角田光代著「平凡」が面白かった
6つの短編ストーリー。
共通しているテーマは、もしもあの時。
登場人物は誰もが愛おしい
あの時、もし、そうしていなかったら。
あの時、もし、こちらを選んでいたなら。
…人生の岐路での選択
数え切れない分かれ道を選択し続けてきたのが、「今」の私。
無意識に選びとってきたことも、重大な選択をしたことも…。
「今」に不満を抱いた瞬間、「あの時」の後悔が始まる。
あの時、こうしていたら、あれをしなければ…
永遠に続く「たられば」での回想。
単に二択だとしても、その選択が何回あっただろう?
2の何乗を計算すればいい?
ものすごい何通りものシナリオがあったに違いない。
「今」の私は、その膨大な数を分母とした、ただ一つのストーリーを創ってきた
駅ビルのスロットゲームは、1日1回出来る運試し。
ほとんどいつも並んでいる。
ストップボタンはなく、単なる運にお任せしたゲーム。
前の人が5点出し、隣の人が100点を出したりする。自分はハズレ
さっき、階段じゃなくてエスカレーターを使ってここに辿り着いていたなら、私が当たっていたかもしれないのに。
「お先にどうぞ」と譲らなかったら、私が当たっていたのに。
出会う人も、事故も、きっとそんな感じだ。
あと3秒早かったら、事故に巻き込まれていた、とゾッとすることだってある
後悔したあのポイントに戻って、別の道を選択したら、今よりいい人生だった?
…不満がある時は、そう考えるかもしれない。
今、最高に幸せを感じるなら、あの時、この選択をした自分へ感謝するだろう
「今」をどう感じるかで、過去は変わる気がする