【 保存版 】 猫の肥大型心筋症と血栓





当ブログでは日常のように掲載される心臓の検査。

それでも一般的にはスルーされている方が殆どかと思います。


どこかで ” 自分の子は関係ない ” と思っていませんか?





肥大型心筋症が悪化すると

心臓内に血栓が形成される場合があります。

出来た血栓により心筋梗塞等を起こしたり

猫さんでは後肢の血流が阻害されることが多いとされ

麻痺などに繋がります。




そのため、検査結果によって

心臓の肥大を抑える投薬をしたり

抗凝固薬を服用し、血栓を防いでいきます。






しかし心臓を調べている最中

その悲劇が起こってしまいまった子がいます。





チャンプママさんの子、おはぎ君。



おはぎ君は、現在4歳。

3ヶ月に一度はエコーで 『 左心室壁厚(厚み) 』 を調べていたそうで

12月には6mmとの診断を受け、NT-proBNP検査を実施。

(隠れ腎臓病検査がSDMAなら、隠れ心臓病検査がNT-proBNP)



結果はMAX越えの 1,500以上という結果。

我が家のモカと一緒です (._.)





おはぎ君は、これまで

『 左心室壁厚(厚み) 』 の検査のみだったからなのか

もうひとつ別の外部検査を実施し

その結果をもって投薬をしましょうと 医師から提案を受けていました。




しかし、その外部検査結果が出てくる予定日に

血栓を発症し、猫さんに多い後肢に飛び

急に歩けなくなってしまいました。





左足の体温が下がっていくなか

心臓を疑ったママさんは急いで病院に。

体温保持と、輸液を流し続け

命を取り止めることができました。



後肢の体温は戻りましたが足は動かず

そして食も戻らない中ではありますが

家が一番だろうと、自宅で注射等の対応ができるようにし退院。





まだ足は動かない状態。

何とか食べて貰い心臓の投薬を始めなければならず

ご苦労をされましたが

少しずつ口に運んでくれるようになり

現在は心臓と血栓のケアが出来るように。


しかし





急に動かなくなった足に違和感があったのか

両足を舐め崩してしまい





現在はカラー生活。


それでも目には力があります (T ^ T)



そして現在。



猫魂 頑張れ おはぎ君! (心筋症と血栓)





麻痺のため、足の甲を使っていますが

自力で歩けるまでになっています。









チャンプママさんは当方のブログ啓発より

ふたりを迎えた頃から心臓にも気を配り、検査を行っていました

検査をしながらご自身で理解を深めていたからこそ

急に倒れた事態にも、血栓だと認識し

一刻をあらそう中、病院でも 早々に対応して頂けたと思います。

(何故、歩けなくなったかの調査時間が不要)

だからこそ、今おはぎ君が頑張れる時間を持てている。






血栓を発症してしまうと予後が悪く

生きられるのは半数と言われています。






チャンプママさんは、それを理解しながら

皆さんへの啓発になればと

お心も痛むなか

写真と動画を提供してくださいました。

本当にありがとうございます。






血栓発症から体重は減ってしまいましたが

段々と、ごはんを求める態度が増しているようです。

食べることは生きること。

今は食べたい物を優先して

ご家族の大きな愛と、おはぎくんの頑張りで

この先も 投薬維持できると嬉しい。






縁起が良く、長生きをしてくれそうな名ということで

『 おはぎ 』 と言う名は、私が贈った。


逆境に負けず、この先は穏やかに長生きできますようにと

心から願っています。














こんなに怖い事態になる病 『 肥大型心筋症 』はどうすれば判るのでしょうか。







以下は 2017年に掲載した記事ですが

現在情報を少々追記もしてみましたので再掲載致します。

丁寧に綴ったつもりですので長文となりますが

我が子を守るため、猫飼いさんにとって重要な内容ですので

是非、ご一読願います。


(説明不足があるかもしれません。大切な事ですのでご不明な点を残さず お尋ねくだされば幸いです)








2016年に行われた調査によれば


猫の死因


1位 『 慢性腎不全 』 / 2位 『 腫瘍 』 / 3位 『 循環器疾患 』



表記がまとめられているだけで、死因第3位なのです。

特に猫さんに多いのは 肥大型心筋症。



2021年の動物病院さんの記事には

健康な猫の15%で肥大型心筋症が認められたとあります。


検査以外の基本的な事について詳しく書かれておられますので

そちらもご参考に。








ではどうすれば心筋症かの判断ができるのでしょうか。




【 今すぐにでも出来る簡単チェック 】



・ 安静時の呼吸が1分間30回以上

・ 安静時でも呼吸が苦しそう

・ 歩くのがおっくうそうだ

・ 痩せてきた

・ 乾いた咳が出る

・ 歩くとふらつく

・ 口で息をする

・ 胸部や腹部のに膨らみを感じる(胸水・腹水)

・ 痙攣して失神する

・ 発作が起きチアノーゼになる

・ 後ろ足が立たない




上記のような事はありませんか?

こんな症状が出ていれば、もう中度以上かと思われます。


心筋症の怖いところは、軽度~中度では症状を感知することは難しく

上記の症状がなくとも、心筋症の場合があります。


現在が正常なのかを把握するには検査しかありません。

気づいた時には重篤化し、命の危険がある病気です。

突然死と言われる中には、きっとこの心筋症が含まれています。






【 心筋症の確認 】





《 聴診器での雑音確認 》




雑音が聞こえなくても心筋症の子はいるため

こちらはミニマムな簡易確認検査となります。





《 レントゲン検査(心臓の形や大きさを知る) 》





猫さんの正常な心臓の大きさは2-3肋間。

心臓が肋骨何本分の大きさかで見ます。





《 心臓エコー検査 》




心臓の 動き・比率・厚み 等を知ることが出来ます。



上記によって不安な部分があれば

心電図等他の検査も追加で検査していくと

より把握できるかと思われます。







【 好発猫種と発症年齢 】



・ スコティッシュフォールド

・ ラグドール

・ アメリカンショートヘア

・ メインクーン

・ ペルシャ

・ ヒマラヤン

・ ノルウェージャンフォレストキャット



※ 順不同であり、発症しやすい順ではありません。

※ 好発すると言われるだけで、この他の猫種も発症します。

※ 上記猫種は特に遺伝性(家族性)発症が多いとされています。

※ 発症年齢は、高齢が多いとも言われますが関係なく発症します。






【 心エコー検査で何を調べるか 】



《 AO(大動脈) / LA(左心房) 比率 》


左心房の大きさの判定。心臓が正常に動かず逆流を起こしていると

左心房の拡張が進行するため、重症度評価のひとつとなる

当方かかりつけ病院では、1 対 1.5以下が正常値。

(各病院や論文によって、正常値は前後します)





《 左室内径短絡率 : FS 》



心臓の拡張時と、収縮時にかけて何パーセント収縮したかを知る数値。

心臓が正常に収縮し動いているか、逆流が起きていないかの確認。

当方かかりつけ病院では、35-65%以下が正常値。

(各病院や論文によって、正常値は前後します)





《 左心室壁厚(厚み)》


心臓の内部壁が厚くなると内部空間が狭くなり

血液の流れを妨害し1回で送り出す血量が減り

血栓も出来やすくなります。

血流が悪くなると、ふらつき・失神を起こすこともあります。

当方かかりつけ病院では、4-6mmが正常。

(各病院や論文によって、正常値は前後します)






【 心エコー検査の方法について 】



通常、エコー検査にて身体に負担のかかるような事はありません。

動物病院によっては、猫のエコー検査は

『 鎮静(全身麻酔)や 毛刈り(機器を当てる部分の毛を刈る)等を

しなければ出来ないため、猫に負担がかかる 』

と仰る獣医さんもおられます。



こんな状態ですね (;-ω-A




保定がしっかり出来る飼い主さんや看護士さんのもとなら

鎮静は必要ありません。鎮静自体が身体に負担をかけるのです。

(我が家の威嚇娘も、鎮静無しで行なっています)



2022年の今では

鎮静・毛刈り無しで診て下さる獣医さんも増えています。

鎮静をかけるのが当然では無いこと

これこそが危険だということを、飼い主は知っておくべきです。

(鎮静無しで検査してくださる獣医さんを探しましょう)






【 心筋症と麻酔(鎮静)】


心筋症と知らず、手術等で全身麻酔をかけると戻ってこない場合もあります。

サマーカット等で鎮静をかける場合も、同様です。


前項にも記しましたが、逆を言えば、

心筋症かどうかを知りたいために

” 検査で鎮静をかける ” というのは、本末転倒なのです。







【 血液による心筋症検査 】



心筋症かを確認する手段として

もうひとつの確認方法が血液による検査

NT-proBNP検査
というもの。



検査の方法は


かかりつけ病院にて血液を採取



外部機関にて検査



結果の用紙と共に報告が届く



結果の見方は





検査機関HP



検査結果が100未満なら心筋症の可能性が低く

現時点では正常とされる。



我が家の参考資料としましては






モカがMAXを超えて計測不能。

モカは保護時にバレンタインハートと診断されるほど

(バレンタインハート:肥大しずぎて多臓器の圧迫を受け心臓が変形)

心臓が非常に悪い状態でした。


それでも発覚からの投薬で、現在も穏やかに暮らせています。






エコー検査が苦手な獣医さんもいらっしゃるかもしれません。

この検査なら、鎮静・毛刈り無しで心筋症検査が出来ますので

NT-proBNP検査だけでも行うと安心です。





【 検査の流れ 】



ここまで記した検査についての流れを説明します。



《 通常 》



聴診器 (雑音があるか確認)



レントゲン検査 (心臓の大きさを写真で見る)



エコー検査 (比率・短絡率・厚み : 一度に3つの検査をする)



上記検査を総合判断し、投薬を決める



検査は人間が行うため誤差も生じますので

確認のためや、現在どれだけ悪いのかを知るために

NT-proBNP検査をする







《 エコー検査が出来ない場合 》




NT-proBNP検査をする(隠れ心臓病検査として)









【 抱き上げ方 】


心臓の悪い子は、普段も勿論ですが

慌てている 発作中や発作後・病院へ連れていく際にも

仰向けにさせず、猫さんの自然の体勢を維持して抱き上げてください。

普段、自分からヘソ天をする分には全く構いません (*゚ー゚*)





【 治  療 】


投薬で維持していきます。

胸水が溜まってしまう場合には利尿剤や

ドレーンの設置を行う場合もあります。

ストレスを与えず、激しい運動を避けるのも

治療のひとつになります。







【 その他 】



心筋症は完治が難しいとされ、幸運で完治。良くて維持。

そのため早期発見が一番です。

また当家の経験から、猫の心臓の大きさや、大動脈/左心房比率等は

猫の体格との関連もあるような気がします。


心臓病には、この肥大型心筋症の他

拡張型心筋症・拘束型心筋症・僧帽弁閉鎖不全症など

病気の種類もさまざま。




我が家では


肥大型心筋症: モカ・ゆず・さすけ・ちゃたろう

拡張型心筋症: ぴっち・くぅ


となっており

モカ・ゆずは、毎日心臓薬の投薬。

さすけ・ちゃたろうは、心壁が厚いため 予防的に3日に1回のアスピリンのみ。

ぴっち・くぅは、現在は快復しましたが、再発予防として

タウリン(栄養素)を毎日服用しています。






心筋症には遺伝的な要素もあり

ブリーダー崩壊っ子達の親御さんにも呼び掛けて参りました。

強制は出来ないため、呼び掛け・情報提供ですが

今現在も定期的に調べて対応下さっている里親さま達。

いつも経過報告をありがとうございます。

ご苦労、ご負担をお掛けしておりますが

大切に思って下さっていることに感謝申し上げます。







そして、元気だから関係ないのではなく

目に見えずに潜んでいる場合も多くあります。

MIX猫さん だから安心ということも無い。

まずは一度、ご自身の子の検査をされることをお勧めします。

まずは調べてみて(- o -)ほっ・・・と出来るといいですね。

そして、年に一度でも定期的に調べることをお勧めします。











~ 余 談 ~


過日 『 投薬出来ない子 』 について相談がありました。


※ 錠剤を飲んでくれない

※ 粉にしてウェットごはんに混ぜてもバレてしまう

※ 元々、オヤツ類を食べない子

※ お口周りを触られるのを嫌がる子

※ お客様が来た途端に隠れてしまう子


との事でした。


私が行って・・・とも提案しましたが上記の理由で無理




そのため、ご相談の結論は 『 注射 』 で対応

しかありませんでした。



今回は抗生物質でしたから、注射で対応出来ましたが

先を考えると投薬できる事は必須です。

上記のような子と共に暮らしている親御さま。

健康なうちに、徐々に徐々に慣れて貰ってください。








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コメント
 
 
 
Unknown (チャンプママ)
2022-02-05 21:11:17
ひめさん、お忙しい中、色々励まし、アドバイス、
気合い入れ、ありがとうございました。
血液検査の数値がMAXでも、普段通り元気で、
ご飯もいつも通り食べてました。
過去には戻れませんが、何であの時、血液検査の結果が出た時、私は何も行動できなかったんだろう、血栓予防薬を
飲ませなかったんだろうと、だけど、時間はもどりません。
おはぎ、頑張ってくれてます。
1日1日を大切に過ごしていきたいです。
ありがとうございました。
 
 
 
Unknown (まねき猫)
2022-02-05 23:53:55
私も血栓が足に飛ぶのを心配していました。
一度フラフラになり、うまく歩けなかった時があり、大急ぎで病院へ。
血栓ではありませんでしたが、あの時のことを思うと今でもドキドキしてしまいます。

シニアと言われる7歳の誕生月の毎年の定期健診では、特に異常なし。その半年後、肥大型心筋症の重篤との診断。
3か月持つかどうかと言われ、呆然としました。
心臓の病気は大変厳しいものだと思い知らされました。
元気でいたずらっ子、まさかそんな病気に罹患していたとは…。
年に一度の健康診断でOKをもらっても、おもちゃに反応しなくなったり普段と違う場合、診てもらった方がいいですね。

チャンプママさんとおはぎくん、お二人ともすごい!
がんばりと前向きな気持ちにエールを送ります。

ひめさんも6にゃんの心筋症の子たちと毎日闘っているんですね。頭が下がります。
 
 
 
チャンプママさま (ひめ)
2022-02-06 00:44:50
こちらこそ、再度啓発をしなくては…とは思うものの
お気持ちを考えれば、おはぎ君には触れずに…と迷いに迷っている中
“皆さんにこんな思いをして欲しくないから” と、背中を押して下さって
本当にありがとうございます(;Д;)

心臓を気にかけていなければ、何が起こったのか解らないくらい
いつもと変わらない様子だったんですね。
時間は戻らないけれど、ここまで頑張ってくれたのだもの。
おはぎ君の心臓が安定して、また安心して過ごせる日が来ます事を
心から願っています。
 
 
 
まねき猫さま (ひめ)
2022-02-06 01:12:40
コメントありがとうございます。

病は 経験している•した者にしかピンと来ないんですよね。
猫さんの腎臓病は広く知られており、注意も向きますが
心臓はなかなか…ですよね。

突然死と言われる猫さんの急死。調べようのない病もきっとありますが
何かを見落としていたという事もあります。
その中に心筋症はかなりの確率で含まれているように思えます。

シニアと言われていてもまだ若い7歳。だからこそ進行も早かったのかな。
半年での重篤化は、驚いたでしょう(´;ω;`)
命の宣告は、親の私達にも堪えますよね。

心臓が動いているからこそ、全ての臓器が動いている。
本当に重要な臓器の検査が、まだ少ないのは怖いですね。

おもちゃへの反応。そういうのって解りやすいですね!
ありがとうございます。
いつもしない事をしていたり、残さず食べる子が残すとか。
結果心臓悪化ではなかったとしても、疑って検査するって大切ですね。

チャンプママさんは、ふたりを守るために本当に頑張っておられる方です。
大切に育てられた子達は、本当に幸せだと思います。
ここからどうするかって、常に前を向ける事は素敵ですよね。
そんな方には、素晴らしい未来があって欲しいです。
 
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