「勇気ある追跡」 1969年 アメリカ
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監督 ヘンリー・ハサウェイ
出演 ジョン・ウェイン
グレン・キャンベル
キム・ダービー
ジェレミー・スレート
ロバート・デュヴァル
アルフレッド・ライダー
ストーリー
1880年代のアーカンソン州。
マティは良家の子女にも似ず、気の強い、だが、かわいい少女だった。
そんな彼女の父親が、雇人のトムに殺された。
マティはためらわず復讐を決意するが、1人では、とても無理。
そこで雇ったのが大酒飲みで片目のコグバーンと、若くてハンサムなテキサス・レンジャーのラ・ボーフだ。
三人は出発したが、個性の強い三人ゆえに反揆し合い、ののしり合い、平和な道中ではない。
だが、互いに相手が気骨ある男だということだけは分かった。
インディアン地区で、マティがトムに捕まえられたが、助け出したのはラ・ボーフ、そこへ現れたコグバーン。
だがラ・ボーフがトムに撃たれ、瀕死の重傷。
その情景を見たマティが、トムに1発、2発と狙う。
しかしながら慣れない銃の扱いにより、反動でガラガラ蛇のいる穴に落ちてしまった。
コグバーンはトムを殺し、瀕死のラ・ボーフの手を借りてマティを助け出す。
だが、その直後、ラ・ボーフは息絶えた。
コグバーンは、毒蛇にかまれたマティをかつぎ、医師のもとへ大疾走。
何頭もの馬を乗りつぶし荒野をひた走る。
やがてマティは回復し、命の恩人のコグバーンをみる。
彼は相変わらずの大酒飲みでヤクザな男だが、それでもいいではないか。
だって彼は、死んでしまったラ・ボーフとともに、マティのために、真実の勇気をみせてくれたのだから。
寸評
西部劇における最大のスターはジョン・ウェインであることに誰も異論を唱えないだろう。
ジョン・ウェインは本作で初めてアカデミー主演男優賞に輝いたのだが、ジョン・フォードと組んだ名作が数多くあったのだから、多分に功労賞的な意味合いもあったように思う。
出だしは快調だ。
少女のマティが父の復讐に立ち上がるまでが要領よく描かれて小気味よい。
主人公の一人であるこのマティ・ロスの人物像が丁寧に描かれていることも好感が持てる。
マティは少女ながら牧場の会計係を担当しているしっかり者だ。
口も達者で馬具商との値段交渉でも一歩も引かないし、宿屋の食事でお代わりを進められた時には「値段が同じならもらう」と答えたり、相部屋となった時には値段は半額だとチャッカリしたところを見せる。
男勝りの性格で保安官のコグバーンや、テキサス・レンジャーのラ・ボーフと互角のやり取りを行う。
馬具商はコグバーンとは似た者同士だと言うが、この二人のやり取りが映画を引っ張て行く。
コグバーンは離婚歴があり、自分を嫌っていた息子は母親が連れて行っている。
マティの扱いに手こずっていたコグバーンだが、やがて娘の様に思えてくる気持ちが画面を通じてじんわりと伝わってくる描き方がいい。
三人が追跡することになるトム・チェイニーは強敵と言える相手ではない。
トム・チェイニーが加わった強盗団一味のボスであるネッド・ペッパーはコグバーンとは宿敵の間柄で、お互いに相手のことを知り尽くしているようだ。
この関係が後半に生きてくる。
ネッド・ペッパーは自分を助けに来た若者を犠牲にして自分は助かると言う非情な面を持つ男なのだが、理由もなく殺人を犯す男でもない。
マティが一味にとらわれた時には、その性格からマティがひどい仕打ちを受けていない。
事前にコグバーンがそのことを述べて伏線としているので、一味のマティへの扱いに違和感が生じない。
また、ネッド・ペッパーはマティを約束通りに扱えばコグバーンから6時間の猶予をもらえることを信じている。
敵対関係にありながらお互いに分かり合えていると言う関係は、西部劇だと納得できてしまうから不思議だ。
圧巻はコグバーンとネッド・ペッパー一味による1対4の決闘シーンだ。
流石はジョン・ウェインと思わせる銃の扱いである。
手綱を口にくわえ、左手に拳銃、右手に持ったライフルを片手でクルリと回転させ乗っている馬を疾走させる。
拳銃とライフルを走りながら相手めがけて撃ちまくる。
大柄な老体がピタリと決まっているカッコいい場面で、これぞ西部劇と思わせる。
マティを助ける為に馬車を強奪する伏線として、かつて強奪経験のあることをコグバーンに語らせている。
対決シーンの二丁拳銃も同様で、巧みに伏線を張っているのもヘンリー・ハサウェイの職人芸だろう。
「勇気ある追跡」は晩年の出演作の中では一番いい出来のような気がするし、僕の好きな一本でもある。
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監督 ヘンリー・ハサウェイ
出演 ジョン・ウェイン
グレン・キャンベル
キム・ダービー
ジェレミー・スレート
ロバート・デュヴァル
アルフレッド・ライダー
ストーリー
1880年代のアーカンソン州。
マティは良家の子女にも似ず、気の強い、だが、かわいい少女だった。
そんな彼女の父親が、雇人のトムに殺された。
マティはためらわず復讐を決意するが、1人では、とても無理。
そこで雇ったのが大酒飲みで片目のコグバーンと、若くてハンサムなテキサス・レンジャーのラ・ボーフだ。
三人は出発したが、個性の強い三人ゆえに反揆し合い、ののしり合い、平和な道中ではない。
だが、互いに相手が気骨ある男だということだけは分かった。
インディアン地区で、マティがトムに捕まえられたが、助け出したのはラ・ボーフ、そこへ現れたコグバーン。
だがラ・ボーフがトムに撃たれ、瀕死の重傷。
その情景を見たマティが、トムに1発、2発と狙う。
しかしながら慣れない銃の扱いにより、反動でガラガラ蛇のいる穴に落ちてしまった。
コグバーンはトムを殺し、瀕死のラ・ボーフの手を借りてマティを助け出す。
だが、その直後、ラ・ボーフは息絶えた。
コグバーンは、毒蛇にかまれたマティをかつぎ、医師のもとへ大疾走。
何頭もの馬を乗りつぶし荒野をひた走る。
やがてマティは回復し、命の恩人のコグバーンをみる。
彼は相変わらずの大酒飲みでヤクザな男だが、それでもいいではないか。
だって彼は、死んでしまったラ・ボーフとともに、マティのために、真実の勇気をみせてくれたのだから。
寸評
西部劇における最大のスターはジョン・ウェインであることに誰も異論を唱えないだろう。
ジョン・ウェインは本作で初めてアカデミー主演男優賞に輝いたのだが、ジョン・フォードと組んだ名作が数多くあったのだから、多分に功労賞的な意味合いもあったように思う。
出だしは快調だ。
少女のマティが父の復讐に立ち上がるまでが要領よく描かれて小気味よい。
主人公の一人であるこのマティ・ロスの人物像が丁寧に描かれていることも好感が持てる。
マティは少女ながら牧場の会計係を担当しているしっかり者だ。
口も達者で馬具商との値段交渉でも一歩も引かないし、宿屋の食事でお代わりを進められた時には「値段が同じならもらう」と答えたり、相部屋となった時には値段は半額だとチャッカリしたところを見せる。
男勝りの性格で保安官のコグバーンや、テキサス・レンジャーのラ・ボーフと互角のやり取りを行う。
馬具商はコグバーンとは似た者同士だと言うが、この二人のやり取りが映画を引っ張て行く。
コグバーンは離婚歴があり、自分を嫌っていた息子は母親が連れて行っている。
マティの扱いに手こずっていたコグバーンだが、やがて娘の様に思えてくる気持ちが画面を通じてじんわりと伝わってくる描き方がいい。
三人が追跡することになるトム・チェイニーは強敵と言える相手ではない。
トム・チェイニーが加わった強盗団一味のボスであるネッド・ペッパーはコグバーンとは宿敵の間柄で、お互いに相手のことを知り尽くしているようだ。
この関係が後半に生きてくる。
ネッド・ペッパーは自分を助けに来た若者を犠牲にして自分は助かると言う非情な面を持つ男なのだが、理由もなく殺人を犯す男でもない。
マティが一味にとらわれた時には、その性格からマティがひどい仕打ちを受けていない。
事前にコグバーンがそのことを述べて伏線としているので、一味のマティへの扱いに違和感が生じない。
また、ネッド・ペッパーはマティを約束通りに扱えばコグバーンから6時間の猶予をもらえることを信じている。
敵対関係にありながらお互いに分かり合えていると言う関係は、西部劇だと納得できてしまうから不思議だ。
圧巻はコグバーンとネッド・ペッパー一味による1対4の決闘シーンだ。
流石はジョン・ウェインと思わせる銃の扱いである。
手綱を口にくわえ、左手に拳銃、右手に持ったライフルを片手でクルリと回転させ乗っている馬を疾走させる。
拳銃とライフルを走りながら相手めがけて撃ちまくる。
大柄な老体がピタリと決まっているカッコいい場面で、これぞ西部劇と思わせる。
マティを助ける為に馬車を強奪する伏線として、かつて強奪経験のあることをコグバーンに語らせている。
対決シーンの二丁拳銃も同様で、巧みに伏線を張っているのもヘンリー・ハサウェイの職人芸だろう。
「勇気ある追跡」は晩年の出演作の中では一番いい出来のような気がするし、僕の好きな一本でもある。