古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

やまと絵展 攻略プラン

2023-09-14 23:54:31 | 美術ブログ

なにげに空前絶後の『やまと絵』展
出品作品をよく事前確認して、
計画をたてることが肝要ですね

ポイントをまとめてみました
ご参考に!


【展示期間:第一期 10/11(水)~22(日)、第二期 10/24(火)~11/5(日)、第三期 11/7(火)~19(日)、第四期 11/21(火)~12/3(日)】
月曜休館(要サイト確認)

●日本四代絵巻
 ・源氏物語絵巻 通期場面替え

 ・信貴山緣起絵巻 通期場面替え

 ・伴大納言絵巻 第一期のみ

 ・鳥獸人物戯画 

甲乙丙丁各巻一期


●神護寺三像 第二期のみ展示

 ・伝源頼朝像

 ・伝平重盛像

 ・伝藤原光能像


●三大装飾経

 ・久能寺経 第三期第四期

 ・平家納経 通期

 ・慈光寺経 第三期第四期




公式サイトで他の作品も確認できます


観覧料:一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円
ウェブチケット:土日祝は日時予約、ペアチケット(2枚)平日限定3,800円(一人で2回使えます)


必ず公式サイトを確認!




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三大装飾経 やまと絵展

2023-09-13 23:54:10 | 日本美術の特徴
日本美術の特徴を作品を通じて
見てみようシリーズ
第五弾は、やまと絵の系譜
『装飾経』です

平安時代の貴族はオフィシャルには密教を、日常的には法華経を信仰していた。法華経には、仏像、仏画をつくり、写経が功徳になると説かれている。法華経は女人成仏を説き、女性の信仰を集め、法華経美術に繊細優美の趣を与えた。
写経を美しく飾る事はさらに功徳があるとされ、競うように華麗で優美な装飾経』が制作された。





平家納経 1164年 国宝

平家一門がその繁栄を祈願し、厳島神社に奉納された。法華経の登場人物を女房姿であらわし、女神である厳島の神を荘厳し平清盛の海上交易の発展を祈願している。

1602年、本阿弥光悦は平家納経の修理を依頼され、当時無名の俵屋宗達を採用した。この経験が『琳派』誕生の契機になった。




久能寺経 1141年 国宝

鳥羽上皇の出家の折に制作。静岡市の久能山にある久能寺(現在は鉄舟寺)に伝来した。皇后待賢門院を中心にプロデュースされた。




慈光寺経 1206年 国宝

太政大臣の急逝を悼んだ後鳥羽上皇が、中宮宜秋門院を中心にプロデュースして制作された。
埼玉県比企郡にある天台宗の寺院、慈光寺に伝来した。

岡倉天心は、「奈良朝は理想的なる、平安朝は感情的なる、足利時代は自覚的なる、これをその形に現れると壮麗、優美、高淡」と語っているが、『装飾経』は『源氏物語絵巻』と共に、女性を対象とする、あるいは女性がプロデュースした美術で、”優美“の代表であり、『ジェンダー』を考える作品だと思う。



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山口晃 ジャムセッション アーティゾン美術館

2023-09-13 16:21:30 | 日記

表題にあるサンサシオン(Sensation)とは、気持ち、感覚という意味のフランス語ですが、ここでは山口晃氏が「今一度日本人の『近代絵画』に対する向い方を問いたいという思い」と「普段の視覚認知機能を疑い、混乱させ、そこから引き起こされる、新たな(本来の)視覚認知機能を気づかせたいという思い」= ”サンサシオン“ を、近代日本の美術・文化について、山口自身が感じている感覚(違和感、掻痒感)を共有(追体験)して欲しいという“思い”ではないだろうか、と感じた。

会場の入口、

暗い階段を上がる


あれ? なんか変だぞ

部屋が化傾いている!!
まっすぐに歩けない…
私の視覚と三半規管は、歩くことはおろか、立っていられず、右にずれ落ちて、とんでもない『G』を感覚する… もう少しで嘔吐しそうだ

最初から『視覚認知機能』にカウンターパンチをくらい、異界に導かれた

ジャムセッション 石橋財団コレクション ✕ 山口晃
の題材は、「セザンヌと雪舟」

ポール・セザンヌ 
サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール 1904-06年頃

山口晃 セザンヌへの小径(こみち)
2023年

山口晃がサント=ヴィクトワール山を訪ね、絵画と実景について「現地で驚いたのは、色彩の写実性」と記し、小林秀雄の『近代絵画』のサント=ヴィクトワール山の解説をひき、「絵を描かない人がここまで書けるのか!」と驚いている。

『サント=ヴィクトワール山』は、見れば観るほど山水画のように見えてくる。しかし、多視線で近景、中景、遠景を描くが、近景が歪み、遠景は歪まない。山水画の『三遠』とは異なる。

雪舟 四季山水図 室町時代15世紀
重要文化財

(以下ネット画像借用)
春図

夏珪様で描かれた端正な四季山水図、後の『秋冬山水図』のような荒々しさ、奥行きは感じられない
【参考】
雪舟 秋冬山水図 国宝

山口は、そんな雪舟な
という解説で、『「雪舟もよくわからなかった」「俄然として雪舟に目覚める」で、初めて雪舟に感動を覚えたのは〈秋冬山水図〉の「冬景」においてでした。何によるのか解らないながら、無性に怖さを感じたのです。とにかく怖いので、少し離れたところから眺めておりました。そのうち「ああ、この片ぼかしが凄いんだな」と気づくのです。』と解説しています。

雪舟をリスペクトし、山水画独特の『遠近』を表現したインスタレーション「アウトライン アナグラム」2023年
 
アウトラインアナグラムの下図、模型
山水画、特に雪舟の山水画は、書割(かきわり)を並べたような奥行のレイヤーが特徴的

〈アウトラインアナグラム〉は、
残念ながら、撮影禁止…
細い通路を暗がりに向かって進むと、空間を切り取った窓からすだれごしに展望がひらけ、遙かに奇なる岩山がそびえる。眼下には、下る坂に家並みが張り付くように建っている。右に目を向けると鬱蒼とした山に反射炉のような塔が見える。

雪舟の水墨画を舞台の書割に展開したようなインスタレーション
有るようでなかった作品

とにかく、その場に行かないと
分からない空間

水墨画の中で、山水を眺める高士
になったような感じ
茶を喫しながら何時間でも
眺めていたい

〈アウトラインアナグラム〉

山口晃 すずしろ日記 2023年

山口晃 東京圖 2018-2023年

山口晃 日本橋南詰盛況乃圖
2021-2023年

山口晃 来迎圖 2015年

〈アウトラインアナグラム〉は

今年度No1の作品

★★★★★

強くお勧めします



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神護寺三像

2023-09-11 22:35:16 | 日本美術の特徴

日本美術の特徴を作品を通じて
見てみようシリーズ
第四弾は、やまと絵の系譜
『肖像画』です

鎌倉時代は、肖像画が隆盛した時代でした。
肖像画のもとは、禅宗の頂相(ちんそう)で、祖師、高僧の肖像画の舶載の宋画があります。

無準師範像 中国南宋 1238年
東福寺蔵 国宝

中国の頂相、文人肖像画などを元に似絵(にせえ)が制作される
似絵は白描で画かれ、平安時代の白描画の伝統をひくもの

随身庭騎絵巻 13世紀半ば 国宝
随身(ずいじん)と貴族の外出時に警護する近衛府の官人。


伝藤原信実 後鳥羽院天皇像
13世紀半ば 国宝


蘭渓道隆像 13世紀後半

1246年に来朝した南宋の蘭渓道隆(建長寺開山)南宋での制作とされるが、日本制作かもしれない


そして、神護寺三像
有名な伝源頼朝像 大画面です
陰影、肉付のない平面的、2次元画面で背景は無いベタ塗りです
顔は裏彩色で白さが際立ち、顔の白と冠、衣装の黒が対照的です

伝源頼朝像 14世紀 国宝
143.0×112.8cm


伝平重盛像 14世紀 国宝
143.0×111.2cm


伝藤原光能像 14世紀 国宝
143.0×116.6cm

神護寺三像も『やまと絵』展に
出展されます!!




日本四大絵巻

2023-09-11 17:58:36 | 日本美術の特徴

日本美術の特徴を作品を通じて
見てみようシリーズ
第三弾は、やまと絵の系譜
『四大絵巻』です

白河院、鳥羽上皇の院政時(1086〜1221)、中国の画巻(がかん)が日本化(日本の物語)された絵巻(えまき)が流行し、四大絵巻の『源氏物語絵巻』(12世紀)が完成する。



源氏物語絵巻 12世紀


その後、後白河法皇(1127〜1192)により、四大絵巻の『伴大納言絵巻』『信貴山縁起絵巻』が制作され、『年中行事絵巻』『病草紙』『地獄草紙』『小柴垣草紙』などと共に蓮華王院(三十三間堂)に奉納される。





伴大納言絵巻 常盤光長 12世紀後半



『伴大納言絵巻』は、宮廷絵師の常盤光長(土佐派の先祖のひとり)によって描かれた、御所応天門炎上をめぐる伴善男(とものよしお)の陰謀という大事件の物語。





信貴山縁起絵巻 12世紀後半



『信貴山縁起絵巻』は、聖徳太子により創建されたと伝えられる奈良県生駒の信貴山朝護孫子寺の縁起物語。摩訶不思議なストーリーが、躍動感あふれる画面の中に次々と展開する。


これに『鳥獣人物戯画』を加えて日本四大絵巻と呼ばれる。



この四大絵巻がそろう『やまと絵』展は見逃せません