ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ヤング≒アダルト

2012-02-21 00:08:34 | や行

主人公の行動すべてが痛すぎて
だからこそ、笑えて、愛おしい!(笑)

「ヤング≒アダルト」83点★★★★

「JUNO/ジュノ」の脚本家×「マイレージ、マイライフ」の監督作品。
人間観察力が、並じゃないです。


ミネアポリスで都会暮らしをする
メイビス(シャーリーズ・セロン)、37歳、独身。

美人…には違いないんだけど、
その日常は、かなーり雑(笑)。

ほぼ毎日、二日酔いで
メイクも落とさないまま就寝。
起きたらまず、ヌーブラ、ベリッ(笑)

仕事はヤングアダルト(少女向け小説)作家なんだけど
実はゴーストライターで
ちょっとしたスランプに陥っている。

そんなダメダメなある日、
高校時代の元カレから一通のメールがくる。

何を思ったかメイビスは
故郷の田舎町に帰ることにするが――?!


いや~素晴らしいですね。

「JUNO/ジュノ」脚本のディアブロ・コディは
現代“ビミョー人間”ドラマの天才。

なんといっても主人公の
立体的な人物造形に舌を巻きます。

まずは一人暮らし女の
雑な日常生活のリアルなこと(笑)
笑った笑った。

これ別に女子に限ったことでなく
「人目にふれないところで、気を抜いている」状態のリアルなので
誰もが共感できるはず。
前に座ってたおじいさんも、吹いてた(笑)

すごい観察眼だよなあ。


そして彼女を帰郷させることで、
田舎町では“イケてた”彼女が
過去のプライドにしがみついている様子を
うまいこと描き出し、

そこで起こるドタバタ騒動に盛り上げていく。

彼女の行動すべてが
「勘違い」だったり痛々しいんですが、
でも、憎めない。


彼女が
「みんなはフツーに出会って、幸せになってるのに
なんで自分にはそれができないの!」と
吐露するシーンには、思わず涙。


紛争も格差も深刻な社会問題だけど
「一人ぼっちでかわいそう」と見られる世の中も
一人モノにとっては深刻な社会問題なのだ!


そんななかでメイビスの幸せや如何に――?!となるんですが
まあ、そこもうまいはずしの妙で、
可笑しくも、やがてしんみりを共有させる。


結局のところ
じゃあ「幸せってなんぞや?」ということなんですよね。


ダンナがいなくても、宙ぶらりんで不安定な仕事でも、
ふと気付けば、
ほら、アナタは自分の足で立ってるんじゃないですか、と。


そして周囲のみなさんも
紛争と同じく、一人モノ理解に必要なのは
“寛容”なんですよ、と。


ま、この映画はそこまで
言及したいかどうかはわかりませんが

いち“一人モン”としても
この映画は、
かなりイイ線に到達してると思います。


★2/25(土)から全国公開。

「ヤング≒アダルト」公式サイト
コメント
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