「――あれ見て!」と、サトルが震えているリリに言いました。「あれ、ほら、あそこに白い建物が見えるよ」
サトルが指を差している方向に、少し小さめの白い家が建っていました。丸い屋根をしたその建物は、まるでひょっこりと、地面から突き出したキノコのようでした。
「あそこかもしれない。ねぇ、あそこに下ろして――」サトルが言うと、天馬は下から吹き上げる猛烈な風を切り裂きながら、まっしぐらに白い建物へ急降下していきました。
サトルとリリは、白い建物の前で天馬から降りると、入口のドアを見つけて、ノックをしました。しかし中からは、なにやらチャカチャカとした音楽がかすかに聞こえてくる以外、誰も出てきませんでした。
「――おかしいな」と、サトルは首を振って、何度もどんどん、とドアを叩きました。「すみませーん。誰かいませんか。すみませーん……」
サトルが、ドアをどんどんと叩いていると、中から聞こえていた音楽がピタリと止み、ドタドタドタ、という足音が、かわりに聞こえてきました。
すると、いきなりドアが開いて、髪を短く刈った白衣を着たおじさんが、出てきました。
「――なにか、用?」
と、おじさんは、顔に似合わない高い声で言いました。
「あの……風博士さんですか……」と、サトルは相手の顔を覗きこむように言いました。
「そうだけど……なにか?」
「――よかった」と、サトルは言うと、リリと一緒に、うれしさのあまり飛びあがりました。風博士は、滅多に来ない客が、なにやらおかしな子供二人なので、ちょっと疑わしい顔をしていましたが、こんな所で話をするのもなんだから、と建物の中へ招待してくれました。
「――で、こんな所までなにしに来たの?」と、博士は言いました。
「あの、ぼく……信じられないでしょうけど、ドリーブランドの人間じゃないんです……」と、サトルは風博士の目を真剣に見ながら言いました。
「うそだろ――」と、風博士は、はっきりと言いました。「君ねぇ、大人をからかうんじゃないよ。ドリーブランドの人間じゃない者が、なんでドリーブランドにいなければならんのかね」
サトルは詳しく話そうとしましたが、風博士は「……帰った帰った」と、部屋に入って、まだいくらも経っていないというのに、二人を早々に追い出そうとしました。
「すみません、聞いてください――」と、リリが、風博士の腕にしがみつきながら言いました。「わたし達、帰る方法を探しに、博士の所に来たんです……。わたしは、ここの人間だけれど、サトルは、本当にに異世界から来たんです。博士は知らないでしょうけど、異世界には、ちゃんと、わたし達と同じ人間が住んでいるんです。――嘘は言いません」
サトルが指を差している方向に、少し小さめの白い家が建っていました。丸い屋根をしたその建物は、まるでひょっこりと、地面から突き出したキノコのようでした。
「あそこかもしれない。ねぇ、あそこに下ろして――」サトルが言うと、天馬は下から吹き上げる猛烈な風を切り裂きながら、まっしぐらに白い建物へ急降下していきました。
サトルとリリは、白い建物の前で天馬から降りると、入口のドアを見つけて、ノックをしました。しかし中からは、なにやらチャカチャカとした音楽がかすかに聞こえてくる以外、誰も出てきませんでした。
「――おかしいな」と、サトルは首を振って、何度もどんどん、とドアを叩きました。「すみませーん。誰かいませんか。すみませーん……」
サトルが、ドアをどんどんと叩いていると、中から聞こえていた音楽がピタリと止み、ドタドタドタ、という足音が、かわりに聞こえてきました。
すると、いきなりドアが開いて、髪を短く刈った白衣を着たおじさんが、出てきました。
「――なにか、用?」
と、おじさんは、顔に似合わない高い声で言いました。
「あの……風博士さんですか……」と、サトルは相手の顔を覗きこむように言いました。
「そうだけど……なにか?」
「――よかった」と、サトルは言うと、リリと一緒に、うれしさのあまり飛びあがりました。風博士は、滅多に来ない客が、なにやらおかしな子供二人なので、ちょっと疑わしい顔をしていましたが、こんな所で話をするのもなんだから、と建物の中へ招待してくれました。
「――で、こんな所までなにしに来たの?」と、博士は言いました。
「あの、ぼく……信じられないでしょうけど、ドリーブランドの人間じゃないんです……」と、サトルは風博士の目を真剣に見ながら言いました。
「うそだろ――」と、風博士は、はっきりと言いました。「君ねぇ、大人をからかうんじゃないよ。ドリーブランドの人間じゃない者が、なんでドリーブランドにいなければならんのかね」
サトルは詳しく話そうとしましたが、風博士は「……帰った帰った」と、部屋に入って、まだいくらも経っていないというのに、二人を早々に追い出そうとしました。
「すみません、聞いてください――」と、リリが、風博士の腕にしがみつきながら言いました。「わたし達、帰る方法を探しに、博士の所に来たんです……。わたしは、ここの人間だけれど、サトルは、本当にに異世界から来たんです。博士は知らないでしょうけど、異世界には、ちゃんと、わたし達と同じ人間が住んでいるんです。――嘘は言いません」