Web Master's Room

バイク乗りのちょっと寄り道、思った事…

別れ

2007-06-03 08:02:01 | ツーリング

フェリー乗り場には乗船を待つバイクが数台あった。
それぞれこの島を楽しんできたことだろう。
旅の終わりはちょっと寂しく口数が少なくなる。
それを紛らすように係りの方が同じBM乗りだったので
しばしバイク談義に花を咲かす。

無事にバイクを積み込みデッキで出航の時を待っていると
先程の係りの方が忙しそうに走り回っている。
まもなく出航だ。
その横に二十歳を少し過ぎたくらいの男女が20名くらい集まっていた。
最初はバスガイドのお姉さんと旅人と思っていたが
その中の2名だけがフェリーに乗り込んできた。

どうやら島を出る2人の為に仲間が集まったようだ。
バスガイドさんに見えたのはどうもウエイトレスさんの様で
きっと仲間の旅立ちを見送る為にちょっと仕事を抜けてきたのだろう。
フェリーの2人から紙テープが降ろされて
各人がその紙テープを思い思いに手にする。
風が強かったので切れてしまった物もあったが
仲間がそれを再び結び繋ぐ。
それはどんなことがあってもこれからもずっと友達なんだよって
言っているように見えた。

出航の合図と共にフェリーは港から離れ
紙テープも延びきってしまった。
中を舞う色とりどりの紙テープ。
そしてみんなで大きく手を振っている。
その内の一人はフェリーを追って防波堤を走ってきた。
速度を上げたフェリーに追いつくには本気で走らないと追いつけない。
でもやがて防波堤の先端がやってきた。
そしてそこで大きく手を振っていた。

島には島の事情があるのだろう。
去る者もつらいが残る者もきっとつらいのだろう。
このフェリーはいったい何回こんな情景を見届けてきたのだろうか。

そしてその大きな島がまた霞の中に消えていった。

夕方、無事鹿児島港に到着。
渋滞気味の西郷隆盛が見守る市内を抜け高速で一気に北九州へ。

2泊3日の屋久島の旅は終わった。