野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

由良川のアユ

2018-08-26 | フィールドガイド--魚編--

猪名川のアユについてこれまでいろいろと紹介してきた

今回は 由良川のアユ(「生きている由良川」を参考にした)

由良川のアユ

アユ(鮎) キュウリウオ目アユ科
アユは春から夏にかけて若魚期から成魚期を川の中流で生活し、秋になると河口付近に下る。このときの婚姻色(橙と黒色)のアユを「落ち鮎」という。
11月頃、淡水と海水の境目付近で産卵したアユはそのまま死んでいく。
卵から孵化した仔魚(体長6mm)は流れに乗って海に下り翌春まで動物性プランクトン等を食べて成長し、春になると遡上を開始する。遡上しながら7~8cmの大きさになり、中流域に入ったアユは岩盤や石礫の付着藻類を食べるようになる。
若アユの群れをつくるが成魚となってなわばり行動をとるようになる。
成魚は10~30cm。このようにアユは1年で大きく育ち一生を終えるので、「年魚」と呼ばれる。

魚や動物の体液(血液)の塩分濃度は、太古の昔に魚が海から川へ干潟から陸上に 移り住んだ当時の原始の海の塩分濃度が現在も受け継がれている。
体液の塩分濃度は淡水魚は約0.6%、人を含む陸上動物で約0.9%、海水魚で約1.1% である。
川から海へ、海から川へ移動するためには、この塩分濃度を調整する機能が 必要で、汽水域で浸透圧を調整している。
海に出てまだ身体に鱗のなく透明な身体の シラスアユは河口から離れ沿岸を回遊し、体長5~7cmに大きくなり全身が黒隣で覆われる稚アユに成長して河口に戻ってくる。
ただし、サケのような母川回帰本能ではない。

日本の夏の風物詩「鮎の友釣り」
 アユのなわばり行動の習性を利用した日本独特の捕獲方法で、5月アユ漁の解禁で一斉に釣り人が川に入る光景は初夏の季語ともなっている。
なわばりの範囲は1尾あたり約1㎡で、その中に入ってきた他の個体に対して体当たりして激しく攻撃する。おとりのアユに引っかける釣針をつけて捕る方法で実に楽しい。

魯山人 生けて運びし 和知のアユ
(「由良川いろは歌」より)
かつて和知町は京都府内屈指のアユの産地として知られた。
陶芸家であり料理道を極めた北大路魯山人(1883~1959)は和知のアユを賞賛し、彼の経営していた東京の料亭まで生きたまま運ばせたという逸話がある。
現在、鮎の遡上は戸奈瀬ダム(由良川ダム)までである。

丹波アユの歴史
古くは延喜式にも朝廷に献上したアユの記載がある。江戸時代には藩の庇護の下、御用鮎として丹波のアユは重宝がられた。また、大量消費地としての京へ運ばれていた。


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