ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

汽車はふたたび故郷へ

2012-02-20 00:54:04 | か行

自伝的な話って
微妙に難しかったりするね。


「汽車はふたたび故郷へ」64点★★★


「月曜日に乾杯!」「ここに幸あり」の
オタール・イオセリアーニ監督が
自身の映画人生を振り返るように描いた作品です。


旧ソ連の共和国だったころのグルジア。

少年ニコは女の子バルバラとルカと
わんぱくっぷりを発揮していた。

やがて成長したニコ(ダト・タリエラシュヴィリ)は
映画監督になり、
幼なじみのバルバラやルカの協力で映画作りをしている。

しかし検閲の厳しいグルジアでは
なかなか思うような映画が作れない。

ニコはグルジアを離れ、
フランスに行くことにするが――。



セリフを少なくしたサイレント映画のような間合い、
ちょっとしたシュール、
ユーモアが味わい深いのは、監督ならでは。


特にニコの少年時代のわんぱくぶりが
楽しく、ワクワクさせられます。

ただ自伝的要素が強いせいなのか
全体のつながりなどにはあまり気を使っていなく
かなり散文的。

唐突な展開もあり、シーンのリズムなどがバラバラで、
普通に見ていると、つまづいてしまう。


「映画愛」という観点を第一に、
グルジアという国の歴史や背景を知りつつ
見るのが正しいかもしれません。


写真の引き延ばし器や、編集に使うスプライサーなど
小道具もまた「映画愛」に溢れていました。


★2/18から岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。

「汽車はふたたび故郷へ」公式サイト
コメント (2)
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