はーちゃんdays 2

大学生の娘と高校3年生の二人の子供の父親。

寝たきり老人になるのは嫌だ。ある老人の1日 第一話

2025年02月22日 | おやじの思考回路
 
 
日本人の高齢者は多くの方は寝たきりになって病院で亡くなります。ピンピン
コロリはごくまれです。ピンピンコロで止まり、そこから寝たきりになる方が多いです。
以下は私の創作のある老人の1日です。

 

ある老人の一日

 

目が覚めた。天井を見つめる。今日も、昨日と同じように朝が来た。カーテンの隙間から差し込む光で、朝だとわかる。時計はないが、決まった時間に決まったことが起こる生活だから、体の感覚だけで時間がわかるようになった。

しばらくすると、ドアが開く音がした。看護師が入ってくる気配がする。

「おはようございます。今日も変わりないですか?」

優しい声。私は返事をすることはできない。ただ、視線を向けることで「聞こえている」ことを伝える。

看護師は手際よく胃瘻からの栄養を注入し始める。朝食だ。口から食べることはもうできない。噛むことも、味わうことも、とうの昔に忘れてしまった。ただ、腹は満たされる。それだけのことだ。

「終わりましたよ。また後で来ますね。」

看護師はそう言って部屋を出ていく。静寂が戻る。

昼前、喉が苦しくなる。

痰が絡んでいる。だが、自分ではどうすることもできない。息が詰まりそうになる。苦しい。体も動かせない。声も出せない。ただ、目を動かし、呼吸を荒くする。それに気づいた誰かがナースステーションへ知らせてくれるのを待つしかない。

どれくらい時間が経っただろうか。足音が近づき、看護師がやってくる。痰の吸引が始まる。機械の音とともに、喉の奥の苦しさが少しずつ消えていく。

「楽になりましたね。」

私はただ瞬きをする。

昼の栄養が入る。午後は何もない日だ。テレビをつけられても、頭には入らない。ただ、画面の明かりと、人の声があるだけで少し安心する。

夕方、待ち望んだ時間が来る。

娘が面会に来る日だ。週に一度、一時間だけ。それが、私にとってこの一週間で一番の楽しみ。

「お父さん、来たよ。」

彼女はそう言って、手を握る。私はそれに応えようとするが、指をわずかに動かせるだけだ。それでも娘は気づいてくれる。

「今日は孫が学校でね……」

彼女は優しく話し続ける。私はじっと耳を傾ける。何も言えない、何も動かせない。それでも、娘の声を聞いているだけで、心が満たされる。

「また来週来るからね。」

そう言って、娘はもう一度手を握る。その温もりをしっかり感じながら、私はまばたきで「またね」と伝えた。

夜。

最後の栄養が入る。看護師がオムツを替え、体の向きを変えてくれる。もう慣れたものだ。

消灯。部屋は静寂に包まれる。再び天井を見つめる。

明日も、また同じように朝が来るのだろうか。

そんなことを考えながら、ゆっくりと瞼を閉じた。

 

実際はどうなのか?想像の域を超えていないのでわかりません。自分はこの状況になるのは嫌なので、そうならないように対策を考えています。

 

寝たきり老人のある一日。

 



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