私は誰の許可も得ないで勝手に、あなたの立ち入りを禁じます（!?）

率先して憲法を守るべき人物が率先して憲法を蔑（ないがし）ろにするなど、世の中、「変だよ！」、と言いたいことが多いですが、手始めに日本語文法の乱れから…。

一般人の立ち入りを禁止する看板の決まり文句で、「許可無くして立ち入りを禁ず」という警告文が有りますが、それは文法的に間違った表現だと思います。
即ち、この警告文は、「許可なくして」という連用形なので、「立ち入り」という体言（名詞）には繋がらず、「禁止する」という用言（動詞）にかかってしまうので、この警告文は、「（私は）誰の許可も得ないで（勝手に）、（あなたの）立ち入りを禁じます」という妙な意味になっています。

正しく直すとすれば、「立ち入り」という動作（名詞=体言）に繋げたいので、その前の修飾語「許可なく」は、連体形の「許可無き」でなければならない。つまり、「許可無き立ち入りを禁ず」、或いは連用形を押し通すのなら、「許可無く立ち入る（こと）を禁止する」と書けば違和感なく通じると思われます。

昔の原子力関係の施設は科学技術庁の監督下で上記の警告文はあちこちで見られました。　他方、上記のような日本語文法論は文部省の所掌でしょう。　今や両者は合併しているので、修正するのは容易だと思われるが如何？

この議論は、中学校の国語のAA先生の時間を思い出しながら書いています。そう言えば、冒頭の世界に誇るべき憲法、その遵守義務も、中学校で習いましたね…。

下の写真は、国道245号から見える警告文（2016.02.02撮影）。その名誉のため、施設名はぼかしてあります。