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古今東西のアートのお話をしよう

映画 CLOSE クロース

2023年のカンヌ国際映画祭 脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した是枝裕和監督、坂元裕二脚本の”怪物“


2022年のカンヌ国際映画祭 グランプリ(審査員賞)を受賞した“CLOSE/クロース” を観ました

”怪物“は“CLOSE/クロース”の影響なしには語れない事がよくわかった



クロース冒頭の美しい映像


花畑を疾走する、レオとレミ



草むらを走る、依里と湊


”怪物“ ”クロース“ と制作年とは逆に見たわけですが、“クロース”が先に日本で上映されていれば(怪物の公開のため、1年遅れたのだろう)”怪物“のヒットはなかっただろう…

是枝裕和監督は”クロース“を意識しながら、あくまで、黒澤監督の“羅生門”ですよといいたいのだろうが、カンヌの審査員は、クロースの既視感に困惑したのではないか、”脚本賞“も黒澤監督へのリスペクトではなかったのかと訝んでしまう


クロースのあらすじは、
13歳のレオとレミは、24時間ともに過ごす大親友。中学校に入学した初日、親密すぎるあまりクラスメイトにからかわれたレオは、レミへの接し方に戸惑い、次第にそっけない態度をとってしまう。気まずい雰囲気のなか、二人は些細なことで大喧嘩に。そんなある日、心の距離を置いたままのレオに、レミとの突然の別れが訪れる。季節は移り変わるも、喪失感を抱え罪の意識に苛まれるレオは、自分だけが知る“真実”を誰にも言えずにいた…。オフィシャルサイトより



中学に入学したレオ(右)とレミ



オーボエが得意なレミ


レミの母親とレオはとても気が合う



レミと仲違いしたレオは、アイスホッケーにのめり込む


監督のルーカス・ドンは、ゲイであることを公表し、本作も自身の経験から制作されたと語っている


物語は、『そんなある日、心の距離を置いたままのレオに、レミとの突然の別れが訪れる。季節は移り変わるも、喪失感を抱え罪の意識に苛まれるレオは、自分だけが知る“真実”を誰にも言えずにいた…。


見どころは、
罪の意識を抱えたレオと愛する一人息子を失ったレミの母との葛藤を、「昔の日本映画」のように丁寧に描いていく。

もう一つ、フランスと日本の教育制度の違いが重要です

フランスの義務教育は、2019年から幼稚園3年、小学校5年、中学4年の12年間です(日本9年)

また教師の分業体制が進んでおり、教師は授業をすることが本業で、ホームルームはその担当、給食もその担当、父母の対応担当など分業体制が進んでおり、日本は授業から給食、生活指導、父母対応など全般を一人の教師が行っています

”クロース“でも、レミの母がレオに「学校の先生はどう?」と聞くと「いい先生と面倒くさい先生がいる」「面倒くさい先生は無視すればいいのよ」という、フランクな会話が、フランスの学校(教師)と生徒、家庭の関係を表している


“怪物”で、永山瑛太の教師が、授業から生活指導、イジメ問題、父母対応まで学童の全ての問題が一人の教師の責任であるのに対して

”クロース“では、レミの自殺のショックを専門の教師が、生徒一人ひとりにレミの思い出を語らせ、皆んなでディスカッションするという、日本ではまず考えられないようなホームルームが描かれています

この、日仏の教育の違いは、“怪物”を観たフランス人に違和感を与えるだろう


”怪物“のプロデューサー、スタッフは、“クロース”・教育制度の違いを知りながら、(日本の教育制度を批判しているとも思えない)億面もなくカンヌ国際映画祭に出品する厚顔さをどう理解したらいいのだろう…




”怪物“ ★★★☆☆

“クロース” ★★★★☆

お勧めします


日本の教育制度を根本的に変えないと、学校はブラック企業、教師希望激減、家庭は学校・教師に不信の悪しき連鎖が止まらず、イジメ問題、差別意識、自殺など日本の未来に関わる問題だと思います。


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