ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

一命

2011-10-13 20:26:35 | あ行

「静」のなかに心高ぶるドラマあり。
腹に響く映画でした。

映画「一命」3D版 72点★★★★


ときは江戸時代初期。

貧窮し、浪人となる武士が続出するなか
ある浪人(市川海老蔵)が井伊家を訪ねてきた。

「切腹をしたいのだが、まともな家もなし。
せめて当家の玄関先をお借りしたい――」

だが、応対した家老(役所広司)は
彼にこう言う。

「最近、その手の者が増えているのだ」――。

そして家老は、先日やってきた
ある若い浪人(瑛太)の話を始める。

じっと話を聞いていた浪人だが
このあと、意外な展開が待ちうけており――?!


まさかこんな展開になるとは!と、予測できず
引きこまれました。

原作や元ネタ「切腹」(62年)を知らなかったのも
幸運だったかな。


三池監督にしては
血しぶきも最小限で、しかも必然性が高い。

海老蔵氏も最初は
作った声が気になったけど
やはり「ここぞ」のときには張るなあ!とびっくり。

途中からはまったく気にならなくなりました。


それにやっぱり
役所広司氏がいるといいね!映画が締まる!


そして今回は
主な舞台となる井伊家の美術セットも
目を見張るものがありました。

玄関にある“ギョロ目”の牛の絵、
黒をバックにした深紅の甲冑など
インパクト大で、かつそぎ落とされた美があり
ミニマルアートです完全に。

外国人にもウケそうです。

この美術を奥行きを持って楽しむためには
3Dでも価値があるかもしれません。

ほかに3Dは
雪が舞い散るなかでの
斬り合いに効果を発揮してました。

★10/15から全国で公開。

「一命」公式サイト
コメント (4)
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