ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

行方不明になれるのです。

2022-01-28 20:27:04 | クンストカンマー(美術収集室)短歌

このこころ
このこころ
明日になれば私も知らないこころ
ほかの人が知ってくれないにきまっているこころ(八木重吉)

私も知らないこころ。

ほかの人も知らないこころ。

誰も知らないのだから、「こころ」は孤独なのだ。

ここで言う「こころ」とは「こころ」という個体だ。

自分ではない。何故ならわたしも知らないこころだから。

「こころ」は行方不明になりました。

そうか、こころは個体なのだ。

自分では無いのだから、自分で制御することは不可能なのかも知れない。

孤独と「こころ」は同じ世界の住人なのだ。

 

 


白鳥の孤独

2022-01-28 18:52:58 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよう(若山牧水)
 
白鳥に心は無い。
あるのはそれを見ている人間だ。
それを見ている(もしくは想像している)人間が孤独に漂っている。
色々な短歌が僕に寄り添っている。
若山牧水の孤独と僕の孤独。
孤独が寄り添うと少しだけ安心する。
 
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす(笹井宏之)
 
眠らないただ一本の樹。 
ワンピースに落とす実。
多分、あなたは気付かないだろう。
その実の意味に。
その実に託された思いに。
だから孤独なのだと思う。
しかし、この歌の孤独は純粋だ。
見返りを求めていないから。
 
孤独の側面。
 
孤独には色々な顔がある。
 
孤独を突き詰めたい。
 
孤独の正体を知りたい。
 
そして、いつか孤独を優しく抱きしめたい。
 
生涯、離れられないものとして。