先日、上野の東京芸術大学大学美術館で開催されているシャガール展を観てきました。シ
ャガールは個人的に大好きな画家なので期待して行きました。最終日に近い日に行った関係
からか、会場は夕方だったにも係わらず多くの人が詰めかけていました。
特に年配の女性が多いことが目につきました。シャガールのファンがそれだけいるのかあ
るいは時間があるので見に来たのか、どちらにしても最近思う事はどこへ行っても年配の女
性が多いことです。
さて、展示内容ですが、(1)ロシアのネオ・プリミティヴィスム、(2)形と光 ロシ
アの芸術家たちとキュビスム、(3)ロシアへの帰郷、(4)シャガール独自の世界へ、
(5)歌劇「魔笛」の舞台美術 という5つの構成からなっていました。
シャガールの他にも数人の画家の作品が展示されていましたが、目的はシャガールを観る
ことであったので他の作品はさらっと流す程度で、もっぱらシャガールを重点的に観ました。
還暦も近くなると、残されている時間が非常に気になるので、いままでのように何事も全
てをじっくりと対応することはやめ、必要と判断するものだけに限定して観るように基本的
な対応方法を変えました。
シャガールの全作品の中で印象に残ったのは(1)では、死者、収穫、(2)では、ロシ
アノロバとその他のものに、(3)では、緑色の恋人たち、墓地、(4)では、彼女を巡っ
て、空飛ぶアトラージュ、日曜日、(5)では、モーツァルトの歌劇「魔笛」の舞台美術で
あったので全てが新鮮に映り感激しました。
「魔笛」の舞台美術では、どの作品も色遣いといい中に描かれた意味といい興味が益々深
まる感じでした。特に釘付けとなったのは、登場人物の衣装デザインでした。パミーナ、パ
パゲーノ、夜の女王、3人の侍女を表した作品は鉛筆、水彩、布、等を使用したものでその
色遣いや顔の表現にはこれ以上のものが無いような素晴らしい作品でした。
またモーツァルトへのオマージュと題された作品は、黄色を基調とした中に魔笛の世界が
繰り広げられるとともに画面全体の調和がモーツァルトを表現しているように理解できまし
た。
これらの舞台美術は、1967年2月19日にメトロポリタン歌劇場で上演されたモーツ
ァルトの「魔笛」用の舞台美術であり、美術:マルク・シャガール、指揮:ヨーゼフ・クリ
ップス、演奏:メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出:ギュンター・レンネルト、歌手では
タミーナ:ニコライ・ゲッダ、パミーナ:ビラール・ローレンガー、夜の女王:ルチア・ポ
ップ、ザラストロ:ジェローム・ハイネス、パパゲーノ:ヘルマン・ブライ、パパゲーナ:
パトリシア・ヴェルティンク、弁者:モーレイ・メレディスという顔ぶれであったようです。
豪華メンバーによるモーツァルトの魔笛であり個人的には、この時の録音があれば聴いて
みたいと思っていますが、調べる限りでは世の中に出ていないようなので初めから録音され
ていないのかも知れません。
この美術展に出掛ける前にたまたま通勤時間の時に「魔笛」を全曲聴いていたので、すん
なりとシャガールの舞台美術に溶け込むことができました。美術展へ足を運んだのが久し振
りでしたが、シャガールとモーツァルトが結びついた美術展を観ることができてとても満足
しました。
価値あるものに出会う事は感動と結びつき、心が穏やかにまた生き生きとしてくるので充
実感を味わう事ができるものですね。感謝
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