昨日、ある中小企業の経営者からこんな話を聞きました。
「今度、中学を卒業して丁稚奉公のように勤めてきた60歳になる従業員が定年を迎える。彼は、普通の人と比較して体も弱く重い作業もできないし、車の免許も持っていない。社内でも能力的なところで他の従業員から批判されがちである。家庭では、結婚もしておらず、90歳を過ぎた母親の面倒を見ている。先代からの申し送りで働いてもらったが、彼の定年後が心配である。定年後も嘱託でと思っているが、彼自身が継続して働くことでほかの従業員との軋轢を心配している。厳しい中小企業の熾烈な争いの中で、経営者としても頭の痛い問題である。」
この話を聞いて皆さんはどうお感じでしょうか。
この話はありふれたものかもしれませんが、いろんなことを含んでいます。自己責任であると一言で片づけてよいものでしょうか。それとも経営者の責任であると言うべきでしょうか。
ただ、私自身が最初に思ったことは、競争社会の激化の中で、ゆとりというものがなくなってしまったのではないかということです。共生社会と競争社会、幸せとは何なのか、私たち自身がもう一度問い直す時期に来ているのではないでしょうか。
以上