、弧を描くようにすごいスピードで走り去った。
つんちゃライオンは負けじとそれを追うが、
一瞬で勝負はついた。

ネコがつんちゃ如きに捕まるワケはない。
憤まんやるかたないといった表情で、
獲物の消えた方向を見据え、
「あとちょっとだったのに」といった顔でワタシを見やった。
（陰の声：いいえ、つんちゃ、全然惜しくなかったデスから・・・）

しばらく、シッポを斜め４５°の方向に上げ、
戦闘態勢を崩さなかったつんちゃライオン。
「今日はこのくらいにしといてやろう・・・。」
と、言ったかどうか・・・？

つん：どーせ、うちにはガーコくらいしか捕まえられへんよ・・・。


（逃げないガーコが大のお気に入りであるつんちゃ）