ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「あんたがたどこさ」

2012-07-10 | エッセイ
2012年7月10日(火)

今日は、エッセイサークルの日。まずは、エッセイ誌の話し合いで、
費用のこと、積立金の話などを詰め、無事、まとまりました。
さあ、これで、エッセイ誌再発行の準備ができた~。
時間はかかったけれど、その間、みんなの気持ちが落ち着いて、
良かったと思う。(^^)

さて、今日のエッセイは、「あんたがたどこさ」
まあ、合評は、イマイチだったかなあ・・。何故に・・?(^^;)

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「あんたがたどこさ」

 集会所の和室の襖を開けると、先に集まっていた読書会の友人たちが、
「お手玉が、……」と、話をしている。梅田さん(仮名)が、彼女たちの手元のプリントを、
席についた私にも、「はい」と、一部手渡してくれた。そして、
「これ、どうしたの?」
と聞くと、梅田さんがネットで「お手玉の作り方とお手玉の歌」を見つけて印刷して
きてくれたのだそうだ。
 私は、お手玉の図より、お手玉の歌、「あんたがたどこさ」に目が引き寄せられる。
ああ、子供の頃、何度と無く歌った歌だ。
 あんたがた どこさ ひごさ ひごどこさ
 くまもとさ くまもと どこさ せんばさ
 私が歌いだすと、松島さん(仮名)も一緒に歌った。なんと懐かしいと顔を見合わせたが、
でも、何かおかしい。これは、東京の家の庭で、のぶ子ちゃんたちとまりつきを
しながら歌った歌だ。「ちょっとかくす」で、赤いまりを母が縫ってくれたスカートの
中にぽんと受け止め、笑いあったのは、もう五十年以上も前のこと……。東京出身の
松島さんと私が、
「これは、お手玉の歌じゃないわ、まりつきの歌よ」
と、言ったけれど、九州出身の井上さん(仮名)は、「ゴム段の時に歌ったよ」と、また別の
ことを言い出す。北海道出身の大山さん(仮名)は、「まりつきとか、したことないねえ」と、
私たちばかり熱くなっていた。梅田さんは、バッグから桃色の和布で作ったお手玉二つ
を取り出し、歌いながらお手玉を始めてみせた。梅田さんのか細い声に、
「不器用な私が、二つのお手玉をぽろぽろ落としていると、母も来て、三つもの
お手玉を操りだした。その手を、のぶ子ちゃんや弟と見惚れた」遠い日々が胸を
かすめる。
 二日後、母を病室に見舞うと、今日も母はベッドで何か口ずさんでいる。私が、
「あんたがた どこさ」
 と、歌ってみると、母も、
「ひごさ ひごどこさ」
 と、歌いだし、二人で声を揃えて歌っていった。
私の体の奥から古い歌が湧きだしてくる。
母もきっとそうだ。胸元に置かれた母の赤黒い内出血の痕のある細い手は、かつて、
しなやかにお手玉を操った手だったのだから……。
 歌い終わると、母は、
「これ、歌いやすいねえ」
 と、言う。昔、歌いなれていた歌だもの。私が、
「この歌、お手玉の歌って言われたけれど、まりつきの時の歌だよね」
 と、言うと、母は、
「お風呂で歌った。歌って、ぶくぶく、長くなっちゃった……」
と、言う。母には、お風呂での印象が残っているのか……。私は、
「それは、子供の頃のこと?それとも、私や一雄(仮名)とお風呂に入っていたときに歌ったの?」
と、聞いてみたのだけれど、その問いはもう難しかったのか、母は、
「なんにも分からなくなっちゃった」
 と、歌いだしたのだった。
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懐かしい歌だったんだよ・・・。(^^)
コメント
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