ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【是非とも拡散願います】参議院総務委員会各委員宛 地方自治法の一部改正案に対する要請文(20240614)

2024年06月14日 | 要請文・決議文

以下の要請文は、現在国会で審議中の地方自治法一部改正案を検討し、廃案を求めるものです。多くの皆様が、問題意識を共有してくださることを期待しています。反対の声を国会へ、岸田政権に届けましょう。

 

参議院総務委員会 各 位

「地方自治法の一部を『改正』する法律案」は、疑問だらけ。熟慮の上、廃案を求めます。

                                        山本英夫(名護市在住)

(1)経過と基本的な問題点
①2024年3月1日、岸田政権は、「地方自治法の一部を改正する法律案」を国会に提出した。同法律案は、私が読む限り、大問題である。この国に生きている人々の命の営みをないがしろにし、毀損していきかねない大きな手段を国(政権・各大臣―省庁)に与えるものであり、私は到底看過できない。
 まして、沖縄に暮らしている私は、地方自治法第245条の8「代執行」を強行された経験を重ねると、法定受託事務も自治事務の区別もなく、国が「特例」であれ、地方公共団体に指示権をもつことは、2000年の「分権改革」を根本から破棄することになり、全く容認しがたい。

➁この国の政権・官庁が、「国民の安全」を掲げる根拠は、どこにあるのか?
 同法案第14章「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と普通地方公共団体との関係等の特例」とある。この特例は一体何か? 第252条26の3「各大臣又は都道府県知事その他の執行機関は、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と規定している。
 しかし全く客観的な基準を欠いており、如何なる事態のどの程度の事態なのかの指標すら示されていない。例えば、「北陸(石川・富山・福井の各県に跨がる)大震災」に対して、岸田政権・気象庁は、「能登半島地震」と称するなど、住民が受けた被害規模からすれば、「大震災」か、「大」なしかの区別を印象操作で行なっているようだ。本法案も同レベルではなかろうか。印象操作で、逆に「特例」がまかり通ることは、あってはならない。
 そして重大なことは、同法案の「国民の安全」ということが、何を含意しているのか、全く不明だ。以下、「北陸大震災」から考えてみたい。

(2)「北陸大地震」から考える
①地震とは、現代科学をもってしても、予知できないものだ。如何なる地形・地質の上で起きるか、如何なる構造物上で起きるか、揺れの方向や速度など、千差万別。国の知見で判断できることではあるまい。現場を担当する地方公共団体と、お金を出すべき国との協働が求められる。
だからこそ、国と地方公共団体に上下関係を作ることで、人の命を救えるとする根拠を各位は考え、岸田政権・総務省に問うべきだ。

➁岸田政権は「北陸大震災」で被災した住民らに対して如何なる援助を与えているのか? いまだに被災地の少なからぬ街並みは崩壊したままに置かれている。水道・下水道も大半が各戸と接続されていないと報告されている。国はこうした現状を放置しながら、「国民の安全」を掲げることじたいがおこがましい。人々に対する責任を取らずに、国の指示権を地方公共団体に法制化することは、あってはならない。 

③となると、何が目的なのかを問わなければなるまい。感染症だとすると、その種類や規模によって、これまたまちまちだろう。まずは新型コロナ感染症の解析を進め、総括することが大前提になるはずだ。火山の爆発であれ、個別ケースによって異なる。やはり現場と国の協働こそが重要だろう。そのための協議なしに上から進める国の姿勢は、あることを予見させる。それは戦争動員のためだろうということだ。

(3)「特例」が編み出されてきた背景とは、何か?
①2014年の有事法制(戦争法)の閣議決定以降、日本国憲法は「最高法規」としての法規範から引きずり下ろされているかのようだ。違憲・脱法行為が閣議決定で強行されている。そして沖縄県などにミサイル基地などが造られ、対[中・朝鮮・露]の軍事態勢が敷かれている。2022年12月、「安保3文書」が閣議決定されたのだ。岸田政権は、先制攻撃を米国・米軍ら同盟国と可能とする態勢を敷いてきた。
 この過程は、防衛省が繰返し口にしてきた平時から有事への「シームレス」な対応が、遂に人々の命の営みをも把握する、抑え込む事を必要とする事態を迎えたのだろうか。
 だからこそ、同法案は「その他その及ぼす被害の程度においてこれに類する事態」なる抽象的な文言で、「おそれ」を付記しながら普通地方公共団体に指示等をするというのだ。

➁「生命等の保護の措置に関する指示」が同法案第252条の26の5に規定されている。これも如何なる事態のことか、何を指示するのかは全く白紙である。
 「生命等の保護」と聞けば、麗しく聞えるかも知れない。しかし79年前の沖縄戦では全く異なる。ウチナーグチを吐けば、スパイだとして斬殺された。軍隊が優先だとして、住民は壕から追い出された。赤ちゃんは口を塞がれて殺された。書き出せば、切りがない惨状を軍隊等が行なったのだ。また当時の沖縄県を含む全県の知事は官制であり、国の下請け機関だった。この国はこうした過去をどれだけ学び直しているのか? 同じような過ちを犯しかねないと私は危惧している。
 また、「普通地方公共団体相互間の応援の要求」(同法案第252条26の6)から「職員の派遣義務」(同法案252条26の10)まで、ほぼ同様の懸念を孕んでいるだろう。

(4)結語。そして各位に求めたいこと
①以上見てきたように、同法案が政府・官庁へ白紙委任状態にあると考えると、私は空恐ろしいことを想起せざるを得ない。空っぽの言葉を並べただけで、地方公共団体を縛る先に垣間見えてくることは、住民の基本的人権の剥奪だ。そこには悪夢のような戦前回帰が待っているのだろう。
日本国憲法下において「地方自治」(日本国憲法第92条から95条)は、初めて憲法に定められ、地方自治法に定められた。地方自治が日本国憲法に組み込まれたのは、住民自治・団体自治がなかった戦前、戦争態勢を国の隅々まで容易に貫徹できたからだ。こうした反省が戦後の地方自治にあることを私は、反芻し、この意義を拘り抜く。もしも、こうして地方自治が剥奪されてしまうならば、日本国憲法の骨が肉が、剥ぎ取られていくに等しいだろう。
 参議院総務委員会の皆様に申し上げる。今こうした法案を通していくことは新たな戦前への道に入り、沖縄県を戦場に追い込み、各地にも戦禍を飛び火させていくだろう。それで潤う御仁もいるかもしれないが、同じような愚をあなたは繰り返すのだろうか。主権者は私達だ。熟慮の上、同法案を廃案に追い込んでいただきたい。(2024年6月14日)連絡先(略)



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