「やったー! とうとう元に戻ったんだね、リリ。ひどいなぁ。姿が見えないんで、心配しちゃったじゃないか――」と、サトルはリリの手を取って、飛び跳ねながら言いました。
「あっ、ごめんなさい。わたしやっと元に戻れて。あっ、うれしくって」と、サトルが乱暴に飛び跳ねるので、リリが一人、転がりそうになりながら言いました。「――歌が、歌ってみたくなったの」
リリが言うと、飛び跳ねていたサトルが、木の根っこに足を取られて、後ろ向きにひっくり返りました。
「――サトル、大丈夫?」と、リリが心配そうにのぞきこみました。
「イタタタタ……」と、サトルは後頭部を左手でさすりながら、渋い顔をしていましたが、急に押し殺したような声で、くすくすと笑い出しました。
「……」と、リリは急に笑い出したサトルを見て、気味悪そうに後ずさりしました。
「どうしたの――」と、リリが言うと、
「ハッハッハッ……」と、サトルが、急に大口を開けて笑い出しました。「やったー! これで、ぼくもお母さんや友達のいる世界に、帰れるんだ」
サトルは飛び起きると、空に向かってワァー! と大声で叫びました。
「リリ、ぼくはいつ、元の世界に戻れるの……」と、サトルが顔をうれしさでいっぱいにして、リリに聞きました。
「……」しかし、リリは急に口ごもると、黙ってうつむいてしまいました。
「――ねぇ、リリ……どうしたの。ねぇ」と、サトルはリリの肩を揺すりました。
「ごめんなさい。わたし、サトルを元に戻してあげられないの――」
「……」サトルは、焦点の合わない視線をさまよわせたまま、わなわなと力なく、地面に両足を投げ出しました。
「うそでしょ。樹王が言ってたじゃないか……リリを助けられたなら、元に戻れるだろうって。それに、この葉っぱだって、くれたじゃないか。やって来た世界に、戻れるって……」サトルはベソをかいて言うと、内ポケットから、枯れてパリパリになった葉っぱを、大事そうに取り出しました。「もうこんなに枯れちゃったけど、もしもこれが元のようになれば、ぼくは、ぼくの世界に帰れるんじゃないの?」
「ううん……」と、リリは黙ってサトルの話を聞いていましたが、静かに首を振りました。「――その葉っぱは、本当はただの葉っぱ。サトルは、天馬にわたしを乗せて、自分の力でこの世界に来たの」
「うそだ!」と、サトルが大きな声で言いました。「――ぼくには、そんな力なんてあるはずない」
「いいえ、本当……。サトルは、樹王からもらったその葉っぱを、自分を助けてくれる特別な葉っぱだと、真剣に思いこんで、これさえ持っているなら、って自信に溢れていたから……。だから、だからサトルは、本当に自分の力でこの場所に来たの――」
「じゃ、どうして自信満々だったぼくが、自分の世界に帰れなかったのさ。おかしいよ、そんなの。やっぱり、これは葉っぱのおかげさ」と、サトルは、信じられないと首を振りました。
「それは、サトルのやって来た世界があまりにも遠すぎるから……。あなたの力じゃ、足りなかったのよ……」
「あっ、ごめんなさい。わたしやっと元に戻れて。あっ、うれしくって」と、サトルが乱暴に飛び跳ねるので、リリが一人、転がりそうになりながら言いました。「――歌が、歌ってみたくなったの」
リリが言うと、飛び跳ねていたサトルが、木の根っこに足を取られて、後ろ向きにひっくり返りました。
「――サトル、大丈夫?」と、リリが心配そうにのぞきこみました。
「イタタタタ……」と、サトルは後頭部を左手でさすりながら、渋い顔をしていましたが、急に押し殺したような声で、くすくすと笑い出しました。
「……」と、リリは急に笑い出したサトルを見て、気味悪そうに後ずさりしました。
「どうしたの――」と、リリが言うと、
「ハッハッハッ……」と、サトルが、急に大口を開けて笑い出しました。「やったー! これで、ぼくもお母さんや友達のいる世界に、帰れるんだ」
サトルは飛び起きると、空に向かってワァー! と大声で叫びました。
「リリ、ぼくはいつ、元の世界に戻れるの……」と、サトルが顔をうれしさでいっぱいにして、リリに聞きました。
「……」しかし、リリは急に口ごもると、黙ってうつむいてしまいました。
「――ねぇ、リリ……どうしたの。ねぇ」と、サトルはリリの肩を揺すりました。
「ごめんなさい。わたし、サトルを元に戻してあげられないの――」
「……」サトルは、焦点の合わない視線をさまよわせたまま、わなわなと力なく、地面に両足を投げ出しました。
「うそでしょ。樹王が言ってたじゃないか……リリを助けられたなら、元に戻れるだろうって。それに、この葉っぱだって、くれたじゃないか。やって来た世界に、戻れるって……」サトルはベソをかいて言うと、内ポケットから、枯れてパリパリになった葉っぱを、大事そうに取り出しました。「もうこんなに枯れちゃったけど、もしもこれが元のようになれば、ぼくは、ぼくの世界に帰れるんじゃないの?」
「ううん……」と、リリは黙ってサトルの話を聞いていましたが、静かに首を振りました。「――その葉っぱは、本当はただの葉っぱ。サトルは、天馬にわたしを乗せて、自分の力でこの世界に来たの」
「うそだ!」と、サトルが大きな声で言いました。「――ぼくには、そんな力なんてあるはずない」
「いいえ、本当……。サトルは、樹王からもらったその葉っぱを、自分を助けてくれる特別な葉っぱだと、真剣に思いこんで、これさえ持っているなら、って自信に溢れていたから……。だから、だからサトルは、本当に自分の力でこの場所に来たの――」
「じゃ、どうして自信満々だったぼくが、自分の世界に帰れなかったのさ。おかしいよ、そんなの。やっぱり、これは葉っぱのおかげさ」と、サトルは、信じられないと首を振りました。
「それは、サトルのやって来た世界があまりにも遠すぎるから……。あなたの力じゃ、足りなかったのよ……」