自分で作って食べる野菜くらいは化学肥料を使わないで無農薬のものを食べたい。そう思って家庭菜園を始める人は多い。かくいう私もその一人だった。
就職して間もない二十代前半の頃に、親戚の300㌃ほどの土地を借りて菜園を造った。
1970年代から奈良県桜井市で無農薬、無肥料、不耕の「自然農=自然栽培」を起こした川口由一という人のニュースを見たのがきっかけだった。
さすがに不耕というのは無理があったので、家のトラクターを使ったが、農薬と肥料は買ったことがなかった。
それでもなんとか野菜が育ったのは、始めて畑にした土地には永年蓄えられた地力があるからだ。
借りた土地の1/3には広葉樹が植えられていたので、落ち葉で堆肥を作ることができた。
農薬を使わずにすんだのは、企業団地の真ん中にある、工場に囲まれた「ぽつんと一軒家」的な畑で虫が少なかったからだ。
五年ほどして駐車場にするというので返却。家の隣に空き地が出来たのでそこを借りた。それも三年ほどするとマンションが建てられた。
というわけで、親の畑に戻って来ることになった。
今の畑では無農薬栽培は不可能である。周りの田んぼがどっさりと農薬をまいているからだ。
だから、農薬も散布するし、化成肥料も使う。
ただし、できるだけひかえている。不必要、余計なことはしない。
その方が、何かあった時の諦めもつく。
概して百姓は諦めがいい。お天道様に文句はいえないし、
みんな自分が蒔いた種なのだから。
レタスがだいぶん大きくなってきたので、短い畝を四本たてる。
今、植えてもよいが水やりがじゃまくさい。
朝の八時半。気温30度。余計なことはせず、本日はこれにて終了。