
久しぶりのサイン本

作者が紹介している言葉。
最澄の言葉で
一隅を照らす
置かれた場所で咲きなさい的な言葉である。
一人一人が自分自身が何者か理解して、個性を磨いて輝けば、全体も輝くという考え方だ。
自己を理解して自己研鑽に励む、そういう生き方が今の日本人に求められているのかもしれません。
他人を批判するだけ、文句を言うだけ、ひとを見下すだけでは楽しくないだろ、もっと実際に直接会話して、直接見て、聞いて体感しろと作者は言っています。
ブラックジャック熱が再発してしまい、そこから手塚治虫熱へ。
最近はオムニバスに集めたものが結構販売されています。
メルカリやAmazonでも古本で手に入れることができます。
手塚治虫全集が出た時にお金があれば買ったかもと思ったものですが、、、
小出しにいろんなテーマで手塚治虫の作品を横断するのも面白いと思いました。
メーカーコメントより
手塚治虫のミステリー短編から傑作を抽出手塚治虫が遺した膨大な作品の中から、大人のマンガ読者にぜひ読んでほしい短編をテーマ別に選ぶアンソロジー。本書ではミステリー、サスペンス作品を収録します。手塚自身が彩色したカラーページも再現した特別版。収録作品:電話が三度鳴った~ブラック・ジャックより~/エムレット~刑事もどきより~/鹿の角~刑事もどきより~/インセクター/インセクター 蝶道は死の匂い/ハエたたき~サスピションより~/峠の二人~サスピションより~/P4の死角~サスピションより~/山棟蛇/反射/という手紙が来た/料理する女/ペーター・キュルテンの記録
こちらのシリーズも面白そうと思います。

勘当息子 では移動盲腸という疾患が出てきます。
盲腸ではないということはわかったのですが、それがどんな病気か?知らないままでいた私。
盲腸(虫垂)がいらないもの=勘当息子
必要ないものでも
めたらやたら切るべきではないという話。
作者の反復する腹痛の鑑別診断が勉強になります。
腹痛じたいはよく見る病気なんですが、あまり深く考えることなく過ごしていました。
移動盲腸の診断ではやはり触診が重要という。
Ronsenstein徴候陰性、Mcburney点の上方の圧痛
が1957年の会議録にあるそうだ。
触診、視診、問診はなんと大切なんだろうと改めて思いました。
CT、血液検査で異常がないから異常なしと簡単に言うべきではないと思いました。
痛いには何か理由がある、それが精神的でも、肉体的でもあっても何かの理由があることを肝に銘じなければならないと思いました。
それを判断する術をもっと身につけなければと思いました。
物語としては改めて読んでみるとやはり凄いと思います。小学生の時点でこんな物語を読んでいた自分が深い感銘を受けるのは当たり前だと思いました。

ピノコ誕生の畸形嚢腫の時と同様になるほどそこまで考察するかとおもったのが、”霊のいる風景”です。
ある少年に取りついた霊の言動から手術をする羽目になったブラックジャックの話 なんですが。
普通に読めば少年の体にできた腫瘍を、少年にとりついた霊が教えてくれて、それをブラックジャックが治すという不思議な話なのですが、、
そもそもなぜ霊媒師を使ってあんな儀式をおこなっていたのか?そこが不思議に思っていたところですが、しかも日本で、それ以上の考えに及ばないのが凡人の私です。
作者は手塚治虫はこの憑依を使って、精神障害、精神の問題を霊的なものに置き換えて表現させていたのではないかと考察している。いまも昔も精神の問題は決し医療ドラマでは取り扱われないし、
タブー視されている面はある。だから霊を使って表現したのではないかと、もしかしたら憑依した少年が精神の問題を起こしているシーンもあったのかもしれない、ブラックジャックの一話完結の限られたスペースには収まらず、カットされたのではと私は思う。結果として霊がブラックジャックの問診を受けるシーンが残ったのではないだろうか?
ブラックジャックの霊がついた少年に対しての言動は明らかに初めから問診であり、咳は?息苦しさは?痛みは?嚥下のときにどうか?
初めから縦郭腫瘍を念頭に置いたものであり、何故この少年に憑依したのか?年齢は?いつから?とか本来なら焦点が当たる場所に全く頓着していないこと。そして手術をすると縦郭腫瘍がそこにある、そして霊は彼から離れていき昇天してしまう。
一読するだけでは不思議に話。そんなこともあるものかな?(凡人)
なぜ縦郭腫瘍?(天才)
以下ネタバレ
診断までは
きっちりと考察されていますので、本書をお読みください。
最終診断は
縦郭腫瘍による抗NMDA受容体脳炎
触診、視診、問診はなんと大切なんだろうと改めて思いました。
あらためて手塚治虫は天才なんだと思いました。
この解釈にいたった作者もまた天才だと思います。
ebookではブラック・ジャック 18巻の第一話 霊のいる風景にありますので、無料でちょっと読めます。