2012年7月26日(木)
今日も暑くて、暑くて、家でクーラーの中に逃げ込んでいまいた。
午前中にはスーパーに出かけ、立体駐車場に車を止めた。
そこからエレベーターに乗ったんだけれど、なんか変な音がする。
動くとき、ギギッ、ギギッと・・・!
こんな音、初めてだし、無事に降りる階につくか心配になったほど。
エレベーターから(気分的には)転がり出たら、入れ替わりに人が乗って、
また上昇していった。
エレベーター、大丈夫かな? 事故の前兆とかではないよね・・。
向こうから来た警備員に音のこと言ったほうが良いのかな・・?と、迷った
けれど、まあ、いいか・・とうやむやにしてしまった。
帰りにもエレベーターは何事も無く動いていたけれど、さすがにその
エレベーターは止めて、となりのにした・・。(^^;)
あれはいったい何だったんだろう・・?
そこで、丁度この辺りに救急車を呼んだときのエッセイを・・。(文中、仮名です)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「スズメ蜂」
「あ、痛い!痛い!」
小室さんの大声に、靴を履きかけていた私たちは驚いて顔をあげた。小室さんは、
集会所の上がりがまちに腰を落とし、右足を抱え込んでいる。足でも攣ったのだろうか?
痛そうだけれど、どうしたらいいだろう?と、思ったとき、小室さんが、
「蜂だわ、蜂に刺された!」
と叫び、たちまち読書会の和やかな余韻が吹き飛んだ。靴下を脱ぎ捨てた彼女の足の裏
には、ぷくりと水ぶくれが出来ている。すぐ、山歩きの好きな秋山さんが、
「一度目?二度目?」と、確かめ、小室さんは、「一度目よ」と答えた。蜂は二度目に
刺された時が危険と言うし、「一度目でまだ良かった」と、私たち残りの五人は、
不安を隠すように言い合った。
とはいえ、蜂はどこに居るのだろう?私は、横っ倒しになっている小室さんの靴を
そっと持ち上げ、外のアプローチの上で逆さまにしてみた。すると、中から黄色と黒の
大きな蜂が転がり出てきた。ひっくり返ってもがいている。覗き込んだ白井さんが、言う。
「大変、スズメ蜂よ!病院に行かなくちゃ」
そうだ、夏に草刈をしていて蜂に刺された人が、病院で点滴を受けたと言っていた。
――点滴だ。病院だ。小室さんは歩けそうもない……。
上ずり始めた気持ちを抑えるように、私は、「車、取ってくる」と声をあげ、
「痛い、痛い」と言い続けている小室さんを残して、近くのスーパーの駐車場へと玄関を
飛び出した。
――靴の中に蜂がいたなんて!もしかしたら、私たちの靴だったかもしれないんだ。
自分だけ難を逃れたような後ろめたさもかすめて、車のハンドルを握りながらも、
どこの病院に連れて行こうか算段していると、集会所への四つ角で自転車に乗った白井さん
と小室さんに出会った。白井さんが、
「スーパーの上のお医者さんに行くから~」
と言って、二人は先へ急いでいった。小室さん、自転車漕げるんだと、少しほっとして、
私は、再びスーパーの駐車場へ引き返した。
二人に一足遅れてスーパーの二階の医療センターに着くと、内科医院の外の椅子に座った
小室さんが、携帯電話をかけている。
「電話の横の、引き出しの……、違う、違う、そこじゃない」
待合室に入ると、白井さんが説明してくれた。
「受け付けの人には話したわ。でも、保険証が無いと、とりあえず自費なんですって」
秋山さんも来ていて、「ほら」と、ビニール袋に入れたスズメ蜂を見せてくれた。
蜂は、袋の中で動き回っている。
〈うわっ、捕まえてきたんだ!〉
と、驚いたとき、受付の人が診察室から出てきた。
「先生から、蜂に刺されたのは、ここでは対応出来ないので、別の病院へ行って下さいって、
指示されたんですが……」
蜂に刺されるって、それほどのおお事なのだと、気持ちがさらにきゅっと引き締まった。
私は、小室さんの待つ外廊下に出ると、携帯から「一一九番」へ連絡した。
「友達が蜂に刺されたんです。……いえ、お医者さんから、別な病院で処置してもらうよう
に言われて……。私?私は友人です。……はい、スーパーの入口で待っています」
スーパーの入口に救急車が着くと、小室さんはすぐ車に乗り込んだ。救急隊員に秋山さんが
「これです!」と、蜂を見せたが、
「えっ、持ってきたんですか。確かに、スズメ蜂ですね」
という言葉だけで、蜂そのものは要らないようだった。
そこへ、「ああ、すみませ~ん」という声とともに、小室さんのご主人がやってきた。
右手に保険証を持っている。救急隊員と話をしたあと、
「いや~、ご迷惑をおかけしてしまって、すみません。なんか、蜂に刺されたなんてねえ」
と、ご主人は挨拶をしたけれど、そののんびりした口調に、
――違うんじゃないの、ご主人!奥さん、痛がっているのよ!みんな心配してるのよ!
と、私は急に腹が立った。もちろん、よそのご主人だ、口では、
「いえ、とんでもない。でも、スズメ蜂に刺されるって、とっても危ないんですよ。
必ず病院へ行って、点滴をしなくちゃならないそうですよ」
と言うに止めた。白井さんが、
「そうですよ!スズメ蜂に刺されて亡くなる人も、毎年出るし」
と、付け加え、秋山さんは、
「こんな大きな蜂なんですよ~」
と、ご主人の手に、蜂の袋を押し付けた。
やがて、受け入れ先の病院が決まったらしく、救急車が動き出すという。
ご主人が付いていかれるそうだ。もう大丈夫だ、私たちはこれで引き上げようと行きかけた。
そのとき、背後で、ぴしっ、ぴしっという音がした。振り向くと、小室さんのご主人が、
太い腕を振り下ろし、蜂を入れたビニール袋を路面に叩き付けていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まさか、靴の中にスズメ蜂がいたなんてねえ、本当にびっくりしたわ。
もちろん、小室さんは、すぐ元気になりました。(^^)
今日も暑くて、暑くて、家でクーラーの中に逃げ込んでいまいた。
午前中にはスーパーに出かけ、立体駐車場に車を止めた。
そこからエレベーターに乗ったんだけれど、なんか変な音がする。
動くとき、ギギッ、ギギッと・・・!
こんな音、初めてだし、無事に降りる階につくか心配になったほど。
エレベーターから(気分的には)転がり出たら、入れ替わりに人が乗って、
また上昇していった。
エレベーター、大丈夫かな? 事故の前兆とかではないよね・・。
向こうから来た警備員に音のこと言ったほうが良いのかな・・?と、迷った
けれど、まあ、いいか・・とうやむやにしてしまった。
帰りにもエレベーターは何事も無く動いていたけれど、さすがにその
エレベーターは止めて、となりのにした・・。(^^;)
あれはいったい何だったんだろう・・?
そこで、丁度この辺りに救急車を呼んだときのエッセイを・・。(文中、仮名です)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「スズメ蜂」
「あ、痛い!痛い!」
小室さんの大声に、靴を履きかけていた私たちは驚いて顔をあげた。小室さんは、
集会所の上がりがまちに腰を落とし、右足を抱え込んでいる。足でも攣ったのだろうか?
痛そうだけれど、どうしたらいいだろう?と、思ったとき、小室さんが、
「蜂だわ、蜂に刺された!」
と叫び、たちまち読書会の和やかな余韻が吹き飛んだ。靴下を脱ぎ捨てた彼女の足の裏
には、ぷくりと水ぶくれが出来ている。すぐ、山歩きの好きな秋山さんが、
「一度目?二度目?」と、確かめ、小室さんは、「一度目よ」と答えた。蜂は二度目に
刺された時が危険と言うし、「一度目でまだ良かった」と、私たち残りの五人は、
不安を隠すように言い合った。
とはいえ、蜂はどこに居るのだろう?私は、横っ倒しになっている小室さんの靴を
そっと持ち上げ、外のアプローチの上で逆さまにしてみた。すると、中から黄色と黒の
大きな蜂が転がり出てきた。ひっくり返ってもがいている。覗き込んだ白井さんが、言う。
「大変、スズメ蜂よ!病院に行かなくちゃ」
そうだ、夏に草刈をしていて蜂に刺された人が、病院で点滴を受けたと言っていた。
――点滴だ。病院だ。小室さんは歩けそうもない……。
上ずり始めた気持ちを抑えるように、私は、「車、取ってくる」と声をあげ、
「痛い、痛い」と言い続けている小室さんを残して、近くのスーパーの駐車場へと玄関を
飛び出した。
――靴の中に蜂がいたなんて!もしかしたら、私たちの靴だったかもしれないんだ。
自分だけ難を逃れたような後ろめたさもかすめて、車のハンドルを握りながらも、
どこの病院に連れて行こうか算段していると、集会所への四つ角で自転車に乗った白井さん
と小室さんに出会った。白井さんが、
「スーパーの上のお医者さんに行くから~」
と言って、二人は先へ急いでいった。小室さん、自転車漕げるんだと、少しほっとして、
私は、再びスーパーの駐車場へ引き返した。
二人に一足遅れてスーパーの二階の医療センターに着くと、内科医院の外の椅子に座った
小室さんが、携帯電話をかけている。
「電話の横の、引き出しの……、違う、違う、そこじゃない」
待合室に入ると、白井さんが説明してくれた。
「受け付けの人には話したわ。でも、保険証が無いと、とりあえず自費なんですって」
秋山さんも来ていて、「ほら」と、ビニール袋に入れたスズメ蜂を見せてくれた。
蜂は、袋の中で動き回っている。
〈うわっ、捕まえてきたんだ!〉
と、驚いたとき、受付の人が診察室から出てきた。
「先生から、蜂に刺されたのは、ここでは対応出来ないので、別の病院へ行って下さいって、
指示されたんですが……」
蜂に刺されるって、それほどのおお事なのだと、気持ちがさらにきゅっと引き締まった。
私は、小室さんの待つ外廊下に出ると、携帯から「一一九番」へ連絡した。
「友達が蜂に刺されたんです。……いえ、お医者さんから、別な病院で処置してもらうよう
に言われて……。私?私は友人です。……はい、スーパーの入口で待っています」
スーパーの入口に救急車が着くと、小室さんはすぐ車に乗り込んだ。救急隊員に秋山さんが
「これです!」と、蜂を見せたが、
「えっ、持ってきたんですか。確かに、スズメ蜂ですね」
という言葉だけで、蜂そのものは要らないようだった。
そこへ、「ああ、すみませ~ん」という声とともに、小室さんのご主人がやってきた。
右手に保険証を持っている。救急隊員と話をしたあと、
「いや~、ご迷惑をおかけしてしまって、すみません。なんか、蜂に刺されたなんてねえ」
と、ご主人は挨拶をしたけれど、そののんびりした口調に、
――違うんじゃないの、ご主人!奥さん、痛がっているのよ!みんな心配してるのよ!
と、私は急に腹が立った。もちろん、よそのご主人だ、口では、
「いえ、とんでもない。でも、スズメ蜂に刺されるって、とっても危ないんですよ。
必ず病院へ行って、点滴をしなくちゃならないそうですよ」
と言うに止めた。白井さんが、
「そうですよ!スズメ蜂に刺されて亡くなる人も、毎年出るし」
と、付け加え、秋山さんは、
「こんな大きな蜂なんですよ~」
と、ご主人の手に、蜂の袋を押し付けた。
やがて、受け入れ先の病院が決まったらしく、救急車が動き出すという。
ご主人が付いていかれるそうだ。もう大丈夫だ、私たちはこれで引き上げようと行きかけた。
そのとき、背後で、ぴしっ、ぴしっという音がした。振り向くと、小室さんのご主人が、
太い腕を振り下ろし、蜂を入れたビニール袋を路面に叩き付けていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まさか、靴の中にスズメ蜂がいたなんてねえ、本当にびっくりしたわ。
もちろん、小室さんは、すぐ元気になりました。(^^)