西田稔の爺(時事)評論

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安倍総理の政治的遺産:戦後75年にあたって考えること。第4回

2020-08-29 18:28:40 | 政治・経済
安倍総理の政治的レガシィが問われている。私はそれを日本人の政治思想に与えた影響であると考える。
第一次と第二次の安倍政権の仕事をつうじて、安倍総理は日本の若い世代の大きな部分を戦後思想の呪縛から解放するという成果を残されたように思われる。
現在の20歳代、30歳代、40歳代というこれから10年後の日本を担うことになる重要な若い世代の多くの人々は、日本や世界の社会、経済、政治の状況を古い観念論のメガネによらず、現実的に認識することができるようになってきたと私は感じている。
私はいま80歳になったからこそ言えるのだが、現在の80歳代より上の世代、そしてその下の70歳代、60歳代の世代は、太平洋戦争・大東亜戦争の苦難と敗戦の悲惨を直接に経験したか、あるいは、その人々の怨念を強く浴びて育った世代である。それ故に、日本という国の存在を肯定的にとらえることが難しいという屈折した心理状態にある。
若い世代が多数を占める時がくるまで、これから10年余りの時代をどのように乗り切っていけるか、これがわれわれの直面している重要な問題である。


次期政権のベスト布陣は?

2020-08-28 17:51:30 | 政治・経済
安倍総理の退陣表明がなされた。長きにわたる安倍総理のご努力に敬意と感謝を捧げたいと思います。

そのうえで、次期政権のベスト布陣について考えてみました。まず第一の要点は二階幹事長の処遇であろうと思われる。
二階幹事長には衆院議長の地位に就いてもらうのがよい。
総裁・総理は岸田氏、官房長官は茂木氏。
幹事長には麻生氏。
菅氏は副総理・財務相、
外務大臣は河野太郎氏、防衛大臣は小野寺氏。
自民党政調会長に甘利氏。

石破茂氏は総務相とか国交相とかで入閣、挙党体制をつくる。
厚生労働大臣は田村氏かな。

最後に、大事なことをもう一つ。
橋下徹氏(元大阪府知事)を経済再生担当大臣に。コロナウイルス対策と経済財政諮問会議を主導する。
安倍政権の9月内閣改造人事で総理特別補佐官就任の期待もあったが、安倍総理辞任でこれは消えた。


戦後75年にあたって考えること。第3回

2020-08-27 15:33:23 | 政治・経済
アメリカ大統領バラク・オバマ氏が2016年5月に広島を訪問した。この訪問の意味をどう考えるか。
1945年8月、アメリカの民主党政権(フランクリン・ローズベルト大統領、トルーマン大統領)がおこなった理不尽な原爆投下によって、広島と長崎において多数の市民が命を奪われた。オバマ大統領の広島訪問がこの非道な原爆投下によって亡くなった人々への慰霊のためであったと考えるのは、あまりに素朴な受け止め方であろう。
政治的には、オバマ大統領の広島訪問は、日本の保守主義政権が核兵器による自主防衛力の獲得に動くことを牽制するという意味をもっていたと考えるべきである。さらに言えば、日本における憲法改正への動きを牽制し、日本を戦後70年間続いてきたアメリカ従属の意識のもとに封じ込めておくこと、これが民主党左派政権の意図であることを、戦後75年の今、われわれは知っておく必要がある。

戦後75年にあたって考えること。第2回

2020-08-16 11:07:29 | 政治・経済
新型コロナウイルスの船内感染が発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号(アメリカ)が横浜に入港し、船内での感染爆発に対処するオペレーションが日本はもちろん世界の耳目を集めた今年2月のこと、このとき既に感染症予防や治療に従事する医療関係者にとって必須の医療用マスク、防護衣料、消毒液その他の物資の不足が明らかになった。
遅くとも、この時点で、政府・行政当局はこれら必須資材の確保・調達にむけてエンジン全開で取り組むべきであった。具体的には、厚生省、経済産業省、国土交通省、文部科学省、財務省などの次官クラスが各省の取りうる措置、あるいは取り組むべき施策について直ちに素案を取りまとめ、内閣官房長官の指揮下に集合して必要な行動の調整を行って、必須資材の確保に取り組むべきであった。
経産省次官は産業界に呼び掛けて必須の医療資材の供給増加を要請し、そのために必要な設備投資の政府9割負担と製品の政府買取保証を明言すること、その必要財源を財務省と調整すること。
厚生労働省は、医療用資材の生産・供給を拡大するために必要な規制の改定などの制度整備を即刻に実施することなど。
国土交通省は感染者の隔離に必要な施設を確保するためにホテル業界との交渉を急ぐこと。
文部科学省は、管轄下の大学・大学病院、公的医療研究機関その他に指示して、PCR検査の能力提供、余裕のある医療従事者・研究者を動員して厚労省と協力して新型コロナウイルス対策に当たること。
財務省は、これらの施策に必要な財政資金の支出を用意すること。これらに必要な財政支出はたかだか数千億円のレベルであり、支出をためらう理由は全くない。

こうした行動が直ちに取れなかったところに、現今の日本における政府・行政機構、官僚組織の劣化という恐ろしい病弊がある。これは早急に改革が求められる課題である。

戦後75年にあたって考えること。第1回

2020-08-15 22:39:11 | コロナウイルス対策
太平洋戦争における日本の失敗の大きな要因の1つとして、繰り返し指摘されることとして、兵站(ロジスティクス)の重要性に無知であった、あるいは、それを軽視してしまったことがある。兵站とは、武器弾薬、食料、その他必要装備・物資の補給のことである。
今回の新型コロナウイルスとの闘いにおいて、日本政府および地方自治体は、再びこの失敗を繰り返してしまった。ウイルスとの闘いの前線に立つ組織に対して、医療用マスク、防護服、消毒用アルコールなどの物資、PCRなどの検査機器と試薬その他必要機材、その他の十分な補給を行うことができなかった。
何故そういうことになってしまったのか。これは日本の政治および行政組織の欠陥という問題になる。これは第2回のテーマである。ただし、あらかじめ断っておくが、安倍政権の欠陥というのとは違う。