今年の桜巡りのラストは、今年のメインイベントの一つ、那賀町・白石観音堂の枝垂桜。
昨年、到達できなかったことを当ブログに書いたところ、「あきら」さんよりコメントをいただいた。
御祖父が近くの出身ということで、情報をいただいたのだが、今回訪問するに当たり、詳しい場所などの情報をお願いしたところ、ご丁寧な回答を送ってくださった。この場を借りてお礼申し上げます。
6時半出発、阿南経由の南周りで那賀町へ。白石地区へ着いたのは9時半。細い道を登って行く途中、地元の人に出会ったので、確認の為場所をお聞きすると、目的地はすぐだった。「山道を下らずに上を目指すように」とのアドバイスもいただいた。
モノレールの集荷場らしき場所に車を停め、装備を背負う。今日はザックに一式を入れており、登山靴に履き替えて出発。
あきらさんに教えていただいた通り、山道を少し行くと「枝垂桜」の看板があり、10分ほど進んだところで道が消失。枯れた沢のような小川を溯上するように登っていくと、再び道が現れ、右上方に観音堂らしき建物がある。全て教えていただいた情報通りである。
写真で見た枝垂桜は、目立つ樹だったが、近づいて見た枝垂桜は、既に盛りが過ぎていて、花より葉が目立つ状態。 普通なら期待外れでがっかりするはずだが、なぜか不思議に引き付けられた。
下5m程の部分に比べ、上部がとてもアンバランスに見えるのは、折れたのだろう。樹齢約200年の重みだろうか。桜の花が期待外れであったにもかかわらず、残念だという気持ちにならない。むしろこの樹に会えてよかったという思いしかなかった。
今まで見てきた枝垂桜より、枝が細く、花弁も小さいようだ。脇にもう一本、枝垂桜があるが、これは子に当たる樹だろうか。
この観音堂におさめられているのは那賀町指定文化財の「十一面観音像」。ちなみにこの枝垂桜も文化財指定されている。
撮るよりもボーっと雰囲気に浸っていると、観音堂に近づいてくる人がいる。観音堂の掃除に来られた方のようだ。高松からこの桜を見に来たといったら、物好きな人だと思われたようだ。
話を聞いていると、この桜は枯れかっており、昨年文化財の指定を外されたとのこと。ここまで来る道を考えても、最近は訪れる人もほとんどいないように思われる。 確かに樹を見る限り、見頃を迎えても以前のような美しい姿は望めそうもない。それでも、盛りの時にもう一度訪れたいと思った。
このお堂の世話をされる方は、もうこの方しかいないそうで、年一度の掃除が今日だったようだ。「あきら」さんの家についてもご存じだった。
挨拶をして帰ろうとしたら、中を見てみるかと誘っていただいたので、逗子の中を見せていただいた。文化財の十一面観音像は見られないとあきらめていたのだが、これは最大級のラッキーである。
しっかり堪能し、世話人の方にお礼を述べて、観音堂を辞した。もう一度来たいという思いは強いまま。来年は盛りの頃を狙って訪れよう。
山道を少し下って、車を停める。来る途中に滝を見つけていたのだ。二本の流れが滝となって一本の川に合流する。昨年通りかかった時には気づかなかったのだが、最近の雨で水量が増えているせいだろうか。大きくはないが、違う表情を持った二本の滝は、結構見事である。
ここ白石観音堂の枝垂桜を訪れると、他の名桜を訪れることができない。この桜だけでも十分遠征の価値があるが、他に目的を見つけるとやはり嬉しいものである。
つづきます。