西田稔の爺(時事)評論

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関西万博会場の巨大リングの意義

2023-12-27 16:32:50 | 政治・経済
以前から指摘してきたところだけど、2025年関西万博会場に設置される高さ10メートルを超える巨大リング(回廊)にどんな意義があるのかという話です。これの建設に360億円もの巨額な国費(税金)が使われることに対して批判的な報道が増えてきているようにみえる。たしかに、単に会場の目立つデザインのためというだけなら、ちょっと無駄遣いかなという気もするでしょう。
しかし、あの人工島に展開される大規模な博覧会の開催中に、もしも南海トラフ大地震による大津波が押し寄せたらどうなるかを考えてみてください。何万人という来場者を短時間で人工島から退避させることはほぼ不可能だろうと想像できます。そのとき、逃げ遅れた人々はこの巨大回廊に上がって津波から避難することができるのです。
それだけでなく、このリングは広い万博会場全体と大阪湾の景観を見渡せる絶好の展望台になるし、さらには暑い季節の直射日光から観客を守る大きな日傘の役割もはたせるのです。万博会期が終わったあとには、市民や観光客が自転車でサイクリングを楽しむ施設として使うのも面白いかもしれませんね。

ラピダス北海道の先端半導体プロジェクト、大丈夫?

2023-12-26 17:47:59 | 政治・経済
ラピダスはアメリカのIBM社と協力して線幅2ナノの超先端半導体を開発し、小規模で共同生産するという事業を北海道で開始する。その技術はIBMの基本技術を利用して、その製造技術をこれから開発するという計画である。日本政府は、このプロジェクトに巨額の補助金を支援する予定である。
しかし、台湾のTSMC社や韓国のサメスン社との開発競争に勝てるかどうか心もとないし、かりに開発に成功しても彼らの大規模生産戦略に圧倒されてしまう可能性が大きい。
ラピダスのプロジェクトが、先端半導体の競争に立ち遅れたIBM社の失地回復作戦のためのリスク分散戦術として使い捨てされないかどうか用心する必要があろう。そのため、小規模生産される高コストの製品を必ずIBM社が全量、継続的に買い取るという明確な契約がなければならない。

核融合発電の新組織、本気か?

2023-12-26 17:24:14 | 政治・経済
12月26日の日経新聞によれば、政府は来春に核融合発電の実用化をめざす産官学の連携組織を立ち上げるという。50社ほどが参加するらしい。
核融合発電はエネルギー源を海外に依存する日本にとってぜひとも実現したい国産エネルギーとなる。
これを実現するためには、全身全霊をこめて技術開発に打ち込む100人、200人の科学者・技術者のチームが必要だし、安定した持続的な資金供給が欠かせない。そのうえで、5年内に実験炉、10年内に小型実用炉の運転を達成するというくらいの明確な目標設定と工程表を作成することが必要であろう。それくらいでなければ世界をリードする開発は進められない。
政府が予定しているような緩い連携組織では、参加者たちは取り残されないよう、取りあえず手を挙げて保険をかけておくという程度の取り組みにしかならないだろう。 いつものことだけどね。


台湾半導体TSMC九州に日本政府の黄金株を入れるべき

2023-12-20 15:17:03 | 政治・経済
台湾の半導体会社TSMCが九州熊本に工場を建設中である。これにはソニー株式会社が570億円を出資するが、それだけでなく日本政府が巨額の補助金を供与する。つまり日本国民の税金がこのプロジェクトに投入されるわけである。
しかし、近い将来に中国共産党政権が台湾を支配下に置くような事態が生じたとき、TSMCもまた中国の手中に落ちて、北京政権はその子会社たるTSMC九州工場の支配権を要求してくるであろう。このとき日本政府はどう対応するつもりか。
この事態に備えて、日本政府は巨額の補助金供与の見返りとしてTSMC九州に「黄金株}の提供を求めるべきである。この「黄金株}は日本の国家安全保障の危機事態においてのみ権利が発動され、TSMC九州の実物ならびに無形資産(特許権、技術ノウハウなど)の保全・移動禁止・譲渡禁止あるいは日本政府による経営権取得などの措置が可能となる条項が明示されなければならない。
これは如何にも過剰な心配のように思われるかもしれないが、国民の巨額の税金が投入される以上は至極当たり前の備えであると考える。日本人は「大変な事態など起きるはずはない」という正常バイアスをもって生活してきたので、この厳しい国際情勢のなかでのリスクを理解できないかもしれないが、国家のリーダー層がそうであってはならない。

日本のミサイル防衛

2023-12-19 18:28:00 | 政治・経済
北朝鮮がとうとう固体燃料型の長距離弾道ミサイルをほぼ完成したしたようだ。勿論まだ小型核弾頭の搭載が完全に可能になったかどうかは分からないにしても、日本の安全保障にとって脅威が格段に大きくなったことはたしかである。
この状況においては、日本も逡巡することなく固体燃料型の移動式、中距離弾道ミサイルの国産、配備に向けて動くべきときである。このタイミングを失すれば後に悔やんでも手遅れとなろう。この選択以外には日本が北朝鮮、中国によるミサイル攻撃の脅迫を抑止する方法はない。アメリカによる「核の傘」を期待するだけでは、あまりに無防備というほかはない。
北朝鮮による弾道ミサイル攻撃を抑止するだけが目的であれば、50基の前記弾道ミサイルの配備で足りるだろう。反撃目標が平壌と数か所の原子炉施設に限られるからである(もちろん、北朝鮮が日本の原子炉に照準をあわせないならば、目標は平壌のみになる)。
しかし、中国によるミサイル攻撃の脅迫を抑止する必要があるから、このための抑止力としては前記の弾道ミサイルを100~200基保有することが必要であろう。
これに要する費用であるが、ミサイル迎撃システムの増強や巡航ミサイルを多数購入する費用に比べれば安上がりであるし、なにより国産兵器であるから、日本の産業力強化にもつながるという利点がある。