ブロックの上を抜く強烈なアタックを打つ（その１・・・アタックとブロックの高低差）

はじめに
ブロックが揃った場合のスパイクに関し、これまでブロック越えのドライブのかかったスパイクを打つ方法と練習についてお話してまいりました。
しっかりとドライブを掛け、若干スピードを落としたスパイクを打つことでブロックの上を超え、エンドラインぎりぎりの所に入るスパイクを打つ方法等について話をしてきたわけです。

それは質問者であるｍａｄａｏさんのリクエストもあってそのような話をしてきたというのもあるのですね。
ところで、ｍａｄａｏさんの場合、最高到達が３ｍ３５もあるというのです。
それを考えるとき、私は、ｍａｄａｏさんであれば、すこし工夫するとブロックを超える強力なスパイクも打てるのではないかと考えるわけなんです。
今日からはそのお話をします。

ブロックとスパイクの高さの違い
下図を見て下さい。
ピンクシャツのアタッカーと緑シャツのブロッカーです。
ボール半分くらいピンクシャツの打点は緑シャツのブロック可能な位置よりも高くなっています。


これ、例えば同じ人がブロックの時とスパイクの時ボールを処理できる高さはどんな感じだろうということで、そのイメージ図なんです。

床に立って、両腕を伸ばしてもらって、右腕だけ伸ばした時の高さと比べてみると、すぐにボール半分くらいはその高さに差が生じることが分かります。
床の上に立って比べてもこのくらいの差が生じるのです。

重心の位置で考えるとその差はさらに広がる
上記の説明では床の上に立って腕を伸ばした場合の差がボール半分くらい生じるということをお伝えしたわけですが、重心の位置を問題にして考えるとさらにその高さに差が生じるのです。

つまり、左腕を胸の前に折りたたむフォームで行うスパイクと、左腕も右手と同じように高く差し出すブロックとでは、体の重心の位置が変わります。

下図のように左手を胸の前に折りたたんだピンクシャツのアタッカーのほうが、両腕を上に伸ばした緑シャツのブロッカーより重心が低い位置に来るのですね。

アタッカーが左腕を胸の前に折りたたまず、さらに下げた状態にしますとピンクシャツのアタッカーの重心はさらに低い位置に変わるわけです。

ところで、ジャンプ動作というのは、この体の重心がどれだけ移動するかということになるわけなんですが、例えばアタッカーとブロッカーが同じ７０ｃｍのジャンプをしたという場合、それは７０ｃｍ重心が空中に上がったということになるわけなんですね。
そこで、この重心がブロッカーもアタッカーも同じように７０ｃｍ空中に上がったと仮定してその時の高さを比べますとですね。
下図のようになります。

上の図と違って重心の高さが一緒（７０ｃｍ上に移動）ということになりますので、
そうすると、左腕を下ろすことによって体の中の重心の位置を下に移動させているピンクシャツの選手のほうが、その分右手の先は高い所に達することとなります。
これで、ブロックした時とアタックをした時の高さには、優にボール一個分くらいの差が生じるわけなんです。

助走の違い
ここに持って来て、トスを予測した状態で助走し思い切ってジャンプしてスパイクを打つのと、相手のセッターがどこにトスを上がるのかを予測しながらブロックに付き、トスを見てから初めて、それを追いかけて、あるいはその場ジャンプでタイミングを図りつつジャンプしていくブロックとでは、ジャンプの高さそのものにも大きな差が生じます。

するといよいよもって、アタッカーのほうがブロッカーよりも高くなるというわけです。

同じような身長で同じジャンプ力を有していても、アタックジャンプのほうがブロックジャンプよりも高い位置に達することができるということになるわけなんです。
これはどのくらいの差が出るのか、皆さん体育館で検証していただくとすぐに分かります。

明日に続きます。