近所に、24時間営業のスーパーがある。
こんなの、初めての体験。
とても、うれしい気分だ。
ところで、
どのスーパーにも、たいてい、
「見切り品コーナー」がある。
私の実家も、スーパーなので、
この「見切り品」があり、安く売っていた。
たとえば・・・
柔らかくなった「柿」とか、
黒い斑点のついた「バナナ」などだ。
子供の私は、この「見切り品」の掃除係だった。
どういうこと?
少年の私は、
オナカが空いたとき、
店に出てゆく。
フルーツコーナーなどに行き、
「見切り品」を見て歩く。
そして、それを見つけると、
茶の間に帰り、
食べちゃう・・・という係だ。
そのおかげか、
中学2年生のとき、
身長が、一年にグンと、11センチ、伸びた。
いつのまにか、
クラスで、一番、身長が高くなっていた。
魚でも、売れ残り品は、
夕食のオカズになった。
だから、毎日タラコとか、
サツマアゲなどを、食べていた記憶がある。
中学時代の弁当のオカズは、
ほぼ毎日、「クジラの大和煮」の缶詰だった。
大洋漁業の製品だった。
あの味は、私の中学時代の思い出だ。
恋とか、勉強とか、生徒会とか、
そういうものの思い出は、
「クジラの大和煮」とともにある。
その後、捕鯨は禁止になり、
これはこれで、私は基本的に賛成だが、
クジラには、とても、お世話になり、
深く感謝している。
私の家のスーパーは、女性の下着も売っていた。
いや、女性の物は、頭のテッペンから、
つま先まで売っていた。
今でも、なぜか記憶に残っているのは、
「軽石」だ。
女性のお客さんは、なぜか軽石を、
よく買っていた。
男は使わず、女性だけが買っていた。
なぜ買うか?
足の踵(かかと)を、こするためだ。
理由はふたつあった。
ひとつは、美容のためだ。
女性は、足の隅々までも、かわいく見せたい。
だから、赤いペディキュアを塗ったりする。
もう一つは、ストッキングの伝線を防ぐため。
角質化した踵は、ストッキングにひっかかるのだ。
思春期になると、女性の下着は、まぶしく見えた。
少年の私が、いつも不思議に、思っていたのは、
「女性のパンティは、なぜ股のところにゴムがあるか?」
その他、靴も売っていたので、
「女性は、なぜ、ハイヒールを履くか?」
ヘアカーラーやヘアダイも売っていたので、
「女性は、なぜ、髪が長いか?」
イアリングも売っていたので、
「女性は、なぜ、イアリングをするか?」
・・・というわけで、スーパーをやっていたおかげで、
いろいろと、「女性とは、何者?」について、
考えさせられた少年時代だった。
だから、1990年代に、携帯が出回ったとき、
「これは、女性が超大好きなものだ!
きっと女性革命が起きるだろう!」
と確信した。
女性にとって、携帯のアドレス帳に載っている人間だけが、
「自分の近隣」なのだ。
東京の電車に乗ると、女性10人のうち4人は、
携帯を見ている。
携帯は、女性を変えたのだ。
女性にとって、
地下鉄や、ファーストフード店の、隣の座席の男は、
とりあえず、どうでもいい。
だから、電車内でも、平気で化粧をする。
私は、女性が化粧をしても、平気だ。
ただ、電車内で、髪をとかす女性だけは、イヤだ。
フケが、周囲に、飛ぶからだ。