リリはといえば、ただじっと、まぶしく輝く星空を見上げて、どこか遠くに思いをはせているようでした。
「――円盤ムシなんて、いなかったんじゃないだろうか」と、サトルがつぶやきました。
「いいや、絶対にいるはずさ。私達が見つけられなかっただけの話だよ。この機械さえ壊れてしまわなければ……まだ好機はあったかもしれん――」
「博士。ぼくのこと、信じてくれますか――」
「……信じるさ。円盤ムシがいるほどだからな……異人だって――」
サトルは博士をちらっと見て、また目を伏せました。
「ぼくは信じます……ぼくの目の前にいるんですからね……異人は――」
今度は、風博士がサトルを見やりました。
「ふっ……そういえば、そうだな。私は君から見れば、異人だな」と、博士はクツクツと笑いました。
「いつかは会えるかな……円盤ムシ」と、サトルが言いました。
「必ずだ……」と、風博士が言いました。
二人は、いつの間にか空を見上げていました。もしかしたら、円盤ムシが飛んでいるような気がしたからでした。――あの広い宇宙を、なんの制限もなしに飛ぶ円盤ムシ……。なんだかサトルは、円盤ムシがうらやましくなって、自分もいつかはそんなふうに空を飛んでみたいな、と輝く星と星の間に、視線を走らせるのでした。
ララララーラララー……
星空を見上げていたリリが、静かに歌い始めました。歌詞も曲もない、ただの気ままな歌でしたが、サトルは妙に心ひかれて、いつの間にか体で調子を取りながら、じっと目をつぶって、リリの歌を聞いていました。
ラルララーラルルー……ルリララー……
リリの歌声は、風になり、風はリリの歌をドリーブランド中に運んでいきました。日の光も届かない深い谷の底にも、その声は風に乗って運ばれていきました。
と、真っ暗な闇が、リリの歌のリズムに合わせるように、ボワッボワッ、と淡く明滅し始めました……。
ラルルールララールー……ラララー
サトルは、このままずうっと、時が流れていってしまえばいい、と思いました。なにかリリの歌を聞いていると、人をそんな気持ちにさせてしまうのでした。
「――ああっ!」
と、サトルと一緒に歌に聴き入っていた風博士が、思わず声を上げました。
「――円盤ムシなんて、いなかったんじゃないだろうか」と、サトルがつぶやきました。
「いいや、絶対にいるはずさ。私達が見つけられなかっただけの話だよ。この機械さえ壊れてしまわなければ……まだ好機はあったかもしれん――」
「博士。ぼくのこと、信じてくれますか――」
「……信じるさ。円盤ムシがいるほどだからな……異人だって――」
サトルは博士をちらっと見て、また目を伏せました。
「ぼくは信じます……ぼくの目の前にいるんですからね……異人は――」
今度は、風博士がサトルを見やりました。
「ふっ……そういえば、そうだな。私は君から見れば、異人だな」と、博士はクツクツと笑いました。
「いつかは会えるかな……円盤ムシ」と、サトルが言いました。
「必ずだ……」と、風博士が言いました。
二人は、いつの間にか空を見上げていました。もしかしたら、円盤ムシが飛んでいるような気がしたからでした。――あの広い宇宙を、なんの制限もなしに飛ぶ円盤ムシ……。なんだかサトルは、円盤ムシがうらやましくなって、自分もいつかはそんなふうに空を飛んでみたいな、と輝く星と星の間に、視線を走らせるのでした。
ララララーラララー……
星空を見上げていたリリが、静かに歌い始めました。歌詞も曲もない、ただの気ままな歌でしたが、サトルは妙に心ひかれて、いつの間にか体で調子を取りながら、じっと目をつぶって、リリの歌を聞いていました。
ラルララーラルルー……ルリララー……
リリの歌声は、風になり、風はリリの歌をドリーブランド中に運んでいきました。日の光も届かない深い谷の底にも、その声は風に乗って運ばれていきました。
と、真っ暗な闇が、リリの歌のリズムに合わせるように、ボワッボワッ、と淡く明滅し始めました……。
ラルルールララールー……ラララー
サトルは、このままずうっと、時が流れていってしまえばいい、と思いました。なにかリリの歌を聞いていると、人をそんな気持ちにさせてしまうのでした。
「――ああっ!」
と、サトルと一緒に歌に聴き入っていた風博士が、思わず声を上げました。