2022年8月13日(土)晴れ 2004年8月13日に米軍海兵隊大型ヘリCH-53が沖縄国際大に墜落。あれから18年の日。私は佐喜眞美術館に行ってきました。
私がこの「『復帰』後 私たちの日常はどこに帰ったのか』展(6月17日-9月11日)を観るのは、2度目。通い慣れた会場ですが、入ってすぐに、喜屋武千惠さんの「白澤の図」が怖そうな顔をしてデンといる。左奥に与那覇大智さんの横文字の「HOMEーHENOKO-INVICTUS」がある。抽象画ですが、あの辺野古の海が埋め立てられている様を現わしています。物静かな画風だから、逆に迫力がある。こうした絵を如何にして制作するのか、不思議です。それは下絵を何枚も描き、組み合わせていくのでしょうが、唸らせられます。彼は多分現場に通ったのでしょう。とうてい報道だけで書けるものではないでしょう。画家の力が発揮されている。
左奥に石垣克子さんの絵が並んでいる。具象画ですが、具象でも、ただのそれぞれの場所の絵にとどまっていない。77年前に戦場になった黄金森や今埋め立てが進む辺野古・大浦湾が描き出されている。青い海にデッキ・パージが浮かぶ構図は単純だが、深い。石垣克子さんの目は確かだなと私は思う。
中に宇良京子さん、仁添まりなさん、阪田清子さん、泉川のはなさん、儀保克之さんの作品が並んでいる。一つ一つご覧いただきたい。泉川さんの「南国遊覧の図」は色合いが淡く、ぐっと迫ってくる作品ではない。クルーズ船はわかるのだが、すべての人物は下半身のみ。腰から上は見えない。あなたはここにいるの? どこにいるの? と問われているようだ。
よくみると、左奥に米国海軍高速輸送艦がいる。しばしば那覇軍港に来ている奴だ。海と花と人がクルーズ船と高速輸送艦に取り囲まれており、アイロニカル。というか、これが沖縄の現実だ。この画面では、武器弾薬は見えないが、武器弾薬を戦場に運ぶのが高速輸送艦。戦争とくっついている事を示唆している。人の上半身が見えないこともここを示唆しているのだろう。
美術は構想力だなぁ。沖縄という場を構想力の基礎にもつ制作者たちの営みをこれからも私は注目していく。
と思っていたら、
8月後半にトークが拓かれる。もう一度行けるかな。
皆さんも是非ご覧ください。入場料800円です。