西田稔の爺(時事)評論

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中国による日本水産物輸入禁止問題で岸田・林政権が譲歩

2024-09-21 14:33:43 | 政治・経済
中国政府による日本水産物の全面輸入禁止措置を解除する方向で日本政府と中国政府との間に合意が成立したと新聞で報じられている。その内容をよく読んでみると、日本側が一方的に譲歩して合意にこぎつけたように見受けられる。どういうことかと言うと、国際原子力機構IAEAによる監視という枠組みの下でという建前を残しつつ、実質は、中国側に独自で処理水(中国側の表現では「核汚染水」)のサンプル採取と分析・公表を認めるという合意である。従来の日本政府の主張では、これは日本の主権侵害に当たるので認められないということであった。今回これを一転して認めるという合意であるから、日本側の全面的譲歩と言わざるをえない。科学的知見と国際的理解に反する中国政府の強引な横車、ゴリ押しに対して日本の岸田総理・林官房長官と外務省が屈服したということになる。

中国共産党政権は、日本政治が政権移行期にある隙をついて容赦なく「サラミ戦術」で一寸刻みに日本の国家主権に対する侵害を仕掛けてきている。中国は最近において、長崎県沖の男女群島近辺で領空侵犯をおこない、奄美大島・大隅半島の近海に測量船を侵入させ、さらには西表島と与那国島の間の狭い水道に空母艦隊を侵入させるなど、一歩一歩と日本の国家主権に対する侵害を推し進めている。上記の事案もその一環であるといえる。
日本の次期政権はこうした中国共産党政権に対して国際的規範にもとづく毅然とした対応を行うことができる政権でなければならない。

兵庫県斎藤知事への辞職勧告と不信任決議案について

2024-09-16 16:27:47 | 政治・経済
兵庫県の斎藤知事に対するパワハラ告発事案の不適切処理をめぐってTVマスコミで連日のさわぎとなり、兵庫県議会でも知事に対する辞職勧告があり、さらには不信任決議案の採択が準備されている。この事件について、兵庫県民の一人として意見をのべてみたい。

この事件の客観的認識としては、野村修二弁護士(法科大学院教授)の見解がバランスのとれたものだと思われる。この事件の背景には県政の改革を急ぐ斎藤知事と井戸元知事の県政を継承したい抵抗勢力とのせめぎ合いがあり、これに根差したであろうパワハラ告発に苛立った斎藤知事が、「公益通報制度」の趣旨にそぐわない処置をおこなった、というところに基本的問題点があると考える。

斎藤知事の改革路線に反対する勢力のワナ(罠)にはまったとみることもできるが、この罠を外す方法が適切ではなかったということになる。パワハラ告発事案に対する法的に正しい対処ができなかったという重大な過失があった以上は、斎藤知事はこれを認めて辞職するのはやむを得ないことであろう。これ以上知事の座に固執するべきではなかろう。県議会を解散させ、多額の負担を兵庫県の納税者に負わせるのは望ましいとは言えない。

自民党総裁選挙立ち合い演説会をTV視聴して

2024-09-12 16:08:48 | 政治・経済
自民党の総裁選挙、立候補者9人がそろって所信表明演説をおこなった、それをTVで視聴した感想をのべてみたい。
最初に登壇したのが高市早苗大臣、得意の安全保障政策をはじめとした具体的政策論や国家観nについて全く述べることなく、党改革論に終始した。作戦失敗ではなかったかなという印象をぬぐえない。残念。

石破茂氏、相変わらず評論家風の話ぶりで、抽象的な問いかけに終始した印象。最悪だったのは、国連の平和維持体制が崩壊したなかで、東アジアにはNATOのような集団安全保障態勢をアジアの国々と一緒に作らなければならない、と述べた。夢物語だろう。それとも、中国を核とする安全保障体制を密かに思い描いているのかな。冗談だろう。

河野太郎大臣が、ちょっと一言だけにせよ、東アジアにける中国独裁政府のやりたい放題の横暴について触れたのは評価に値する。河野太郎は媚中派だという世間の評判を気にしてのことかもしれないけれど。河野太郎氏以外には、今回の所信表明演説で中国共産党支配の巨大国家による東アジアの安全保障危機について触れた候補者はいなっかたように思う。これは中国に対して誤ったシグナルを送ることになるだろう。

経済以外のもっとも重要な課題である憲法改正については、皆さんその必要について述べてはいたが、総理就任後1年以内をめどに憲法改正の国会発議にこぎつけるべく、最大限の努力をすると述べた候補は一人もない。皆さん今の憲法でも日本は生きていけると思っているのかな、残念。

経済政策として非常に重要な規制改革については、河野太郎大臣の演説が抜群の迫力で突破力を感じさせる。小泉進次郎氏のライドシェアよりも河野太郎氏の自動運転システムの規制改革の方が格段に経済成長に影響力がある。


自民党総裁選における候補者たちの主張への疑問

2024-09-07 15:22:53 | 政治・経済
自民党総裁選における立候補者の顔ぶれが出そろいはじめた。まだ立候補を表明出来ていない予想候補者たちを含めて、その方々の主張を私の観点から評価してみたい。
まず、国家安全保障と経済安全保障:
石破茂氏は、憲法改正について、自衛隊の保持を憲法に明記するという自民党の現在に案は不十分であって、憲法第9条第2項(戦力不保持、交戦権否定)の廃止と書き換えを主張している。この主張は正論であり純粋に望ましい。しかし、日本の現下の政治状況において実現は極めて難しい。石破氏はこのような主張を掲げることによって、実質的には早急な憲法改正の実行から逃げているのではないか。実際に、石破氏は、総理になったら直ちに憲法改正に全力で取り組むとは言わず、任期中には改正を実現したいと述べるのみである。本気で取り組む気があるようにはみえない。

小泉進次郎氏は、政治資金問題への取り組みを就任1年目の最大課題にあげ、総理就任後ただちに衆院総選挙の実施を公約の第一に掲げている。憲法改正は一番後に付けたりのように書いているだけで、まるでやる気があるようには見えない。小泉氏は強大な共産党独裁帝国とどのように対峙するのかという、日本にとっての国家安全保障の最大の課題が念頭にあるのだろうか。

つぎに、経済政策:
高市早苗大臣は、担当の経済安全保障については豊富で的を射た主張を展開されているので、信頼できる。しかし、一般経済政策となるとアベノミクスへの思い入れが強すぎるというか、今後の日本経済の運営に不安を感じさせる。アベノミクスは今やその失敗が明らかとなっている。日銀によるゼロ金利政策や国債等の大規模買い入れなどの「異次元の金融緩和」は3年間でデフレ脱却の効果がでなかった時点で終了させるべきであった。10年にわたる異次元金融緩和の主たる効果は日経平均株価の史上最高値に迫る上昇だけであった。雇用はたしかに大きく増加したが、低賃金労働ばかりであった。こうしたアベノミクスをどう乗り越えて、国際的に強い、発展する日本経済を実現するのか、高市大臣にはその見取り図を示すことが求められている。
もう一点付け加えておくならば、選択的夫婦別姓制度について、保守派の高市大臣は反対の立場かもしれないけれど、この制度はあくまでも個々の男女が自由に選択できるというだけのことで、夫婦別姓が家族の伝統的姿を壊してしまうと考える人たちに夫婦別姓を強制する制度ではないのだから、強く拘って反対を唱える必要もないように思う。

小泉進次郎氏の経済政策だが、父純一郎元総理と竹中平蔵元大臣の規制緩和政策の延長線上で積み残し分を片付けるという様子にみえる。それはよいとして、解雇規制の改革と労働時間規制の改革はよほど十分な枠組みを組み立てて実行しなければ、日本社会にとって大変な劇薬になるだろう。総理就任後1年でやり遂げると公約するほど簡単な問題ではない。進次郎氏に分かっているだろうか。純一郎・平蔵コンビが推し進めた派遣労働制度の自由化・拡大は、低賃金・非正規労働者の増加と格差拡大、さらには正規労働者の賃金の伸び率停滞をもたらした。それらの轍を踏まないために、周到な制度設計をしなければならない。


続く


中国軍偵察機による長崎県沖離島の領空侵犯に対する日本政府の対応

2024-09-07 11:29:07 | 政治・経済
先日、中国軍の電子偵察機が長崎県沖の離島・男女群島の領空を意図的に侵犯して偵察行動を行なった。これに対する日本政府の対応には大いに問題がある。林芳正官房長官は中国軍機による「領空侵犯は断じて受け容れられない」「外交ルートを通じて中国側に抗議した」と、いつもながらの「遺憾砲」を淡々として発出した。もちろん中国側は蛙の面に水、馬耳東風と受け流したのもいつも通り。
こういう態度を続けていれば、相手側はお得意のサラミ戦術で日本の領土主権に対して次なる段階の侵犯を仕掛けてくるであろう。日本政府・与党は、国際常識に照らして普通の権利行使を淡々と行わなければならない。それなどういう対応なのか。明白な領空侵犯がなされたわけであるから、日本政府は中国側にたいして、「今後、同様の領空侵犯が行われた場合には日本自衛隊によって侵犯機を強制着陸させて乗員の取り調べを実施する。もしも着陸命令に従わない場合には撃墜の可能性もありうる。十分に注意されたい。」との趣旨に通告をおこない、これを内外に広く発信する。これが本来の対応であろう。今後も同じ事案が発生したとき、実際に侵犯軍機を撃墜するかどうかは高度の政治的、軍事的判断による。

ところで、現在マスコミTVで賑わっている自民党総裁選挙であるが、その立候補者および立候補予想者たちの、この領空侵犯事案に対する反応をみると、まったく残念な様相を呈している。ほぼ全員が前述の林官房長官談話と同様の「遺憾砲」を淡々と述べているに過ぎず、小泉進次郎氏にいたっては完全な無関心、無反応で、夏祭りや幼稚園めぐりのパフォーマンスに明け暮れていた様子、こりゃ駄目だ。