くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

よもよも

2020-07-14 06:11:25 | Weblog
いやはや。

夜は寒い。

日中低温サウナみたいなのに、

日が暮れたらあそこもここも縮み上がるくらい寒くなる。

極端すぎて体がついてかない・・・。

案の定仕事でも何人か風邪? で休んでるし。。

で、熱が引いてもすぐには仕事に出てこられないんだってさ。

感染症かもしれないんで、様子見なきゃダメらしい。

ウム。

感染症は困ったもんだけど、雨も困ったもんで、

線条なんたらって九州に襲いかかってきたけど

北海道の近所にも

記録的短時間なんたらで100ミリ近い雨が降ったようで、

手分けして点検に出動した。。

街の中は影響なかったけど、山の奥の方が崩れたりって被害があったらしいわ。

迷惑だよなぁ、予報どおりの天気になってほしいわ。。
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地図にない場所(101)

2020-07-13 18:43:20 | 「地図にない場所」
         10
 サトルは次の日、工場長に事の次第を話して暇をもらい、リリと二人で風博士のもとに向かうことにしました。
 風博士の研究所があるという魔笛の谷は、ドリーブランドの住人でさえ、めったに足を踏み入れることのない秘境でした。サトルは、そのことを工場長から聞くと、ねむり王のワナを、命からがらくぐり抜けてきたことを思い出し、わずかにひるみましたが、風博士に会うためには、しかたがないと心を決めました。
「がんばって行けよ。もし、その博士に会えなかったら、私の家に戻って来てもかまわんからな。無理はするなよ――」と、工場長は、別れ際に涙こそ見せませんでしたが、家族みんなで手を振ってくれました。
 サトルは、工場長の家を出ると、リリと二人で、空の彼方に飛び去っていった天馬を、大きな声で呼びました。
 帰ってこないかも、なんて心配は必要ありませんでした。どこか遠くから見守ってくれていたのか、「おーい」と言い終わる間もなく、光が瞬くような早さで、翼を広げた天馬の姿が、空に現れました。
「――工場長」と、サトルはリリを天馬の背に乗せると、振り返って言いました。「じゃあ、行ってきます。いままで、ありがとうございました」
 天馬に跨がるサトルを見ながら、工場長は大きくうなずきました。
「気をつけて行けよ――」
 サトルは、こくりとうなずくと、前を向いて言いました。

「行こう、魔笛の谷へ――」

 天馬は、サトルが言うやいなや、あれよあれよという間に、青い空の向こうに飛び去っていきました。
「リリ、大丈夫……」と、サトルが、後ろに乗っているリリに聞きました。
「ええ、わたしは大丈夫」
「――あのまま、工場長の家にいればよかったのに。ぼくは一人でも、十分やって行けたのにさ」
「ううん。わたしだって、力になってあげたいもの。だからいいの」と、リリは気にしないで、というように言いました。
「ありがとう」と、サトルは言うと、唇を噛みながら、天馬の進んでいく先に目を凝らしました。
 夢見の町が地平線の奥に消え、懐かしい希望の町を通り過ぎ、サトルとリリを乗せた天馬は、鋭い剣先のような山々が連なる峡谷に、やって来ました。
 夕暮れ近く、薄暗くなったお日様の光に照らされた山々は、巨大な怪物の口の中を思わせました。二人は、あまりの景観に目を奪われ、すぐにでも引き返したい衝動に駆られましたが、勇気を奮い起こして、突き進みました。
「――ここが、魔笛の谷」
 と、サトルがつぶやきました。その名のとおり、この谷間を吹き抜けていく風は、悪魔の奏でる楽器のような音を立て、キンキンとした歌声は、まるで飢えた魔女の呪文のようでした。
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よもよも

2020-07-13 06:11:10 | Weblog
いやはや。

寒い。

先週、ひさびさ体育館に集まって汗流してきた。

って書けば聞こえはいいけど、

体ガタガタ。

想像はしてたけど、

スポーツ畳ってこんなに硬かったっけって

目を疑った。

さすがに人も少なくって、

最後は自分達だけになったけど、

時間の大半は座って雑談して終わった・・・。

このまま徐々に感染症対策も緩くなってくのかな、

なんて思ったけどさ、

どうもやっぱり無理みたい。

とほほ。
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地図にない場所(100)

2020-07-12 19:21:58 | 「地図にない場所」
 サトルの胸に、リリのことを心から心配している、樹王の顔が浮かびました。
「――リリ」サトルが、強い口調で言いました。「リリ、やめろ! そんなことしたら、今度こそ砂になっちゃうじゃないか」
 サトルは、リリの手を無理矢理引き離しました。みるみるうちに、周りの景色が元に戻り始めました。リリは、目にいっぱい涙をためて、ベッドに突っ伏してしまいました。
「ごめんなさい……わたしが悪いの……。わたしが弱いばっかりに……」と、リリは時折むせ返りながら、言いました。
「いいんだよ。もうぼくはいいんだ。また明日から、働きに出るよ……もうぼくはいいんだから……」と、サトルは、自分も鼻声になりながら言いました。

 ヒュー……ッ、ヒュヒューン……。

 窓の外で、しきりに風が吹いていました。
(今日は、風が強いや……)
 と、サトルは目を拭いながら、外を眺めました。カタカタ、コトト……と、ガラス窓が揺れ、涼しくて気持ちのよい風が、涙を乾かしてくれそうでした。
(風さんありがとう……。みっともないよね  カゼ?)
 と、サトルは、ねむり王の城から、死の砂漠に落とされた時のことを思い出しました。確かあの時、サトルは砂に飲みこまれまいと必死でしたが、目の前で砂に変わっていくガッチが、何度も何度も、サトルに言っていたことがありました。

(カゼ――カゼ、ハカセ……)

「――そうだ、風博士だ」と、サトルは急に目を輝かせて、立ち上がりました。「そうだ、風博士だ。ようし、行くぞーっ!」
 サトルは窓を開けっ放して、うれしそうに風を浴びました。リリは、びっくりして、涙の跡が残った顔を上げ、どうしたんだろう、とサトルを見ていました。
「リリ、風博士だよ。魔笛の谷に住んでる、風博士……そこへ行けば、ぼくが帰る方法も、見つかるかもしれない……」サトルが、リリにニッコリと笑って言いました。
「――もしそこでも、帰る方法が、見つからなかったら」と、リリが小さな声で言いました。
「……」サトルは、リリの顔を見て黙っていましたが、窓の方を振り返ると、心地のよい風を顔に受けながら、
「その時は、ぼくもドリーブランドの住人さ……」
 サトルは言うと、すっと目を閉じて、心地よい風の音に、耳をすませました。

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地図にない場所(99)

2020-07-11 16:17:31 | 「地図にない場所」
 サトルは、まじまじと葉っぱを見ると、憎々しげに粉みじんに引き裂きました。そして、宙にぶちまけて、
「うそつき。リリはぼくのいた異世界に、行ったことがあるって言ってたじゃないか。 ぼくを戻せないなんて、嘘だよ」
「――わたしは、わたしは」と、リリは泣きそうになりながら、言いました。「もう、あなたのいた世界には行けない……今度行ってしまうと……わたし、二度とドリーブランドに戻ってこれなくなるもの」
 リリは、ワッと泣き出すと、ごめんなさいと謝りながら、工場の奥へ走って行ってしまいました。一人残されたサトルは、唇をギュッと噛みしめたまま、まんじりともせず、リリの走って行った方を、くやしそうに見ていました。
 突然リリのいなくなった広場は、急に静かになってしまいました。リリの歌を聞きに集まっていた仲間達は、目が覚めたように、それぞれの場所に戻っていきました。最後に残ったのは、行き場のないサトルだけでした。
 サトルは、それからというもの、工場長の家で、日がな一日泣いてばかりいました。リリが運んでくれる食事も断り、カーテンも閉め切ったままで、決して外に出ようとはしませんでした。リリも、そんなサトルをじっと見ていて、もしも自分がサトルのいた世界へ行ってあげられたら……と、自分の弱さに目をうるませました。
 リリは、できることなら、今すぐにでもサトルを連れて行ってあげたかったのです。しかし、サトルのいる世界では、あまりにも悲しみが多すぎるのでした。リリには、その悲しみに耐えられるだけの力は、ありませんでした。
 工場長も、サトルを見て、これじゃ使いもんにならん、と不機嫌でしたが、リリがどうしても置いてあげてください、と頼むので、このまましばらく、家に置いておくことにしました。しかし内心は、サトルの事が心配で心配で、しょうがなかったのです。
 ある日、
(くそっ……ぼくが元に戻れないなんて……。くそっ……ぼくが元に戻れないなんて……)
 サトルは、もうすっかり涙を流しきってしまったのか、もうほとんどすすり泣く声も上げず、ただベッドに横になったまま窓の外を眺めて、しきりにブツブツと、心の中でつぶやいていました。
 と、そこへ仕事を途中で抜け出してきたリリが、ギギーッと戸の音をさせて、サトルの部屋に入ってきました。
「リリ……」と、サトルがはれぼったい顔で、力なく振り向きました。
「サトル、帰りましょう。あなたの世界へ行くわ。――さぁ、わたしの手をつかんで」と、リリはきびしい表情をして、サトルにそっと手を伸ばしました。
 サトルは戸惑いながら、リリの手を握りました。と、リリが、そっと目を閉じました。すると、サトルを取り巻いていた景色が、みるみるうちに、まるで絵の具をでたらめに流したようにごちゃごちゃになって、グルグルと、ものすごい早さで回り始めました。
「リリ……」と、サトルは、リリがだんだんと苦しそうな表情をしていくのを見て、言いました。

(あの子は、たくさんの悲しみを見すぎたのだ――)

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地図にない場所(98)

2020-07-10 19:19:52 | 「地図にない場所」
「やったー! とうとう元に戻ったんだね、リリ。ひどいなぁ。姿が見えないんで、心配しちゃったじゃないか――」と、サトルはリリの手を取って、飛び跳ねながら言いました。
「あっ、ごめんなさい。わたしやっと元に戻れて。あっ、うれしくって」と、サトルが乱暴に飛び跳ねるので、リリが一人、転がりそうになりながら言いました。「――歌が、歌ってみたくなったの」
 リリが言うと、飛び跳ねていたサトルが、木の根っこに足を取られて、後ろ向きにひっくり返りました。
「――サトル、大丈夫?」と、リリが心配そうにのぞきこみました。
「イタタタタ……」と、サトルは後頭部を左手でさすりながら、渋い顔をしていましたが、急に押し殺したような声で、くすくすと笑い出しました。
「……」と、リリは急に笑い出したサトルを見て、気味悪そうに後ずさりしました。
「どうしたの――」と、リリが言うと、
「ハッハッハッ……」と、サトルが、急に大口を開けて笑い出しました。「やったー! これで、ぼくもお母さんや友達のいる世界に、帰れるんだ」
 サトルは飛び起きると、空に向かってワァー! と大声で叫びました。
「リリ、ぼくはいつ、元の世界に戻れるの……」と、サトルが顔をうれしさでいっぱいにして、リリに聞きました。
「……」しかし、リリは急に口ごもると、黙ってうつむいてしまいました。
「――ねぇ、リリ……どうしたの。ねぇ」と、サトルはリリの肩を揺すりました。
「ごめんなさい。わたし、サトルを元に戻してあげられないの――」
「……」サトルは、焦点の合わない視線をさまよわせたまま、わなわなと力なく、地面に両足を投げ出しました。
「うそでしょ。樹王が言ってたじゃないか……リリを助けられたなら、元に戻れるだろうって。それに、この葉っぱだって、くれたじゃないか。やって来た世界に、戻れるって……」サトルはベソをかいて言うと、内ポケットから、枯れてパリパリになった葉っぱを、大事そうに取り出しました。「もうこんなに枯れちゃったけど、もしもこれが元のようになれば、ぼくは、ぼくの世界に帰れるんじゃないの?」
「ううん……」と、リリは黙ってサトルの話を聞いていましたが、静かに首を振りました。「――その葉っぱは、本当はただの葉っぱ。サトルは、天馬にわたしを乗せて、自分の力でこの世界に来たの」
「うそだ!」と、サトルが大きな声で言いました。「――ぼくには、そんな力なんてあるはずない」
「いいえ、本当……。サトルは、樹王からもらったその葉っぱを、自分を助けてくれる特別な葉っぱだと、真剣に思いこんで、これさえ持っているなら、って自信に溢れていたから……。だから、だからサトルは、本当に自分の力でこの場所に来たの――」
「じゃ、どうして自信満々だったぼくが、自分の世界に帰れなかったのさ。おかしいよ、そんなの。やっぱり、これは葉っぱのおかげさ」と、サトルは、信じられないと首を振りました。
「それは、サトルのやって来た世界があまりにも遠すぎるから……。あなたの力じゃ、足りなかったのよ……」
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よもよも

2020-07-10 06:06:43 | Weblog
いやはや。

暑い。

って、わからんわ。

5月辺りなら1日で感染者が200人も出れば

間違いなく

外出も商売も仕事も自粛だのリモートだのって大騒ぎだったろうに

イベントの人数制限を緩和するってさ??

医療機関が逼迫していないって言うけど、

重傷者がいないだけで、危険はこれまでよりも強まってるんじゃないのかね??

わかんね。

いつの間にかなくなった計画停電みたいに、

うやむやになって終わり??

国内だけなら誤魔化しもきくけど、

来年のオリンピックに影響なきゃいいけどね。。
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地図にない場所(97)

2020-07-09 18:29:23 | 「地図にない場所」

 フーララヒー ヒララー ラララ……

 と、なにか風の音のような者が聞こえてきました。サトルは、黙って耳を澄ませましたが、風の音にしては、なにか音階のはっきりした。こう言っていてもいいのなら、歌のようでした。サトルは、誰か特別従業員の一人が、鼻歌でも歌っているんだろう、とまたリリを探しに行こうとしました。けれど、サトルの心のどこかで、もっとこの歌を聴いていたい、という強い思いが湧き起こり、いつの間にか目をつぶって、すっかり聞き入ってしまいました。サトルは、ふんわかとした素晴らしいものに出会ったような気がして、歌の聞こえる方へ、ゆっくりと引かれるように歩いて行きました。
(リリを……探さなきゃ……)
 しかしサトルの体は、真っ直ぐにその歌声の方へ歩いて行くのでした。サトルは、見えないものに引かれるまま、工場の奥まった所にある、テーブルのように大きな岩石が置かれた場所にやって来ました。そこには、サトル以外にも、工場で働いているいろいろな特別従業員で溢れていました。

「あれっ?」と、サトルは目を疑いました。

 大岩の上に座って、美しい歌を歌っていたのは、見たこともない女の人でした。その周りには、蝶の羽をした妖精が輪舞し、キツネやクマ、それにウサギや昆虫達までもが、ケンカをすることもなく、おとなしく女の人の歌声に耳を澄ませていました。従業員である大きな木々達も、歌にすっかり聴き入っているらしく、ピーンと立ったまま、風に揺れる梢も、サワサワと、心なしか遠慮がちでした。

「――サトル!」と、女の人が笑いながら手を振りました。

「えっ?」と、サトルはどうして女の人が自分の名前を知っているのか、首を傾げました。

「わたし、やっと元の姿に戻ることができたの。ありがとう――」と、女の人が、そっとサトルに近づいてきて、手を取りながら言いました。
 サトルは、よく理解できないのと照れくさいのとで、顔を真っ赤にしていましたが、おずおずとした口調で言いました。
「あ、あの……なんでぼくの名前を……」
 サトルが言うと、女の人はクスッと笑って言いました。

「わたしは、リリ。あなたと、ずっと一緒に旅していたわ……」

「……」と、サトルは信じられないという顔で、よくよく女の人を見てみました。どこか、自分の知っている特徴でもあるだろうか、と思ったからでした。
「あっ、そういえばその作業着――」
 サトルが指をさすと、元の姿に戻ったリリが「うん」とうなずきました。
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よもよも

2020-07-09 06:05:53 | Weblog
いやはや。

暑い。

って、昨日はほんと一日中雨だった。。

そんな日に限って出張入ってて、

雨の中車走らせて芦別まで。。

会場に到着したのが正午近くだったせいか、

わずかな晴れ間が出てきてずぶ濡れはぎりぎりで回避できた。。

そんなことで運を使っちゃうともったいないんだけど、

しゃーないわな。こればっかりは自分じゃうまくコントロールできんもの。

で、行ったメンバーで遅い昼飯に道の駅。

そういえば感染症流行ってから外食したのってこれが最初。。

見知ってるシステムとはいきなし変わってて、

セルフサービスになってるは食券制になってるわ、

お客が帰ると店員さんが座席とテーブルを一斉にアルコール消毒・・・。

改めて感染症の流行は収束してないって、

身につまされたXXX
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地図にない場所(96)

2020-07-08 19:02:30 | 「地図にない場所」
 しかし、サトルの決心とは裏腹に、森の木々の中には、どうもサトル達が気に入らないらしく、抗議の意味で枯れ枝を頭上に落としてくる者がありました。工場長は、サトル達が会社を辞めると言い出しては大変と、不満そうな木に説明しましたが、こんな子供になにができるんだ、と言いたげな木は、ムスッと天に向かって枝を張り、じっと立っているだけでした。
 サトルとリリは、次の日から、夢見の町にある工場長の家に寝泊まりして、毎日“おいしい空気製造会社”の工場に通って、熱心に働きました。
 夢見の町は、工場から少し下がったところにある、小さな町でした。しかし、小さいとはいっても、人はたくさん住んでおり、一見する限り、希望の町よりも、多くの人が住んでいるようでした。
 町の人々も、希望の町の人々とは違い、手に鍬や鋤を持った人などはおらず、どうもパリッとした背広のような服を着て、黒い革の鞄を持ち、せわしなく町の中を行き来していました。建っている家の形も様々で、色使いや設計に凝ったものが、多くありました。
 夢見の町にある工場長の家は、町の中でも立派な家らしく、まるで工場長に生き写しのように、通りの真ん中にでん、と建てられていました。家には、工場長よりも少し若そうな奥さんがいて、二人の子供がありました。工場長は、この奥さんには頭が上がらないらしく、サトルが夜中に、ケンカの声で目が覚めることが度々ありました。
 サトルは、そんな眠れない夜に、こっそりと樹王からもらった葉を、星明かりに照らして見ることがありました。
(このおかげで、ぼく達はこの町にやってこられたんだ)
 と、しげしげと葉を眺めるのでした。
 しかしサトルは、樹王の葉が、だんだんとしおれていくような気がしていました。工場長やリリにはなにも言いませんでしたが、夜中にこっそりと、わずかにしおれ黄ばんでいく葉っぱを見て、また自分が、死の砂漠に落ちてしまうかもしれない、と不安を抱いていました。

 二人が一緒に働くようになってから、はやくも7日が過ぎていました。サトルは、昼休みに事務所に備えつけられた業務日誌をつけながら、このところ目に見えて明るくなったリリのことを、考えていました。
(……樹王は、リリを助けることができるなら、ぼくの世界に帰る事ができるだろう、と言っていたけれど、このしおれてしまった葉っぱを、元に戻すことができるんだろうか……。そうだな、ま、怖がってもしょうがないし、もうここが、ぼくの落ちてきたドリーブランドだって事はわかったけど、リリがだんだん元気になってきたようだから……うん。もう少しここにいよう――)
 サトルは、ぱたんと日誌を閉じると、午後の仕事に向かいました。
「リリー! リリー!」と、サトルは、交代で昼食をとる時間だよ、と教えるために、姿の見えないリリを呼びました。「――あれ、おかしいなぁ」
 サトルは、暗い森の奥に入っていきました。しかし、リリの姿は見つかりませんでした。サトルは、なにかあったのか、と思い、小走りに森の中を探しました。
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