ゆうちゃんの独り言

モーツァルトが大好きで毎日欠かさず聴いています。人生の生き方は仏教で毎日般若心経を唱え、時間を見つけて寺巡です。 合掌

■ NHK音楽祭2010イスラエル・フィルハーモニー演奏会を聴いて♪♪

2010-11-14 11:48:14 | Weblog

 先週の水曜日にNHKホールで開催されたNHK音楽祭2010の第3日目にあたる演奏
会を聴いてきました。ズービン・メータ指揮によるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
で、ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調「田園」と交響曲第7番イ長調でした。

 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団は弦楽器が素晴らしいという噂を昔から聞いてい
たので今回の音楽祭の中では最も楽しみにしていたプログラムでした。他のオーケストラに
比べると日本で聴くチャンスはさほど多くはないと思っていましたので、今回の演奏会に期
待するのは当然のことです。

 ただし、指揮者のズービン・メータですが、過去にザルツブルク祝祭大劇場で行われたモ
ーツァルト週間の中でウィーンフィルハーモニー管弦楽団を指揮した演奏を聴く機会があり
ましたが、モーツァルト的でなくがっかりした経験があり、それ以来ズービン・メータは個
人的に評価の低い指揮者の中に分類されています。

 今回はオールベートーヴェンなのでひょっとするといい演奏が期待できるかなぁと思いな
がら開演を待っていました。ただし、購入できた席が前列から5列目でそれも正面ではなく
レフト側の席であったためか、音のバランスが良くなくがっかりしました。

 イスラエル・フィルハーモニーの第一印象ですが、楽員の顔や態度から窺えたのはそれぞ
れプライドが非常に高いことと、それに伴って個人が前面に出過ぎていて全体の調和に問題
があるような感じを受けました。特に期待していた弦楽器ですが、緊張感が伴っていない印
象を受けました。

 演奏内容は前半の交響曲第6番ヘ長調「田園」は単に自然な流れで演奏されている感じで
全く緊張感のない演奏で盛り上がりに欠けたものとなっていました。後半の交響曲第7番は
6番よりも演奏の中身は充実していましたが、ズービン・メータの解釈に問題を感じました。

 7番は楽想からして盛り上がりが大きい曲ですが、余りにも盛り上がりを意識しすぎた演
奏となっており、本来のベートーヴェンの真意を逸脱した演奏になっていた感じを受けまし
た。とくに最終楽章のフィナーレに近づくにつれ、特に第二ヴァイオリンの奏法はあそこま
で大きな運弓をしなくても良いはずですが、あたかもラジオ体操でもしているかのような演
奏方法で、音楽ではなくパフォーマンスではないかと疑いを持つほどの内容でした。

 フィナーレはそのような状況でしたから、テンポはハイになり音量も暴発し嵐のような感
じの中で終わりました。終わった瞬間にブラボーの声と拍手の嵐を聞きながら、個人的にこ
れは本当のベートーヴェンの真意の音と精神ではないのに、なぜここまで聴衆は熱狂の嵐で
応えているのか、非常に複雑な思いをしました。

 結果的に期待していた弦楽器の音も想像していたものとは異なりましたし、ズービン・メ
ータのベートーヴェンの解釈も異なったし、個人的にはさんざんな内容の演奏会でした。

 最近ふと感じることは、演奏内容に対する見方が他人と大きく異なってきているのではな
いかと思うようになってきたことです。昔は周りの人とほぼ同じ反応でしたが、最近はその
ような場面が少なくなりつつあります。

 自分が正しい音楽の聴き方から外れて来ているのかも知れません。しかし、最後は自分で
感じたことが事実であって他人の感じ方と異なってても問題ないのですが、演奏内容の方向
がずれてしまう哀しさが残ります。ただ、良い演奏をする指揮者やオーケストラがまだある
のが救いとなっています。

 指揮者のズービン・メータとは合わない自分を感じながらNHKホールを後にしました。