現代アート界を牽引するミズマアートの生身のアーティストの方々の息づかいを感じながら、作品やメディアからの情報で固定された先入観を取払い、核心により近づいてみたいという思いがあった。
もう一点は、311直後、アートの役割、意義、社会との関わりなどを真摯に問う姿があったが、三年を経過し、アートに限らず、震災や原発の事が都会ではどんどん風化して行く気配を感じ、そのような事態に対して、楔をうつようなアートの役割があるのではないかという思いがあった。
現代アートの最前線を牽引しているミズマアートのアーティストの方々からその可能性を見いだせるかもしれないと言う期待もあった。
毎回、4人のアーティストの方々が自らの制作の軌跡等を語るお姿に、思いがけないことだが、何とも言えないしみじみとしたあたたかさ、なつかしさ、を感じた。
それと共に、なんて真摯に真面目に創造する事に向き合っておられるのだろうと、勝手に想像していたアーティスト像と対極の佇まいに心打たれた。
青山さんの「両面刺繍で語るジェンダーと労働」、会田さんの「日本的なる物への憧憬と左翼の学者だった父上の血脈」、山口さんが語る芸大ヒエラルキーと美術の二重構造との対峙」、O JUNさん「リアルな現実を妄想し平面化し、固定する」。
傑出した4人のアーティストの方々を創作に向かわせる数ある動機の中から掬いとったひとかけらでしかないが、どなたもが常に同じ所にとどまる事なく、スパイラルに更新し続けており、あたかも21世紀に於いてのネオルネッサンスの騎士であるかのようだ。
「見たい、知りたい、解りたい」その欲望を常に薪と燃やし、これからも最前線を疾駆し続けるだろう。
このたぐい稀なる鬼才たちの才能に生命をかけようと決意した三潴さん、その人も鬼才である事に違いない。
受講前に抱いた二点の思いにある種の解答を受け取った喜びと満足がある。
アートには限りない可能性と広がりがある、これまでのマインドセットをリセットし、あらたな文化文明を築き上げる希望もはらんでいると思いたい。
藝術学舍はその発信基地としての気概を持ってそんな世界が実現するその日まで楔をうがち続けて頂きたいと願う。