ゆうちゃんの独り言

モーツァルトが大好きで毎日欠かさず聴いています。人生の生き方は仏教で毎日般若心経を唱え、時間を見つけて寺巡です。 合掌

■ 1000年先を考える!!

2011-01-16 22:32:38 | Weblog

 先日、奈良薬師寺の大講堂の建設作業を記録したTV番組を見ながら、古代白鳳時代の木
造建築に対する考え方の素晴らしさとその凄さを感じました。

 奈良の薬師寺は、白鳳時代を代表する建築物ですが1528年9月7日の兵火により東塔
を除きすべて焼失しています。昭和50年代に入り、金堂・西塔・中門が再建されました。

 そしてさらに1996年から、薬師寺の建造物のうち最も偉容を誇る大講堂を再建するた
めに1015年に記述された古記録から設計図をおこし、古代そのままの材料と工法によっ
て大講堂が再現されました。

 木々を組み合わせて建築物を作り上げるのですが、屋根の斜面の部分を固定するためにだ
けに釘を使用しただけで、他の部分はすべて木組みで作られていました。なぜにこのような
大規模な木造建築物を古代の人々が作ることができたのか、ただただ驚きだけが残りました。

 この木組みを利用した古代構造物の耐震強度を現在の測定器で分析したところ、現在の最
新免震技術で作り上げた構造物と同じ強度であったそうです。昔はコンピュータもない時代
に地震に対する強度を高めるための方法は、それまでに体験したさまざまな知恵を集大成し
て作り上げたものだと思います。

 現代の最新技術と同じ強度とのことでしたが、現代の技術と異なる点は、木々が地震エネ
ルギーを地震の揺れに応じてぎしぎしと大きな音エネルギーと木木の間の摩擦エネルギーに
変換して逃がしているとのことでした。いまから1300年ほど前に、このような技術を確
立していたことは驚きの他に表現のしようがありません。

 このような耐震技術を基礎とした建築技術のほかにもう一つの驚きは、使用する木材の選
定方法です。すべて樹齢1000年以上の檜を使用していたとのことでした。なんでも木造
建築物を1000年先まで確実に残すために使用する木材は、樹齢1000年以上でないと
もたないとのことでした。

 現在残っている薬師寺の東塔は、建設当時のままですからゆうに1300年を耐えてきて
いることになります。地球や人類の誕生から考えると1300年は大した時間ではないかも
知れませんが、現代を生きる者からの視点で見ると古代人の知恵の素晴らしさと、自然と一
体となった考え方にただただ平伏すだけです。

 人は100年生き続けるのが精一杯ですが、人間の知恵を生かして作り上げた建築物がそ
の10倍以上も生き続けることができることに対して、改めて人間の知恵に関して素直に感
動しました。

 目先のことばかり考えずに、少し先の視点に立って物事を考えることの必要性を気付かせ
てくれたTV番組でした。


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