サンカにという言葉を聞くと ほとんど反射的に三角寛の名前を思い浮かべる方は少なくと、
思いますが、およそサンカなる集団に何がしかの関心をもつ方でその名を知らない人は、
居ないはずです。
サンカを論じた著作物の中で もつともよく知られ かつ他の研究者及び観察者らに深刻な影響をおよぼし、
そして呪縛してきたのが三角の一連の研究書、随筆であったといっても、
まず異存はないところであると思います。 サンカ研究と三角とは それほど分かちがたく
結びついている。その集団の実像は、いまとなっては三角の著書を通じてしか伺えないと
考えている向きもいなお跡を絶っていない様である。好むと否とに係らず、
三角に触れずに、サンカを語ることはできないというのが、この分野における研究の実情では
ないだろうか?
その代表作は「サンカの社会」である。昭和四十年に朝日新聞社から出版された。五年後に三
角は母念寺出版という会社を設立してそこからも同書を刊行したが、 内容、体裁とも全く変えて
いないのに なぜかタイトルだけを「サンカ社会の研究」と少し違えている。
平成十三年に現代書館から、後者の表題で復刻版が出された。
ここからでは、初出の「サンカの社会」を中心に用いることにした。
つづく
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