ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

2012-02-22 00:46:36 | あ行

これは3Dの意味がある!

映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」75点★★★★


世界中の人を魅了し、2009年に急逝した
天才舞踏家ピナ・バウシュ。

その舞台を
20年来の友人であるヴィム・ヴェンダースが映画化したものです。


存命のときから企画はあったのだけど、
映像で彼女の舞台を表現する
いい方法がなかったという監督。

そこで出会ったのが3D技術。

ということで映画化が叶ったそうですが

舞台を視覚化するのに3Dがここまで有効だとは
正直、思いもしませんでした。
てか、それだけヴェンダースがうまく撮ってるんですよね。


番長、残念ながら生の舞台を見たことがないのですが、
この映画の迫力は
舞台体験を補ってあまりあるかもしれません。

実際、舞台をよく観ていた方も
魅了されたとおっしゃっていました。


とにかく舞台上の奥行きがあり、
かつカメラでなければ不可能な場所から、スゴいアングルで見ることができる。

その贅沢さとおもしろさは格別です。


大きく4つの演目がありますが、
なかでも舞台に土をひいた上で踊る「春の祭典」は衝撃。
ダンサーたちの身体言語が、画面からほとばしり
体の芯に響くような、迫力と重量感がある。

また彼女の舞台には
所々に独特のユーモアがあって
難しく考えなくても、楽しめるのがいい。

ただ歩く、イスを倒す…
それだけの動作を
繰り返すだけで凝視してしまったり。

そういった表現は、
例えば赤ん坊が
自分の手をじっと見つめて笑うような
精神が「体」を意識する原点のような感覚を思い起こさせます。


さらに舞台を飛び出して、公園や街中でも踊るのも
おもしろい演出。

合間にピナを振り返る団員たちのコメントや
ピナ自身の映像も少し挟まり、

「探し続けなさい、方向や道がわかなくとも」と言い続けた
「探求者」=ピナ・バウシュの姿に背筋が伸びました。

しっかしマジで3D、使えるじゃん!

★2/25(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか、全国順次3D公開

「pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」公式サイト
コメント
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