はじめに
昨日までのお話で、概ね私の言う戦略とか戦術とかの意味は御理解いただけたと思います。
もちろん、このような考え方は私が独自に編み出したものではなく、すでにコーチ・マネジメントの本などで、言葉は違えども同じようなことは紹介されておりまして、特に目新しいというものではないのですが、この考え方は当たっているな~と思うものであります。
私の場合、バレーボールのチーム育成を元に話をするので、戦略とか戦術とか言っているにすぎません。
さて、昨日の続きですが、今日はレベルが極端に違うメンバーが集まったらどうするかという話をさせていただきます。
宮崎のチームに集まったメンバー
本年4月末、宮崎のチーム立ち上げに際し集まったのは26人もの選手でした。宮崎県の代表選手の経験を有する者が3人いる一方で、バレーボールの経験は皆無という選手、はたまたスポーツ歴もないという選手、ボールをまともに投げられないという選手や宴会を楽しみに来たという人もいました。
ユニークな正にデコボコチームです。しかし、それぞれの人が私の呼び掛けに対して、それぞれの思いを抱いて集まってくれたのは事実です。
ここは、私も誠実に対応し、それぞれのメンバーを生かす努力をしなければなりません。
もちろん、それをしても、徐々に練習への足が遠のいていく選手が出て来ることも、また、どうしようもない現実ではあるわけですけど…
で、それぞれのタイプの選手にどのようなスタンスで接することとしたかについてお話していきます。別々の目標を与えつつ、チームとして組み合わせられるようにするというのが、ポイントかと思います。
宴会要員への対応
まあ、宴会要員はですね、大丈夫なんです。
鼻からプレーをしようという気はなく、サポーター的存在を目指していますからね。球拾いでもなんでもやってくれます。
ただ、チームを盛り上げようという意図で来てくれていますから「来てくれてありがとう。若手が手抜きしないか、そこで見張っててね。」とお願いすると笑いながら「よしよし、任せておいてください。」ってなことになるわけです。
こういう人も大事にしないといけません。
ハイレベルのバレーボール選手の役割
このメンバーは極めて大事です。この選手の態度や試合での活躍は、チームの育成や練習雰囲気、試合の結果を大きく左右します。
ですから「お前たちを中心にチームを組み立てていくので、お前たちの姿勢次第でチームは強くもなれば弱くもなる。今年は全国行きの切符を取りに行くから、頼むぞ!お前たちの力がないと勝てない!」と、発破を掛けます。
で、このメンバーにはそれぞれのプレーに対する期待はもちろん大きいわけですが、それだけでなく、回りの選手に与える影響についても意識して練習や試合に臨むように言って聞かせます。
幸運なことに、この2名は実にまじめで頭もよく、指導の補助はもちろん、練習場所の調達や用具の管理、試合に行く際の旅行日程調整みたいなことまで、一生懸命やってくれました。
一人は中衛センターの選手(50歳)、もう一人はセンター攻撃をしていた選手(20代)ですが、この2人のサポートが今年のチーム育成の原動力となったのは間違いありません。
この二人には特別な練習メニューも設定しました。
バレーボールは初めてというアスリートへの指導方針
このメンバーというのは、そのほとんどが私が誘ったメンバーであり、その他若干名私が誘ったメンバーに誘われて入部したという選手たちがいました。
柔道、サッカー、バスケット、陸上等のアスリートです。
彼らの不安は「はたして、自分たちにバレーボールができるのでしょうか…・」というものでした。でも、バレーボールに興味は持ってくれているわけです。
そこで、どういうレベルのものをやるのかを理解させるべく、まずは高知で実施した「柔道選手にバレーボールを教えた」ビデオを見せ、ちょっと安心感を与えた後に、福岡時代にブロードや縦の時間差を駆使して全国制覇した時のビデオを見せたのでした。
選手は「これは、やはり無理でしょ・・・」との不安を述べましたが、ここで先ほど見せた高知のチームがこの福岡にデュースにもつれ込む接戦を演じた話をして聞かせたのでした。
種や仕掛けをすれば、こういう面白いことができるということを話して聞かせたのです。
その上で、これらの選手たちに、なぜ私がバレー部に誘ったかについて切々と訴えました。
柔道選手のバランス、身体能力、気迫、これがバレーに向いているということ、軽量級や中両級の選手はかなりすばやい動きをして、パワーがあるので、ボールにちょっと触れるだけでもスパイクに力負けしない頑丈ですばやいレシーバーになれる可能性があるという話をいたしました。
私は柔道場に何度も足を運んで自分の目で見て、そういう動きのできる選手に声を掛けたのであり、自分の目には絶対に間違いはないのだということを説明したのです。
バスケットとサッカーの選手に対しては、球技ということと動く物に対して反応してプレーする競技ということでバレーボールに向いているということ、
特にスパイクやブロックにおいて空中でボールを捕らえる感覚は、
バスケットボールでのジャンプボールやリバウンドを取りに行くタイミングと同じであり、高さを競う点でも合致すること、
サッカーにおいては、センタリングされたボールをヘディングする技術が、手を使わないという点や、遠いところから飛んで来るボールにタイミングを合わせ空中でボールを捕らえるという点で、バレーボールのスパイク以上に難しいと思われ、その技術はそのままスパイクやブロックに生かせると思われることなどを話して聞かせました。
で、最後にこのアスリート達に最も認識しておいてもらいたい事項について説明しました。
それは、選手起用に際して最優先するプレーは、強打のレシーブやスパイクやブロックではなく、とにかくサーブレシーブができる選手を優先してコートに入れることになるということでした。
そして選手には
「実は、君たちがスパイクや強打のレシーブを覚えるのに、大した時間はかからないと思っている。場合によっては、1日でマスターするくらいのセンスを持ち合わせているからだ。そういう選手だけ集めてあるから、間違いなく、そういうことになると思う。そのためスパイクや強打のレシーブができても、それはレギュラーになる条件をクリアーするアイテムとはならないことを自覚しておくこと。で、最優先する技術は何かというと、それはサーブレシーブである。サーブレシーブはとにかくたくさん数をこなして自信を付けて行かないと、絶対にものにできない。それを忘れないように・・・君たちの中からレギュラーを勝ち取るのは、サーブレシーブのできる選手であるということだ。」
と伝えたのでした。
話が終わるころにはどの選手も眉を吊り上げ、闘争モードに入っていました。思ったとおり、ハートも熱い選手たちだったのです。
本日ここまでです。
明日は、いよいよ、運動経験なし、ボール投げできないメンバーへの指導方針についてお話しします。
実は、ローレベルと思われたメンバーの中から一人はレギュラーを勝ち取り、もう一名も交代要員の座を確保し、九州大会でポイントを上げ、全国大会でも勝負どころでコートに入って活躍したのです。
大人になっても、人の可能性というのは分からないものなんですね。
あきらめてはいけないのです。
では、また。
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付録2・・・・当ブログの特徴について
宮崎県出身の転勤族です。鹿児島県、熊本県、沖縄県、高知県等を転々としながら、今年宮崎県に戻ってまいりましたが、宮崎県をはじめ各地で見聞きしたバレーボールの戦術や練習方法等を紹介しています。
カラーシャツ(白シャツ、青シャツ、赤シャツ等色違いのシャツ)の棒人間の図面や動画で分かりやすく説明することを心がけています。
いいスパイクを打ちたい、いいサーブを打ちたい、ブロック上達したい、レシーブ上達したい、とにかくバレーボールで上達したいという方のために、色々な情報交換の場にしたいのです。
柔道選手が柔道着をバレーボールのユニフォームに着替えて活躍した事例等、上達したいという皆さんの期待に沿う記事をアップします。
皆さんには、山本愛さんのように夫婦仲良くバレーを続けられるような環境を目指ざしていただきたく、また、マラソンの有森裕子さんのように、地道に頑張る大器晩成タイプの選手を目指していただきたく、初心者向けの記事や初心者が頑張って記事をアップしたいと思います。
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