一、宗右衛門儀、無宿忠次郎は、所々悪事いたし、兼て御召
捕方厳敷御手配相成候者之段乍弁罷在、懇意を結ば候以来
出人為致、其上同人儀村内溜井浚に事寄、人足溜と名付、
小屋場取立博奕為相催呉候はゞ、てら銭の内を以て、右浚
方割合出金可致旨申聞候を、如何之節と被存承受、夫々対
談取極め、忠次郎より差出候分は、其頃村方小作地所拉致
し居候同人弟同国国定村友蔵より出金之姿に村方へは申成
置、横行に小屋場補理、日々博突為致。迫而右入用とて十
七両請取、猶は忠次郎任頼同村久八外一人方にても博奕為
相催、殊に又八方にて相催候節は、御取締御出役御手配有
之候趣承り、忠次郎え及内通為逃去、右為謝礼金二両貰受
剰へ同人儀村方最寄立廻り居候趣相聞候趣を以て、御出役
道案内之者共行衛御探索方談受候節、忠次郎御召捕相成候
ては、右体同人申合如何之所業に及び候次第も有之犯科難
逃、右は忠次郎身分打隠行衛不相知体に仕成置、万一其砌
御穿鑿厳敷、隠遂候儀難相成次第にも至り候はば、此方の
手順を以て家内引寄差押候趣に申立候ばば一廉の働にも相
成、其身之罪科は宥免可相成と事を両端に量り、道案内之
者には品能及挨拶置、忠次郎儀兼而妾回様に致し置候まち
を呼寄申賺し、竊に忠次郎を家内引囲置、其節土産の由に
て差送候金二両貰受、猶ほ同人貯有之体を見受、飯米をも
為買入、又は捕方御手配無之様御取締御御出役え取成貰候
入用に候杯申成し、猶叉金五両欺取候段、各々役儀をも相
勤候身分別而之義、右始末不届に付死罪被仰付候間、共段
可存段被仰渡候。
宗右衛門が、なぜ死罪に成ったか、人足溜と名付、小屋場取立博奕
為相催、謝礼金二両貰受、金五両欺取が重要ですね。
公共事業を利用して農民に違法な博奕に加えてインチキ博奕で
不法に得た利益に加え収賄、詐欺、忠治を隠匿した事が重要なります。
続く