自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★輪島の7階建てビルなぜ倒れた 撤去がままならない事情

2024年05月09日 | ⇒ドキュメント回廊

  シャクヤクの花が自宅の庭を彩っている=写真・上=。「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」という言葉があるように、上品な女性の姿をイメージさせ、精気を放っている。花言葉は「恥じらい」。シャクヤクは夜になると花を閉じる習性があり、その姿から「恥じらう様子」がイメージされたようだ。毎年のことだが、大型連休明けで心にぽっかりと穴が空いたようなタイミングでこの花が和ませてくれる。

  話は変わる。能登半島地震の被災地を何度かめぐっていて印象に残る現場の一つが、輪島市河井町で倒壊した7階建てのビルだ。輪島塗の製造販売(塗師屋)の大手「五島屋」の建物。倒壊した内部の様子を外からうかがうと、グランドピアノが横倒しになっている。展示場で飾られてあった輪島塗のピアノだろう。そして、倒壊したビルは公道の一部を塞ぐようにして倒れている=写真・中、5月3日撮影=。現地を訪れるたびに、撤去はいつ始まるのだろうかとつい思ってしまう。

  地元メディア各社の報道によると、五島屋ビルは地下1階・地上7階建て。1972年に建てられたもので、地震で基礎部の東側が3㍍ほど沈下したことで倒れたとみられる。ビルの倒壊で、隣にあった3階建ての住居兼居酒屋が下敷きとなり、その店の母子2人が犠牲となった。ビルのオーナーは輪島市役所に対し、所有者に代わって自治体が解体撤去する公費解体を申請している。押しつぶされた店の男性店主はビルの倒壊の原因が明らかになるまでは撤去しないように市に申し入れている。

  以下が自身が現地を見た印象。ビルは根元からポキッと折れるようにして倒れている。その根元をよく見ると、建物の重さを支える土台が、地下の岩盤に指してある杭から抜けているようにも見える=写真・下、3月10日撮影=。震度6強の揺れだったので、建物が激しく揺さぶられ、杭が抜けて倒れたのだろうかと素人目線で考えてしまう。

  ビルの倒壊原因については国交省の研究機関が調査中で、ことし秋をめどに結果をまとめるようだ。2人の犠牲が出ているだけに、男性店主とすればビルの基礎部にそもそも問題があったのかどうか、納得できる説明がほしいだろう。ビルの撤去については、見通しが立たない状況が続いている。

⇒9日(木)夜・金沢の天気   くもり時々はれ


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