其れにしても忠治の最期のセリフがふるっている。
死を恐れるどころか、むしろ悦ぶ如く態度である。
逮捕入牢以来、全身全霊で罪を償うことに懸けてきた、忠治の安堵の気持ちの
表れとも知れないが、本当であったのか確信が私はもてない
絶命に至るまでの槍数は、『赤城録』一四度、梅木宿惣左衛門一三度と一度の誤差はあるが、
孰れにせよ、強靭なる生命力である。一槍終わるごとに目を開く傑柱の忠治に、観衆は驚きの
声をあげ、恐怖にとらわれたが、深い沈黙のうちに、それが強い感動に変わっていったのか、
以上の様を、後に様々に解釈し尾鰭が加わり忠治がやがて、
任侠道の英雄に変わっていったのであるが、庶民の願望かも知れない、
次回に続く
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