ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

水の不思議

2022-04-15 09:23:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
くたびれて横たわるとき足くびのあたりに水の湧きくるごとし(中井守恵)

感じたことのある違和感。
人間の身体はほとんどが水で出来ている。
意外とくたびれている時に水の起源に気がつくのかも知れない。
雨や海、川、そして、生き物になる不思議な存在。

言われると不吉

2022-04-14 06:19:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
つり革をつかみ損ねた左手で手を繋ぐけどゆるしてください(野栄悠樹)

「ゆるしてください」と言われたら、少し怖くなる。
許さなければならないことがあるようで。

「つり革をつかみ損ねた」と「左手」。
なんとなく不吉。

描かれないが、そう思う

2022-04-13 10:20:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
別れゆく朝の電車に手を振るといまだ少年のごときわが妻(清原日出夫)

「少年のごときわが妻」。
少女では無い。
そこに、絶妙な距離感がある。
「別れゆく朝の電車」「手を振る」だから通勤だろうか。
どこにも描かれていないけれど、新婚だと感じる。


水から出来ている

2022-04-12 07:17:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
君の眼に見られいるとき私はこまかき水の粒子に還る(安藤美保)

「見られいる」だけで、自分という存在が「水の粒子に還る」。

自らの存在が、小さな小さな水の粒子になる。
この把握が瑞々しい。
あまり、男性が感じることはないような感覚だと思う。



日本語の美しさ

2022-04-10 11:11:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
蝉時雨はるか 簾越しに水を打つ 夏の夕暮れ
村下孝蔵「陽だまり」冒頭

最近、村下孝蔵をよく聴いている。
彼の詩は美しい。
声も、曲も。

特に歌詞は詩集として読みたいほど。