ずっと三つ葉が嫌いでした。母の作るみそ汁や雑煮に、よく入っていた三つ葉。その都度箸で摘まんで除けるか、でなければ噛まずに飲み込んでいた。三つ葉に限らずだいたい野菜は何でも全部嫌い、中でも青いのは駄目。一番駄目なのが蕗で、その次ぐらいに嫌いなのが三つ葉。聞けば妻も嫌いだったらしい。
それなのに妻は、最近三つ葉を好んで買ってきては、よく料理に使っている。今日のみそ汁にも昨日の親子丼にも、そしてインスタントのみそ汁にも加えていた。「三つ葉は偉大だ」とさえ言っている妻。「大人の味が分かるようになったんだよ」と、私は言う。五十男と四十女が、今更大人でもないのだが…。