Girl's Be Ambitious!

日々の徒然日記、旅行記など

ハロウィン

2012年10月31日 | 徒然
今年もやってまいりました、ハロウィンが。
毎年、ハロウィンといえば「ツマガリ」の期間限定ケーキを買ってたんだけど、
(←「キングオブパンプキン」「生キャラメル木の実タルト」)
今年は久しぶりに神戸屋レストランのパンプキンパイが食べたくなったので、仕事帰りに立ち寄ってみました。



1人用の小さなパイで、形は「ジャック・オ・ランタン」(1個300円)。
焦げ目の付き方によっては、かなりホラーな顔に見えるヤツも並んでおりましたが、
担当してくれたおねーさんが、キレイな形のを選んでくれました。(笑)
パイ生地がパリパリ&食べ切りサイズなので、結構お気に入りでございマス。

ハロウィンつながりのデザートをもういっちょ。
成城石井の「北海道えびすかぼちゃのプレミアムチーズケーキ」。



去年、初めて食べて、お気に入りになった期間限定プレミアムチーズケーキ。

別にパーティーや仮装はしないんだけどね。
「ハロウィンだし!」という理由で、カボチャのスイーツを遠慮なく食べられるのがうれしいトコロ。(笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SHERLOCK1-1/シャーロック1-1 「A Study in Pink/ピンク色の研究~コメンタリー~」③

2012年10月30日 | SHERLOCK(BBC)
<解説者>
SV : Sue Vertue (スー・ヴァーチュ) ・・・ Producer
SM : Steven Moffat (スティーヴン・モファット) ・・・ Co-creator、Writer
MG : Mark Gatiss (マーク・ゲイティス) ・・・ Co-creator、Writer、Actor (Microft Holmes)


■221Bを捜索しているレストレード
SM : このシーンから、彼が過去にドラッグを使ってたと分かる。
MG : レストレードは知ってる。
SV : 様々な要素が…、ここにあるのよね?
MG : 思い出したよ。「Waithing for Guffman」という映画がある。クリストファ・ゲスト演じる監督のコーキーが言うんだ。
”ワトソンが言ったように要素は…続いてくるのだ”。この言い方に似てた。
SM : 大事なのはこのシーンに、モリー以外の全員が勢ぞろいしていることだ。
レストレードはズル賢い方法で威厳を保とうとしてる。シャーロックにとってはありがたいことじゃない。
レストレードはシャーロックが事件を解くと分かってる。だから頼んだ。
MG : だがシャーロックが主導権を握っていても、警察は捜査を続ける。裁判所に行くとか面倒な仕事があるからね。
でき上がった3つの脚本の中から、たくさんの見事で印象的な名シーンが生まれた。
ラボのシーンもこのシーンも演技が最高だ。めったに見られる芝居じゃない。
型にハマらない柔軟性を持って、声の高さやペースを変えれば演技に入り込めるものだ。
SM : ある夜、このシーンのことを考えてた。登場人物たちが出てきて何かを話し、シーンから消える。
「ドクター・フー」ではできなかったことだ。1人の話すことが5~6分の長さだからね。
SV : 細かいけど、私がすばらしいと思ったのはコートが1階に置いてあるという設定よ。
シャーロックは2階でコートを着なくて済む。
SM : こっそり出かけるからね。うまいこと成り立ってる。

帰ってきてコートを1階にかけることもあるし、2階のドアにかけることもある。
次にどう使うかによって、うまく分けられてるとは。これは気がつかなかった!


■携帯のGPSを検索するジョン
SM : ”ミー・フォン”は僕が考えた。どんな電話だろう?
MG : おかしな話だけど、こうするしかない。特定の有名なウェブブラウザや映画などを参考にして
他人が考えたステキなデザインを訴えられない程度にマネて作り替えるんだ。

「”me-phone”は”i-phone”のモジりだ」ってネット見て「ナルホド!」と思ったなぁ。
こんなコトにも全然気がつかないワタシ。(笑)


SM : イラつくことが多いよ。”ネットで君を検索した”なんて言わない。”君をググった”だ。
MG : マズい?
SV : ”ググった”ってここでも言わないで。
MG : 動詞だ。問題ない。
SM : 掃除機の”フーバー”と同じ。
MG : ユニオンジャックのクッションは僕も1つ持ってる。ポールはクッションを見て、聖アンデレ十字に替えたがった。
SV : スコットランド人だから。
MG : 結局、許してくれた。

■221Bに入ってくるタクシードライバー
SM : がっかりさせる事実だが、この運転手はフィルじゃない。
MG : ベネディクト?
SM : まさか。
MG : 君は脚本でこの場面を怪談みたいに不気味に書いた。それが映像にうまく再現されてる。
帽子と眼鏡だけが浮かび、幽霊が立ってるみたいで恐ろしい。
SV : フィルは別のドラマを。
MG : 「ホワイトチャペル 終わりなき殺意」だ。
帽子がタクシー運転手すぎるとパイロット版で言ってたが、君は”フィルがいないなら帽子は残そう”と。
SV : ある日曜日、またロンドンで撮影をしてたら、隣で「ホワイトチャペル」を撮ってた。
MG : そうだった。
SV : 製作者と話したの。”すべて順調”と言うのを聞いて嫉妬したわ。
MG : こっちはフィルがいなくて困ってた。
SM : コートが1階に置かれてたおかげで、”ヒーローのコート”で最後のシーンに登場できる。
MG : スティーヴン「緋色の研究」について話して。明らかに異なってるのは、辻馬車の御者が2つの丸薬を使う点だ。
SM : 原作の目的は復讐だ。アメリカで妻を殺した人々に犯人は復讐をしている。だから殺す相手は悪い奴らだ。
だが彼は信心深いからチャンスを与える。どっちが生き残るべきか神に決めてもらう。
MG : 神が味方する。
SM : そうだ。だから動機に関する回想が長たらしいのが原作の欠点だ。
だから彼にもっと単純な動機を与えた。動脈瘤を持ってる設定は同じだけどね。
原作ではジェファーソン・ホープ。僕らの犯人はジェフだ。希望(ホープ)に殺されるなんて最悪だ。
僕らの話と逆で、原作では犯人がベーカー街に呼ばれる。
MG : 種明かしの為だ。
SM : カバンを取りに来た彼に、ホームズは手錠を掛ける。
僕らは話したね。コナン・ドイルのミスは、ホームズに薬を選ばせなかったことだ。2つの薬のうち1つを相手に選ばせて
1つを自分が飲むという発想は画期的だよ。コナン・ドイルはその見事さに気づいてなかった。
MG : 君はラストに加えた。

■タクシーに乗るシャーロック
SV : これがシャーロックの”中毒症”ね。
MG : 危険だ。
SM : 彼はこの高揚感を味わうため、若い頃はドラッグをやってた。ここで事件を終わらせることができるのに
好奇心に勝てず誘いに乗る。シャーロックの荒っぽさについて一度こう書いたけど、ぎこちないからカットした。
”ルールがあり複雑だから正義の味方をする”。
MG : ハードルを上げる。
SM : だが”荒っぽいシャーロック”話が進むにつれ、”死んでもモリアーティを阻止する”という。
彼は単なる正義の味方ではなく、もはや正義になったんだ。
MG : 正義そのもの。
SM : ヤンチャなタイプかもしれないけどね。でも大きな前進だ。ステキな話だよ。
MG : だからワトソンを通して語られているんだ。原作にはホームズが語っているストーリーが2作品あり、
それらも新鮮で魅力がある。だが第三者を通したほうが、ワクワク感が高まって面白い。
嫌な男である彼が、愛すべき男になる瞬間を僕らは拾ってる。人間味を持つ彼を見たいからね。
SM : 人間らしさは必要だ。彼をずっと冷徹な”イカれ野郎”にはしておけない。
MG : ドラマの冒頭からシャーロックが危険を好む人間だというのは明らかだと思う。
サリーは”退屈に耐えられず、そのうち彼は人を殺す”と。だが突然ジョンが現れ、2人は意気投合する。
つまり感情がないわけじゃ…。実際のシーンはないけど落ち込むと4日間、口を利かずソファに寝そべってる男だ。
SV : このセリフは何かの引用?”善良な男”。
SM : いや”善良な男”は僕が考えた。
MG : ”壁紙のない”映画から「善良で偉大な男」って作品さ。見事な特殊効果だろう?

■Roland-Kerr Further Education College
SM : 僕らは…、というよりスーがそっくりな建物が並ぶ場所を長い間、探したけど結局見つからず特殊効果を使った。
MG : よくできていて感謝している。
SM : すばらしいね。
MG : フィルの配役について話そう。
SM : 彼はパイロット版にも出演した。オーディションに来てくれて光栄だったよ。
MG : 多くの優秀な俳優が来てくれたね。
パイロット版にはもう1人タクシー運転手が出るから、”タクシー運転手2”としてこの役を紹介してたんだ。
フィルはがっかりして次の瞬間びっくり。9ページものシーンがある。皆、熱心に様々な演技を見せてくれた。
フィルは誰とも違って冷酷さを持ってた。”タクシー運転手が?”の部分がそうだ。
彼の目がきらりと鋭い輝きを持っているのが分かる。ほかの人々について”愚かなことだ”と言う部分は
見る側の心をかき乱す、すばらしい演技だ。
SM : 彼は具体的な説明はしない。ほんの触りを話すだけで、あとは胸の内に秘めてる。

パイロット版で、犯人以外にもう1人「タクシー運転手」なんて出てたっけ?と思ったら、
ジョンが「221B」に行く時に乗ったタクシーのドライバーにセリフがあったのを思い出しました。


SV : いい編集だわ。(シャーロック&タクシードライバーが暗闇の中、部屋に入るシーン)
SM : ドアが開くところ?最高だ。
SV : チャーリー。
SM : チャーリー・フィリップスの編集だ。
MG : フィルの演技で気に入ってる部分がある。シャーロックが”プレー”する番になり、彼の子供について見事に言い当てる。
フィルが”優秀だな”と言う時、隠していた弱さが表れる。印象的だ。
SV : スポンサーの話をするフィルがいいわ。ベネディクトの鼻が見ものよ。不愉快そうに彼の鼻にシワが寄るの。
MG : これはどこ?大学だったかな?
SV : これはカーディフ大学ね。
SM : ステキな部屋だ。使えなくなるところだった。同じ建物が隣になかったからね。
SV : 結局あきらめた。
SM : 映像ではでっち上げることができる。
MG : パイロット版ではここがベーカー街だった。別の場所のほうが、単一な印象を与えずストーリーに合うと思った。
ベーカー街のシーンは多いし生活の拠点でもある。もっとロンドンを探索するほうが面白い。
すべてが1つの場所で起きるよりね。
SM : バランスが難しい。1話目だから、もっとベーカー街も見せたいんだ。だが薬物を捜索するシーンもあるから難しい。
もう1つの大きな変更点は、最後まで意見が分かれたよ。運転手を撃ったのがジョンだと分からない。
途中でジョンの姿が見えなくなるんだ。シャーロックと同じ瞬間に、ジョンが撃ったということに僕らは気づく。
だが印象を弱めると思った。この2人のシーンだけで単調になる。
それにジョンのストーリーが語られないと、最後に違和感が残るんだ。
MG : 2つの場面をうまくまとめられた。別の場面に切り替わっても緊張感が続いてる。
”救世主が来るのか”とハラハラさせられるんだ。
SM : お決まりの展開だ。”間に合うのか否か”。銃を持ってることも忘れてるからね。
ワトソンがホームズの命を救うというエピソードは、原作にはまったく出てこない。
何度も助けているようなイメージがあるが、実際はそんなことはしてない。

パイロット版はジョンが出てこないから、犯人が射殺されてアッサリ終了って感じだったケド、
ジョンがシャーロックを必死に探すシーンを入れたことで、本編はハラハラ感がかなり増してるね!


MG : 現代版を作る上で、やや現実的でない設定も取り入れる必要があった。
2人は金がないのに、よくタクシーに乗る。バスには乗せられないから、いつもタクシーの後ろだ。
もう1つ面白いのは、ジョンが戦地で使ったリボルバーだ。ロンドンで銃を持ち歩いたら違法だが、大事な設定だ。
従軍時の銃を持つのが彼に合ってるだけでなく、かつて特定郵便局で強盗事件が多発したことも関係がある。
自分の身は自分で守らねばならなくなった。
SM : 銃について何の説明もないんだ。ただ彼は銃を持ってる。軍人にとって不適切なことだが、なぜか持ってるんだ。
MG : アメリカなら別だ。このシーンが派手な銃撃戦になる。シャーロックは10丁持ってる。コートの下にマシンガン。
SM : ただ男2人が話すシーンだから、いつも心配になる。だが実に秀逸なツーショットだと思う。
ベネディクトとフィルの演技は文句なしだ。見事な2人の顔が続く。

コートの下にマシンガンwww アメリカ版ならありえそう。(^^;

SV : 見入ってた。
MG : 次に話すのはシャーロックの服装だ。”きちんとした服装”という原作の記述を基にした。
派手でない上質なスーツで、保守的なスタイル。さらに必要になったのがコートだ。それからマフラーもね。
撮影時期が冬だったから必要だったが、見覚えがあるかもしれない。アメリカの画家フレデリック・ド・スティールの挿絵だ。
大きな下襟のあるコートにシルエットがよく似ている。彼がスーツだけを着た姿はめったに見ない。夏は何を着るんだろう。
SM : そのうち決めないとね。ヒーローには定番のスタイルが必要だ。刑事のような格好でなく彼独特のスタイルにしないとね。

シャーロックの夏服って、全然想像つかない!コレは見たい!(笑)
そもそもイギリスって「猛暑」なイメージがないんだケド、紳士達は真夏に何を着てるんでしょうね?


MG : ”お帰りなさい、艦長”
SV : ”いいコートですね”
SM : 本当にいいコートだ。ラスボーンとブルースを偶然にも踏襲しているようだ。彼らもステキなコートを着てた。
MG : 現代を舞台にしてるから、マントではなくコートだ。
SM : 映画ではラスボーンが鹿撃ち帽に手を伸ばすとブルースが”ダメだ、約束したろ”と。
MG : 何の約束か気になる。
SM : 時代設定を変えたことを認めてる。”1895年じゃないんだぞ”
MG : 君もやった。「シャーロック・ホームズの冒険」の映画にもすばらしいジョークがあるんだ。
”君のせいで変てこな恰好をさせられてる”。自分をネタにしていて面白い。
SM : 最高だ。このシリーズが続くなら、いずれ僕らも鹿撃ち帽を出すかもね。
MG : ふざけてかぶってたら、パパラッチに撮られるとか。
SM : ヒーロー的なことをしたあと鹿撃ち帽姿で写真に撮られ、そのイメージを植え付ける。

「鹿撃ち帽」の登場は、この話通りに「ベルグレーヴィアの醜聞」や「ライヘンバッハ・ヒーロー」に登場してきたねー。

MG : ベネディクトの最初の衣装合わせを覚えてる。
鹿撃ち帽でパイプをくわえた彼の写真を3枚、衣装係がメールしてきた。
一瞬”何だ?”と思ったけど。イタズラだったよ。”キマってるでしょ”と言ってた。
SM : 原作のホームズは鹿撃ち帽をかぶってたのか議論になるが、挿絵によるとかぶってたと言える。
挿絵は最初からあるものだからね。
MG : 似たような話題は多くある。新聞記事を埋めるための手段さ。”基本だよ、ワトソン君”も原作に実在しないセリフだ。
SM : いかにも言いそうだ。
MG : 彼の言ってないセリフはたくさん存在する。それと同じで鹿撃ち帽もはっきりとした記述はない。
SM : 彼は”基本だ”とも一度も言ってないそうだ。よく聞くのにね。それでもいいセリフなのは確かだ。
”基本(elementary/エレメンタリー)”と出すか悩んだが、今どきの男が使う単語じゃないと思った。
MG : 何か考えよう。”世辞はいい”が好きだ。
SM : イメージが壊れる。狙って言っている感じだ。
MG : ”ホームズ、約束したろ”
SM : ”基本”と言われる場面が…、

このドラマ版シャーロックの口グセって何だろう?「obviously(明白だ)」とか?
決めゼリフってほど頻繁には出てこないけど、人を小バカにしたような言い方が好きだわ。(笑)


SV : これはCGよ。炎がね。(銃がライターだったシーン)
MG : リコリスで作った銃だ。
SM : 本物の銃だ。
MG : フィルに誘拐されて薬か銃を選ぶとしたら?リスクを冒して銃を選ぶ?
SV : 偽の銃と知らず?
MG : 当たり前だ。
SM : ほかのケースでジェフは積極的に銃を使ったはず。
MG : もっと怖い?
SM : 本物の銃だとしても、ベネディクトは勝てると思う。
ここで僕ならさっさと立ち去るね。(シャーロックが部屋から出て行こうとするシーン)
パイロット版の設定より直接的なやり方になってる。無謀な行為だ。彼の中毒症が出てきた。
MG : ジェフがどう見分けてるかは決めてあったの?
SM : どのポケットに何が入ってるか分かってた。印があるのではなく、ただ記憶してるだけ。
MG : 混乱して忘れたらどうなる?
SM : ”どっちだっけ?” ”やめた”
SV : 自分にもリスクがあるのね。
SM : だが彼は洗脳するみたいに相手を操作するんだ。

■窓越しにシャーロックを見つけるジョン
MG : 注目だ。
SM : 2枚の窓を通したシーンだ。1つの窓を通り抜けたら、また同じ窓にズームインする。うまく撮れてる。
デヴィッド・アーノルドとマイケル・プライスが刺激的な音楽を作ってくれた。
SV : 特別な人たちよ。
MG : タイトな締め切りにも対応する、驚異的な職人たちだ。
SM : ヒーロー的な音楽じゃないのがいい。シャーロックの常軌を逸した音楽さ。興奮を誘うが耳触りだ。
MG : ストリングスが調和してない。
マーティンがJ・ボンドに選ばれたら、理由はこのショットだ。(ジョンが犯人を撃つシーン)
このシーンはとても満足してる。死にかけている男に”僕は合ってたか?”と聞く。
そして彼は残酷に男の傷口を踏みつけるんだ。もっとも冷酷なシャーロックの姿だ。
SM : 彼の言い訳はジョンと同様”悪党だった”から。恐ろしいセリフだね。”死ぬ寸前でも拷問はできる”
MG : モリアーティにつなげるための筋道だ。90分ドラマになると分かって、すぐ決めていた。
楽しみを先に延ばさず、最初のうちから何か秘められたものを匂わせようとね。

■シャーロック&レストレードの会話
SM : 原作でモリアーティは「最後の事件」に初めて登場する。
これが最後の登場でもあるんだ。2人の対決がもっと書かれたら面白いだろうとファンは期待した。
MG : だがラスボーン版の描き方は間違っていた。モリアーティが繰り返し再登場するんだ。
大好きなシリーズだけど、モリアーティは頂けない。5人の違う俳優が演じてるけどね。それは面白い。
SM : 毎回違う俳優が演じて、毎回殺される。生き返った説明もなし。
MG : ”再生”だ。
SM : それしか考えられない。この瞬間も好きだ。(シャーロックがジョンが撃ったと気付くシーン)
マーティンの視線が、”そう、僕だ”と語ってる。
MG : 僕が好きなのは彼の軍人風の物腰だ。その表現を読んでもピンとこなかったけど、これだと思った。
SV : 歩き方も軍人風ね。
SM : すべてのシーンで自分が軍医であることを忘れてない。文句のつけようのない男だ。
MG : レストレードが”優秀な刑事”であることと同じで、ワトソンはパッとしない”バカ”のほうがいい。
窮地に陥っていてくれたほうが都合がいいんだ。

「パッとしないバカ」って!www
そういえばジョンってマイクロフトや闇の組織、モリアーティ、アイリーンなどなど、
エピソードごとにいろんな人にあっさり拉致られて結構マヌケよね。戦闘能力は高いのに。(笑)


SM : ワトソンはどの物語でも決して天才とは言えない。だがホームズはワトソンを誰よりも信頼してる。
マーティンは信頼できる男を体現してると思う。
SV : マーティンは歩き方にバリエーションがあるの。第2話でデートをした時の彼の歩き方は…、
SM : 軽快。
SV : 期待感。
MG : 軽やかだった。
SV : 進展を期待して。
MG : シリーズが続くならワトソンを女たらしにしたいと思ってる。その一端をもう見せてる。今後が楽しみだ。
SM : うまく導入できてると思う。ただしモリーのことは口説かない。
MG : なぜ?
SM : 彼女はシャーロックに惚れてるし、忘れられたから少し頭にきてるんだ。
ワトソンは肉食動物みたいに、常に警戒態勢にある。
MG : 美女に対してね。

果たして「シリーズ3」ではジョン×モリーのカップルは誕生するのか!?

■マイクロフト登場
MG : ”あのイケメンは誰?”と、ここでワトソンが言うんだ。
SM : ボツにした。俳優が現れないし。
MG : 僕は現場にいた。
SM : ”マーク、スーツに着替えて”と。裏切られた気分だ。不吉なシーンだったのに、原因は兄弟の確執だったなんて。
MG : ”ママ”がいいね。マイクロフトは過食とダイエットを繰り返すタイプだと決めた。
SV : 楽できた?
MG : 撮影中は自由な食生活ができてよかったよ。
彼のデスクにはダイエットピルが置かれてる。なぜかシャーロックは悩み知らずだ。
SM : 原作でマイクロフトは太ってるから。
MG : 原作と少し変えるのも面白いと思う。
ワイルダーの作品ではその設定は考慮されず、クリストファー・リーが演じてた。それもまた斬新だと思うし。
SM : すごく面白いマイクロフトだ。権力的でシニカルで…、
MG : 恐ろしい。
SM : 唯一、シャーロックに匹敵する優秀な男だ。
大好きなシーンだ。(ジョンがアンシアに話しかけるシーン)
MG : 2回目だ。
SM : やる気満々だね。可哀そうなジョン。
MG : シャーロックお得意の推理だ。”店の質はノブで分かる”。
SM : ジーンズでも。
MG : 面白くて気に入ってる。
SM : 緊迫した瞬間が遮られる。
SV : ポールに質問された。
SM : 詳しい推理のこと?
MG : ”デザイナーはネクタイで分かる”
SM : ”パイロットは左の親指で分かる” ”配管工事人”だったのを、君がパイロットに変えた。
”使える”と思ったよ。皆を驚かせる見事な推理だ。
SV : 誰かがネットで”緑のハシゴ”について調べてた。
MG : ”緑のハシゴ”ね。

■歩き去るシャーロック&ジョン
SM : 僕らのヒーローだ。”S・ホームズとワトソン医師だ” 最後の君のセリフは格別だ。
MG : 最初はルパートのセリフだったが、”脚本家の語りみたいだ”と。
SM : マークが適役だ。
MG : 僕に回ってきた。
SM : いいセリフだったよ。脚本家って感じだった。
MG : 皆に感謝してる。
SM : このタイトルカットはテレビ史上”最も凝ったデザイン”だと思う。
上品でさまざまな要素が混ざり合ってる。こんな壁紙が使えたら死んでもいいよ。

コメンタリーを見ると、今まで以上に「こだわりがハンパない!」って感じるね。
いろんな秘話が聞けて面白い♪



BBC SHERLOCK INDEX
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SHERLOCK1-1/シャーロック1-1 「A Study in Pink/ピンク色の研究~コメンタリー~」②

2012年10月29日 | SHERLOCK(BBC)
<解説者>
SV : Sue Vertue (スー・ヴァーチュ) ・・・ Producer
SM : Steven Moffat (スティーヴン・モファット) ・・・ Co-creator、Writer
MG : Mark Gatiss (マーク・ゲイティス) ・・・ Co-creator、Writer、Actor (Microft Holmes)


■ジョンに忠告するドノヴァン
MG : サリー役のヴィネット・ロビンソンだ。ここもパイロット版と違う点だ。
別の女優が演じてたが、サリーは制服を着てた。他にも細かく議論したよ。
パイロット版のおかげで再考する機会が得られた。ハドソン夫人の店も…、
SM : それも変えた。警察官の男がスカートをはき、女ははかない。気に入ってるアイデアだ。
MG : またその話か。
SM : パイロット版でハドソン夫人はサンドイッチ店を持ってたが、あとで少しやりすぎだと思った。
SV : 今は洋服の仕立職人?
MG : ビルの所有者だ。夫がフロリダで死刑になって大金が手に入った。いつかドラマ化を。
SM : ”フロリダで処刑された無実の男”
MG : 家賃を下げようとして。
SM : ハドソン夫人は本当は夫が無罪なのを知っていた。
MG : 金にうるさい男なんだ。
SM : いい人だけどね。
MG : 屋上に立つシャーロックを見上げる場面がカットされた。
SM : いいショットだったが、皆が間抜けだと言った。賛成派は僕とベン・スティーヴンソンだけ。
仕方なく引き下がったよ。だが電話の謎がより深まったと思う。

モファットさん、屋上で月をバックに立つシャーロックのシーン気に入ってたんだ。(笑)
「間抜け」とまでは思わなかったけど、確かにワタシも笑ってしまった。


■謎の男に連れ去られるジョン
MG : 面白いアイデアだ。すごく気味が悪い。監視カメラに追われてるんだ。
鳴っている公衆電話の横を通り過ぎるってアイデアがいい。偶然だとしてもどこか気持ちが悪い。
SM : 実体験から思いついたんだ。鳴ってる公衆電話を見て、次は隣の電話が鳴ったらゾッとすると思った。
SV : 監視カメラを操作するなんて不思議な気分だった。向きが変わるところ。
MG : これはカーディフだが、ロンドンではどうだった?
SV : すぐ断られた。門前払いよ。
SM : 断られたら次へ。
SV : こっそり撮影したの。
SM : 違法な撮影をした場合、マズいのはテレビで放送されるってことだ。
MG : 本当は別のカメラで撮った。
SM : 恐ろしいね。どこかで聞いた声だ。
MG : ちょっとした目くらましだ。大げさだけどね。
SM : 実際はマイクロフトの仕業だが、視聴者に彼をモリアーティだと誤解させたかった。
MG : ”宿敵”って発言も効果的だ。
SM : この場面を考えた時に気づいたが、兄の言うことはすべて意地悪に聞こえる。
MG : 本当はすごく心配してる。
SM : マイクロフトのイメージで参考にしたのは、原作じゃなくビリー・ワイルダー作品だ。
MG : I・A・L・ダイアモンドとかね。
ラスボーンの映画の次に好きなのがビリー・ワイルダー監督の「シャーロック・ホームズの冒険」。
過小評価されていたが、物悲しくもあり愉快でもあり、変わった作品ではあるけど、様々な面で完璧な映画だ。
SV : マイクロフトは太ってる?
SM : そうだよ。だからマークに演じてもらった。原作では肥満体となってる。彼について書かれている特徴はそれだけだ。
MG : 賢いとも…。
SM : 雰囲気だけで実際は分からない。ワイルダーとダイアモンドは見事だよ。
MG : クリストファー・リーを策略家のマイクロフトにした。

■マイクロフト&ジョンの対面
SV : この場面ステキだわ。
SM : 本人を前に言うのもなんだが、このシーンはすばらしいよ。
MG : お世辞はやめろ。
SM : アイスランドの火山灰のせいで移動できず、現場に行けなかった。マークの演じるマイクロフトが見たかったのに。
MG : 僕は無理やりこの役をやらされた。
SM : スティーヴ・トンプソンのアイデアだった。モリアーティとマイクロフトのことを話してて、
スティーヴが”マークはベネディクトの兄っぽい”と。当時マークはピーター・マンデルソンの役を。
MG : ドラマのオーディションを彼の役で受けようとしてた。だから演じやすかったよ。
以前彼を見て”マイクロフトだ”と思った。マイクロフトの方が力があるけどね。
ストーリーがうまく収まっていて満足してるよ。原作の筋書きを、たくみに発展させてくれた。
視聴者がこのワナにひっかかってたらしいね。でも本当にうれしいことだよ。
もう1人のホームズを演じることができた。兄弟の関係も面白いしね。

ハイ、完全にワナにひっかかりました。(^^;

SM : ジョンはとても冷静に振舞ってるんだ。マーティンが彼の勇敢さを示してる。
ジョンは礼儀正しい男で、自分を押し殺していつも人々に穏やかに接する。でもここでは実に勇敢なんだ。
MG : 撃たれるのを覚悟しているような、勇敢な表情だ。
SV : プライドね。
SM : 鋼のような力強さを持っていて、皆が彼を好きになる。
シャーロックはラストで彼の勇敢さを知る。とても頼もしくて力強い友人だよ。
MG : ワイルダーの映画で面白いアイデアがあった。
つきあいの悪い人間が集う”ディオゲネス・クラブ”は、実はシークレットサービスなんだ。
SM : 最高だ。
MG : 僕らは最初のうちからすべての作品を”聖典”と考えた。
原作に限らずラスボーン版やジェレミー・ブレット版、僕は次のセリフではグラナダ・シリーズを意識してた。
”ベーカー街221Bに引越すならば”。チャールズ・ケイの”這う人”での演技をマネた。
マイクロフトはしつこく”住むのか?”と聞きそうだ。
SM : だから弟に嫌がられる。ベイジル・ラスボーンの「The Spider woman」の話もしたね。
MG : 彼の真骨頂だ。
SM : 見てない人には薦めたい。約60分の貴重な映画だ。
どの作品より内容盛りだくさんだ。最初の10分ですべてやり尽くしたって感じだ。
MG : だが、あのような作品が面白いのは適切な姿勢で作られているからだ。
チープであっても誠実さがあり、楽しい要素がある。「シャーロック・ホームズの冒険」の雰囲気に近いと思う。
奇妙で面白くて不思議な話が描かれているんだ。同時に風格も感じられる。
SV : 女王が出てくる映画?
SM : いや。ラスボーンとブルースの40年代の白黒映画だ。女性が人々を殺していく。
”ズルくて残酷な方法だから犯人は女性だ”と。名推理だねシャーロック。
MG : ラストの射撃場のシーンでは、ヒトラーの的の後ろに縛られたホームズをワトソンが撃とうとする。

■車内のジョン&アンシア
SM : ずっと確認しようと思ってた。シャーロックが何分間、画面から消えるかね。
最後に見たのが30分すぎだから12分間出てこない。第1話の中盤なのに。
MG : 僕のせいだ。
SM : マークが時間稼ぎをする。
恋愛に発展しない2人のやり取りは絶妙に演じられていると思う。一度カットしたけど、また戻したんだ。
MG : 秘密情報機関の話をしたけど、マイクロフトが示す力はすべて恐ろしい。
ちょっとしたジョークでも怖いね。ジョンをもてあそんでいるようだ。

■シャーロックに221Bへ呼び出されるジョン
SM : ジョンは兵士の勘で不吉さを感じてる。ついに登場。
MG : ここではモメた。
SM : ポールと議論して結局使わせたけど、”ニコチンパッチが何になる?”と思ってる。
MG : 3つも付けてる。
SM : 設定について他にどんなことを話し合ったっけ?
MG : ドラッグについてだ。このあと詳しく話そう。化学捜査の時代に生きるホームズについてや、喫煙と依存症について。
SM : ドラッグについては僕らはそれほど興味がなかった。
MG : たいした問題じゃない。ホームズのファンである僕らにしてみれば、ドラッグのことはいつも大げさに騒がれすぎだと思う。
SV : 常に聞かれる。
MG : 必ず質問されることだ。ホームズはドラッグを打つよりも、笑ってることのほうが多いのにね。
しかもドラッグの記述は初期だけだ。現代版のシャーロックはドラッグをやるだろうか?
手を出すかもしれないけど、つじつまが合わなくなる。彼は退屈を紛らわして脳を衰えさせない為にドラッグをやっていたんだ。
刺激的な事件の合間に注射を打ってたら不自然だ。
SM : やろうと思わない。でも大事なのは、彼を変人に描くってことだ。頭脳が並外れているから刺激が必要なんだ。
呼吸するために泳ぎ続けるサメと同じ。だから彼は謎を解く代わりにドラッグをやる。
ビクトリア時代はそれが彼を変人に見せる面白い表現だった。
MG : 広告を見たり。
SM : そうさ。トンチンカンだ。だが現代に舞台を移した場合、きっと18歳の時の彼は荒れ放題だったはずだと思うはずだ。
落ちこぼれになったり、バカなことばかりしてた。落ち着きを持てるようになるまではね。
”難問があれば満足だ”と悟るまでの彼を想像できる?相当な変人だったはず。
MG : 原作では彼の学友の父親が推理を仕事にしたらいいと言うんだ。そういわれたのは彼にとって初めてだった。
マイクロフトは中欧で放浪する弟に落胆していたはず。だが突然シャーロックは生きがいを見いだした。
それでも荒削りな部分は持っていた。優しく、さりげなくたしなめてくれる人物に出会い、彼は初めて人間らしくなれたんだ。
SM : 自分にとって味方だから、ジョンには耳を貸すんだ。彼に注意される時もあるけどね。
MG : ジョンは”好意的な聞き手”だ。僕らと同じさ。
SV : 皆は”うせろ”と言うのよね。
SM : そのとおりだ。

ジョンがシャーロックの推理力を褒める前から、シャーロックはジョンに対して結構フレンドリーよね。
スタンフォードが連れてきた友達だったから?(笑)
スタンフォードといえば、バーツのシーンが多いのに第1話以来見かけないね。
ジョンのブログにはよくコメントで出てくるけど、もうドラマには出ないのかな?
 

MG : もう1つ問題になったことがある。現代版では”CSIの世界”をどう描くかってことだ。
ドラマのことじゃなくて、科学捜査って意味でね。原作ではホームズが化学捜査を考案していたが現代では?
やはり彼は特別な存在ということにした。警察が証拠を集めたり計測したりするが、彼の判断は…、
SM : 例えば人間の頭脳を使わないと思いつけないことに、ホームズは気づくことができる。
最も秀逸な推理の1つは「白銀号事件」だ。”犬の奇妙な行動に注意しろ” ”何もしてませんが?” ”それが奇妙だ”
犬がほえなかったため、侵入者は内部の者と推測した。
コンピューターや監視カメラが何台あっても”平常である奇妙さ”には気づけない。
MG : 子供の時、読んで鳥肌が立ったのを覚えてるよ。僕らは傑作だと思っても、コナン・ドイルには普通かもね。
だが本当に画期的なアイデアだ。様々な方法で応用できる。だから”ヤケクソ”なレストレードも助けを求める。彼にしか気づけない。

■犯人をおびき出したレストランへ向かうシャーロック&ジョン
SM : ここでシャーロックは自分の賢さを見せようとしている。人に気づかせたいほど賢いんだ。
いつもは骸骨に話してたから、ジョンがいてご機嫌だ。”一緒に来い”と。
SV : 作る相手がいない料理名人ね。
SM : 笑ってくれる人がいない大物コメディアンとかね。もう1つ悩んだのは、どう名前を呼び合うかだ。
MG : すぐに名字では呼ばないだろうと思った。モファットも賛成した。
SM : 不自然だろ?
MG : だが同時に疑問がわいた。”シャーロックとジョン”?
面白いことに何度プレスリリースを出しても”シャーロックとワトソン”と呼ばれる。ジョンは平凡な名前だからね。
SV : シャーロックは変わってる。
MG : でも一度聞けば慣れてもらえると思う。名字で呼び合っていたら不自然だ。
SM : ”ホームズ” ”ワトソン”なんて寄宿学校の男子生徒みたいだ。
堅苦しいし、あか抜けないし古臭いけど、本当にできるのか何日か検討した。
MG : 2人をファーストネームで紹介するのは、初めてのことだからね。
名前で呼ぶ許可を得る前は”ホームズさん”。第1話の最初のうちは”ワトソン先生”。自然になじませている。

「シャーロック」って名前は「シャーロック・ホームズ」が有名だからヘンな名前だとは思わないけど
イギリスでは普通の名前なのかなぁ?他ではあまり聞かない名前だけど。
そういえばハドソンさんはジョンの事はやっぱり「ジョン」って呼んでるのかな?
シャーロックの事はよく名前で呼んでるけど、ジョンを名前で呼んでるシーンは出てきてない気がする。
(←「2人とも」とか「ボーイズ!」とかはあるけど)


■ノーサンバランド通りのレストラン
SV : 夜7時から朝6時頃までこの店にいたの。外の様子が刻々と変わったわ。
熱い夜だから外でお酒を飲む人が多くいて、誰もいなくなり…、
MG : 男が来た。
SV : あの男ね。
MG : ”チャップリン以外はクソだ”と言っていた。
SM : いつ?
SV : 真夜中だったわ。その後、静かになり気づいたらコーヒーを手に会社へ向かい人々がいた。
SM : もう朝になってる。
MG : 長い撮影だった。
SM : おそらく議論の的になる問題は、シャーロックのセクシャリティだ。
あいまいとか謎だといわれるが、原作を見ると明らかだ。まったく興味がないんだ。彼は脳以外の部位には興味がない。
MG : ”重要じゃない”
SM : パイロット版にあったセリフだ。女性に興味がないからゲイだと言う人がいるけど、男にも興味がない。
恋愛は彼の領域じゃない。
SV : ジョンは結婚を?
SM : 原作ではそうだ。
MG : ドラッグのことと同じで、120年で200通りぐらい様々な解釈がされてきた。
ほんの小さなことを必要以上に大げさに取り上げて解釈したものばかりだ。例えば彼を”打ち負かした”女もその1つだ。
彼が愛している女性というわけじゃない。出し抜かれた唯一の女性だから関心を持ってるんだ。
ロマンスを予測する説が出るのも当然だが、面白いのは本来の意味とは異なる解釈ができるってことだ。
SM : 「ボヘミアの醜聞」の書き方は絶妙だね。ホームズは彼女への恋心を認めたくないとも考えられる。
コナン・ドイルは巧妙な作家だ。数多くの映画でホームズと魔性の女の対決が描かれている。彼が恋するのは悪女だけだ。
MG : 蜘蛛女も。
SM : そのとおり。

■タクシーチェイス
SV : ソーホーで走り回り大変だったチェイスシーンよ。スチールカメラをたくさん使ったわ。
キャノンのカメラだったと思う。HD撮影ができるの。とても小さなカメラだから…、
MG : 許可を取らなくても撮れる。
SM : シーズン1の最後の撮影だ。終了後、朝6時に乾杯した。
SV : 撮影助手が改造した三輪車を使ったわ。前にカメラを取り付けて撮影監督も乗って…、
MG : ”ハイテク”だ。
SV : ”低予算のドラマみたい”と言ってた。
MG : 野次馬もいなかった。”上下するカメラ”を使ったね。
SV : ”タワーカム”と呼んでた。
SM : ”タワーカム”だったね。”上下するヤツ”じゃない。
MG : 最近はそう呼んでた。ロンドンで撮影するのは不可能だと皆が決まって言う。
僕らはソーホーの中心の5番通りにいた。近くの道路は人であふれていて、グリーク通りは大騒然。
だがディーン通りは実に静かで、すごく不思議だった。走りまわったよ。
SM : 僕らが食事に行っている間、ポール・マクギガンは残って小さなカメラで標識の写真を撮ってたね。
SV : 彼は昔、写真家として活躍してた。
MG : カーディフに戻った。
SM : 全3話のエピソードから、ものすごくロンドンの空気が伝わってくると思う。だがロンドンで撮影したのは?
MG : 5~6日?
SM : 1話につき、たったの1週間だ。たいしたものだと思うよ。
MG : 「オースティン・パワーズ」風に、なるべくボカして表現した。例えば皆が知ってるピカデリー・サーカスは、
バスがあふれる独自のピカデリー・サーカスにした。現代的なロンドンの生活が分かる。
第2話では現代のロンドンを体現する”金融の宮殿”であるガラス張りの高層ビルを出した。古いものを出さず…、
SV : チャイナタウンも。
MG : チャイナタウンも出した。カーディフは寒かった。寒さはキツイが、うまいことロンドンの代わりになってくれた。
SM : いいシーンが撮れた。
MG : ありがたい。
SM : 僕らはカーディフが大好きだ。

ロンドンオリンピックの放送で、競技場がある「カーディフ」や「コヴェントリー」って名前が出てきた時、
思わず反応してしまった、おのぼりサンなワタシ。(^^;


■221Bに戻るシャーロック&ジョン
SM : 気に入ってるシーンだ。意地悪なシャーロックの温かさが垣間見える。支配的だが温かくて優しい笑顔を見せる。
MG : パイロット版の頃、僕らはメールで議論した。
問題はシャーロックという男が人好きのするタイプなのかということだ。参考にしたのは…、ビンゴで決めたんじゃない。
「ドクター・ハウス」というドラマだ。皆に好かれる気難しい主人公は、ホームズを基にしている。
僕らの描くシャーロックは原作より人間味があると思う。彼のような人物に僕らが興味を持つのは、
普通とは違う部分があるからだ。彼に”友達のジョンだ”と言わせてみたいし、”豆を買っとく”と言わせたりした。
そのくらいなら問題ないと思う。だがそれを超えると、彼の魅力がなくなってしまう。
SM : キャラクターを壊さないよう、セリフ1つ1つを検討しないとね。
SV : 第2話でジョンにカードを貸す場面があったわ。2人はカードを共有してるの。

「ドクター・ハウス」が「シャーロック・ホームズ」をモデルにしてるってのは聞いたことがあったけど、
「Sherlock」でも参考にしてたとは。変わっててイヤミ炸裂だけど、ナゼか人に好かれるトコロは似てるかも。
そういえば、こないだ「Dlife」で放送されてる「ドクター・ハウス」を見てたら、
ハウスの家のドアに「221B」って番地の表示があって「おおっ!」ってなったなぁ。(笑)


MG : アンダーソン役のジョナサン・エイリス。ヒゲがない。
SM : 本人もこれを聞くだろうから、ヒゲを剃らせた理由を言う。
パイロット版を見た人が”付けヒゲ”をしているから彼を悪者だと思ったんだ。
MG : 本物だ。
SM : ジョナサン、すまない。
MG : もう生やすな。いまだにヒゲづらだと悪者だなんて…。マントと帽子も着けてた。
SM : 不適な笑みを浮かべて、火のついた爆弾も持ってた。

アンダーソン、コメンタリーでもオチョくられてる。(^^;

③へ続く…。


BBC SHERLOCK INDEX

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SHERLOCK1-1/シャーロック1-1 「A Study in Pink/ピンク色の研究~コメンタリー~」①

2012年10月27日 | SHERLOCK(BBC)
以前から見ようと思っていた「Sherlock/シャーロック」のレンタル版DVDをようやく鑑賞。
本編はUK版とNHKの録画で十分だから、日本語版のDVD or ブルーレイは持ってないんだけど
「コメンタリー」が見たかった。

UK版DVDにもモチロン入ってるんだけどね。
メイキングは字幕があるから、ワタシのつたない英語力でも調べれば理解できそうだけど、
「オーディオ・コメンタリー」は英語字幕すら入ってないので、聞き取れたトコロしか意味が分からない…。(^^;
というワケで、コメンタリー目当てでレンタル。

ちなみにレンタルDVDの内容は、
<シリーズ1>
・「A Study in Pink/ピンク色の研究」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)・コメンタリー
・「The Blind Banker/死を呼ぶ暗号」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)
・「The Great Game/大いなるゲーム」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)・コメンタリー
<シリーズ2>
・「A Scandal in Belgravia/ベルグレービアの醜聞」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)・コメンタリー
・「The Hounds of Baskerville/バスカヴィルの犬(ハウンド)」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)・コメンタリー
・「The Reichenbach Fall/ライヘンバッハ・ヒーロー」 … 本編(テロップ:日本語版/英語版)・SHERLOCK UNCOVERED(メイキング)

販売用のDVDと内容が違うのは「シリーズ1」に「A Study in Pink/ピンク色の研究」のパイロット版と、
メイキングの「Unlocking Sherlock」が入ってないトコロかな。
パイロット版は無理だとしても、「シリーズ2」はメイキングが入ってるのに「シリーズ1」には入ってないのが残念。

A Study in Pink/ピンク色の研究 ~commentary/コメンタリー~>



<解説者>
SV : Sue Vertue (スー・ヴァーチュ) ・・・ Producer
SM : Steven Moffat (スティーヴン・モファット) ・・・ Co-creator、Writer
MG : Mark Gatiss (マーク・ゲイティス) ・・・ Co-creator、Writer、Actor (Microft Holmes)


■悪夢から目覚めるジョン
SV : 製作のスー・ヴァーチュです。
MG : 製作総指揮のマーク・ゲイティスです。
SM : 製作総指揮と第1話脚本のスティーヴン・モファット。
最初に製作に至る経緯を説明したほうがいいだろう。
シャーロック・ホームズを現代化しようという発想は、僕とマークが電車で話していたことから始まった。
以前から一番好きなシャーロック・ホームズ映画はペイジル・ラスボーンの”現代版ホームズ”だと話してた。
邪道だが原作に忠実だ。”また誰かが現代版を作るな”とぼやいていた。
MG : 君は奥さんにその話をした。
SV : 私よ。
MG : 先に言っておくが、この話をしにモンテカルロに行ったわけではない。
たまたま授業式に出るためにモンテカルロにいたんだ。
週末のモンテカルロでスーが間に入って僕らは話し合った。ステキな場所だったよ。そして僕らがやると決めた。
SM : そんなに古い話じゃない。2007年か2008年のことだ。あっという間だったよ。
あのモンテカルロのランチから始まり、瞬く間に3本の90分ドラマができた。大したもんだ。
SV : ”クライテリオン”でランチ会議したのも覚えてる?
MG : 原作でワトソンとスタンフォード青年はクライテリオン・バーで再会するんだ。
その後、ワトソンはホームズを紹介される。ランチで僕らはBBCに企画を伝えた。すばらしい食事と会議だった。
現代版シャーロック・ホームズは簡単に作れるものだと分かってもらえた。最初の段階からね。
そこで”ピンク色の研究”のパイロット版60分を作ることになった。

■オープニング後、被害者の詳細
SM : 第1話はパイロット版として作られた。
MG : DVDで見られるかな?
SM : 収録されるよ。同じストーリーの60分版だ。だが継ぎはぎして90分になるわけじゃないから、結局全てを撮り直した。
見事な撮影をしてくれたのはポール・マクギガン監督。「ギャングスター・ナンバー1」「ラッキナンバー7」の監督だ。
テレビでは見かけないような斬新なショットがあって秀逸だよ。

このドラマの見どころと言えば映像も大きな割合を占めるんだろうけど、やっぱり映画監督だからうまいんでしょうかね?
名前にピンとこなかったけど「ラッキナンバー7」だけ見たことがあるなぁ。


MG : このあとのショットが最高だと思う。愛人の目にあふれる涙が、斜めに降り注ぐ雨のシーンへつながる。
SM : 実にすばらしい表現だよ。普通の人は思いつかないね。
傘を取りに行き死ぬ青年はジェームズ・フィリモアだ。原作では未解決事件として出てくるんだ。
MG : 実話でもある。
SM : そうだ。
MG : 傘を取りに戻ったまま失踪した男。フィラデルフィアで、
SM : 失踪が多い。
MG : パイロット版を製作したのは2009年だったかな。
SM : そう。
MG : もう昔みたいだ。僕らは満足したし、BBCも喜んでくれた。「刑事ヴァランダー」のようなミニシリーズにしたいと言われたんだ。
一瞬、息が止まったあと”オーケー”と返事したよ。90分のテレビ映画を作れることになって僕らは張り切ったよ。
どちらも十分に描く時間が必要だ。

■警察の記者会見
SV : このシーンの途中でポールが体調不良で帰宅したから、残りを私たちが撮って、ものすごく時間がかかったの。
”次に行こう”って言う人が誰もいなかったからよ。
SM : スーが監督を?
SV : 私と撮影監督と記録係と第1助監督の4人で、いつもの8倍時間がかかった。
SM : メールのテロップはポールのアイデアだ。実は全3話は逆の順序で撮影してるんだが
第3話の時に彼がこのアイデアを思いついた。携帯画面のカットを省ける。

エピソードが逆の順番で撮影されたってのは聞いたことがあったけど、
役者さんって演技がややこしくなったりしないのかしら?(^^;
「テロップ」が監督のアイデアだったとは!グッジョブ。


MG : 別人の手だ。
SM : 携帯をつかむ手はたいてい別人だ。
だが我々は普通と違う表現を使ってるんだ。本シリーズの特徴にもなり、気に入ってる。
SV : 携帯画面のカットは最終日に撮るの。誰も乗り気じゃない。
SM : あのカットがあると頭が悪そうに見える。画面をじっくり見て”よし分かった”ってね。
MG : 考え込むんだ。
SM : ルパート・グレイヴスだ。最初はレストレード警部と呼んでいたが。
MG : 「シャーロック・ホームズ」は当然ながら天才作家アーサー・コナン・ドイルによる名作だ。
僕らが子供の時に夢中になった物語さ。
これはあくまでコナン・ドイルの作品だが、すべてを新しくするという試みは現代版の新たな”聖典”を作るということだ。
服装を現代的に変えるだけじゃダメだ。すべてを現代に当てはめる必要がある。
ある日の朝3時頃、横になっていて思い浮かんだ。”インスペクターじゃなくてDIと呼ぶべきだ”。
すでに撮影が進んでいた時だったけどね。

■再会したジョン&スタンフォード
SM : ホームズ・ファン向けのネタだが、マーティンが見えやすいように持ってるカップのロゴに注目して。
”クライテリオン”と書かれてるんだ。原作で2人はクライテリオン・バーで再会する。
だから原作に敬意を表して”クライテリオン…”
MG : ”コーヒー・バー”と。
実はパイロット版で僕らはクライテリオンに行ったんだ。豪華なエドワード調の内装の店だ。本撮影では行けなかった。
SM : はっきり特定できないように撮ったけどね。

■セント・バーソロミュー病院のシャーロック&モリー
MG : 遺体安置所だ。シャーロックの初登場シーン。
SM : 善良な老人の遺体を、ムチで打ちながら登場するドラマの主人公は珍しい。
MG : 獣医ドラマ以来だ。
SM : ミス・マープルとね。
SV : 映像化されたことは?
MG : 初めてだと思う。
SM : 原作の「緋色の研究」でスタンフォードが言うんだ。”遺体安置書で死体を打つ異様な人だ”とね。
MG : ”解剖室”だ。会話に出てくるだけなんだ。このシーンを撮れてうれしかったよ。違和感を覚えるファンもいるかもしれない。
今までに映像作品では触れられたことのない一面だからね。
でも僕は7歳の頃「緋色の研究」を読んで、死後どんなアザができるのか検証するために
死体をムチで打ってるホームズの姿を想像できた。笑える小ネタが満載なんだ。
SM : 初めて呼んだホームズものが「緋色の研究」だった。
面白いことにワトソンがアフガニスタンにいたことをホームズはすぐに言い当てるが
その理由が明かされるのは2章先だ。感心したよ。
MG : コナン・ドイルは聡明な作家であり、自身の傑作シリーズにはうんざりしていた。
だがそれも作品の魅力の1つだと思う。違う作品を書くことも…、
SM : うんざりしてたと思う。20歳代から60歳代まで同じシリーズを書いた。
若い時も中年になっても年老いても同じ話を書いてると思うと嫌になるはずだ。
長年1つの作品に縛られたら飽き飽きするのが普通だろう。
SV : 書き方はずっと同じ調子?
SM : 晩年の作品ほど、ややストーリーの質が落ちるが長い間、見事に変化がない。
MG : ”傑作ではないが最善を尽くした作品だ”と彼は後期の秀作について語ってる。
いくつかの晩年期の作品はすばらしいと思う。見事な推理が光ってる。
SM : 「ソア橋」は晩年の秀作だ。作品を並べた時、見分けがつかない。
どれを28歳で書いて、どれを60歳で書いたかね。ほとんどキャラクターに変化を加えなかった。
天才的だと思うのは60作品中たった一度だけ、ある瞬間を描いていることだ。ホームズとワトソンの純粋な愛情を表す場面さ。
「三人ガリデブ」でホームズが”ケガはないな?”と言うんだ。間違いなくその一度だけだ。
表面上は探偵物語だけど、実は友情を描いた物語なんだ。男の友情は語られることが少ない。
”僕たち友達同士”なんて男は言わない。
MG : 言う必要ない。
SM : その友情を描くのを僕は楽しんでるよ。
表立ったテーマじゃないが、慕いあう2人の男の友情は重要な裏のテーマだ。
SM : これもポールによる見事なショットだ。(被害者ジェニファーが、震える手で瓶を取るシーン)
”ベーカー街”って言葉だけでなぜか興奮するよ。

■221B Baker Street を訪れるシャーロック&ジョン
MG : いい感じの建物だ。白のしっくい壁が雰囲気に合ってる。僕らは無理に現代的なものを入れてるわけじゃない。
例えばベネディクトにホームズの面影がなかったら魅力がないのと同じだ。
イギリスには今もビクトリア調の家が多い。インテリアに関しても同じだ。自然な現代性を見いだすのがむずかしかったよ。
SM : ここは不自然だと思うけど”221B”と付けずにいられなかった。建物のドアに番地の表示があるのは妙だ。
でも”221B”は外せない。いろいろ言い訳を考えてあるよ。

初めてドアの「221B」を見た時は、キタ━(゜∀゜)━! って思ったけど、よく考えたらオカシイよね。
だって「221B」はシャーロック&ジョンの部屋の番号であって、ハドソンさんの部屋や、
大いなるゲーム」で出てきた、カール・パワーズのスニーカーが置かれてあった地下室「221C」の入口にもあたるのに。
でも、つじつまが合わなくても、これは必須だ!(笑)


MG : もし表示を変えたら画期的だね。”221B”と。
SM : 味気なさすぎる。ベーカー街の部屋のセットだ。
SV : くつろげる部屋だった。
MG : パイロット版とは少し違う。居心地はいいけど学生風の汚い部屋とは違う。豆をよく食べる若い独身男2人の部屋だ。
皆が過ごしたくなるような部屋でないといけない。
ポールは壁紙にこだわりがあって、パイロット版より赤みのないビクトリア調にした。
SM : ポールは自他ともに認める”壁紙フェチ”なんだ。だが実は僕も別の映画を見て、壁紙にケチをつけたりしている。
MG : 壁紙のない映画?
SM : ”つまらない壁だ”ってね。
SV : 最初はフロアに段差があった。
MG : でも皆が転ぶからやめた。
主役2人のことを話す前にハドソン夫人役のウーナ・スタッブズの話をしよう。彼女は人間国宝ものの重要な役を演じてくれた。
ハドソン夫人はよく世話を焼いてくれて、抱きしめたくなる存在だ。
ウーナのハドソン夫人は、通常ホームズとワトソンはもう少し年上で、ハドソン夫人はかなり年配だ。
この作品の彼女は息子を世話する母親に近い。
SM : 脚本にあったか忘れたが、気に入ってる場面がある。
シャーロックは冷徹で高慢だが、ハドソン夫人が大好きなんだ。進んで抱きしめたりキスしたりしてる。
面白い描写だ。彼は常に冷たいってわけじゃない。好きな人にはやさしい。
MG : このあとの2人のやり取りはある意味、息子と母親みたいだ。彼女が正しいと分かってるからイラつく。
SV : ウーナ自身もステキな人よ。
SM : 誰にも代えられない貴重な存在だ。記者会見後に行われた試写会でも、ウーナのセリフで毎回笑いが起こってたと思う。
MG : 別のドラマでは意地悪なサリーおばさんを演じてた。意地悪なハドソン夫人はどう?
SM : サリーおばさん並みに恐ろしいキャラクターになる。人の邪悪さを完璧に描いてね。
ここは書きたくて書いた大好きな場面だ。気に入ってるし、完璧にでき上がった。(「もっと見たいか?」のシーン)
MG : 大きな満足感が得られるシーンだ。
投げやりになっていた男が突然、息を吹き返し悠然と歩き出す姿は見ごたえがあるからね。

■221Bから事件現場へ向かうシャーロック&ジョン
SV : 2人が移動するシーンのカメラワークを見て欲しいの。
SM : ワイプで画面を切り替えて場面転換をしてる。だがカメラの動きに注目だ。ありえない撮り方をしていることに気づくはずだ。
ここで彼は外へ。この後のカメラワークを見て。カメラが外へ飛んでいく。
SV : 長身のカメラマンかも。
SM : ありえない高さだ。
MG : 第3話のゴーレムだ。最初は屈んで次に起き上がった。
SM : 種明かしをしよう。実はマーティンが手前を横切ったのがワイプになってる。
SV : まったく同じ位置で撮るの。タクシーのショットも工夫が利いてる。
MG : これはベネディクトとマーティン。紹介は以上だ。自分達で話すだろ?
SM : その通り。ベネディクトは現代版シャーロック・ホームズ役のオーディションをした最初で唯一の人物だ。
MG : ジェームズ・ボンド役の候補なら5~6人はいるだろう。だが1人しか思いつかない時もある。
「つぐない」を見た君とスーがベネディクトを挙げた時、彼と知り合いだった僕は”なるほど”と思った。
オーディションを見て完璧だと思ったよ。
SM : 君は彼を見て即決したね。その決め手は?
MG : 僕らが30代前半の若い俳優を探してたっていうのもある。
その年で風格があり尊大で、ラスボーンっぽさも出せる俳優はめったにいない。
SM : だから彼のほかに候補がいなかった。
MG : あとは彼が優秀な俳優で将来性があるからだ。
SM : スター性を持ってる。
MG : 彼は確かにホームズっぽいが、大事なのは外見じゃない。
身長や身体的特徴だけでホームズを決めるわけじゃない。役になじみ自由に演じていることが重要だ。
だが俳優としてベネディクトだ偉大だと思うのは、実際の彼がすごくドジで陽気な男だってことだ。
ドラマのシャーロックとはまるで違う。
SV : ゆうべ劇場で見たけど、役とは別人だったわ。
SM : 似ても似つかない、まるで正反対だよ。
ドラマばかり見てると彼の人柄を忘れがちだけど、ドジで人懐こくてやさしい男なんだ。
唯一、共通点があるとすればベネディクトは優しくて、シャーロックは横柄だけど2人とも人使いが荒いことだ。
ベネディクトには”優しい支配者”って言葉が合う。
MG : 事件解決のために彼を呼んだけどムダだった。
SM : まるでダメ。次回はがんばって欲しい。
MG : シャーロックには大満足だ。皆も喜んでくれたらいいね。
SM : マーティン・フリーンマンはベネディクトと正反対だ。才能があることを除けばね。
ベネディクトは俳優の”珍種”のような存在だと思う。平凡な人には見えないし、いつも変わった役を演じている。
だがマーティンは平凡な男をよく知ってる。彼のリアルな気難しさが大好きなんだ。何テイク撮っても新鮮な演技を見せてくれるよ。
第3話で指の臭いをかぎ、消毒剤に気づく場面がある。どのテイクも”初めて知った”って顔をしていて感心した。

確かに、変人を演じるより何の特徴もない普通の人を演じる方が難しいのかもね。
マーティン・フリーマンは普通の人の演技がリアルすぎる~。
何度もドラマを見てると「細かい!」と感心する演技や表情がたくさん出てくるし。


■事件現場に到着したシャーロック&ジョン
SV : パイロット版でも使った道路よ。その時は大雨だった。私たちの使った家は売られて、ずいぶん内装が変わってる。
MG : ステキな家だ。
ジョン役の俳優を探すのはもう少し複雑だった。ベネディクトは決まってたから彼に合う相手が必要になる。
これがキャスティングの不思議なところだ。いい俳優がたくさんオーディションに来てくれた。
でも問題は相性だ。”支配者”って話が出たね。ジョン役の候補にすばらしい俳優もいたけど、
場合によっては”艦長2人”とか”艦長と兵士”みたいな状況になる。それじゃ成り立たない。
SM : 艦長に物を言える船医が要るんだ。
MG : カーク船長とボーンズ。
SM : ある程度、対等ではあるが艦長は1人だ。最初のジョン役の候補はマット・スミスだった。その後「ドクター・フー」へ。
MG : 彼が去ったあと、”シャーロックぽかったね”と皆で言ってた。
SM : マーティンとベネディクトが初めて読み合わせをしたのを覚えてる。
マーティンが加わるとベネディクトはよりシャーロックっぽくなった。

■事件現場の階段を上る
SV : ステキなショットよ。
SM : 階段の真ん中に見事な仕掛けがあるんだ。スーが説明してくれ。
SV : 何だっけ?
MG : 回転するポールのようなものを使った。
SM : カメラが上へ昇るんだ。ほかのショットでも使った。
SV : 真ん中にあるポールで
MG : ミドル・ボール?
SV : 調べておくわ。
SM : ミドルライズ・ポール?
MG : 上下する装置と魔法の箱。それが撮影のすべて。これはニューポートの住宅で撮影した。
この家を買いたかった。エドワード調の立派な建物だが壁に穴まで開けさせてくれた。
SM : 直したけどね。
SV : 実際に壁を切り裂いて穴を開けたの。
SM : ホームズ・ファンへの情報だが、このネタは原作と逆にした。
「緋色の研究」では”RACHE”の文字を見つけて警察が”レイチェル”だと思うんだ。
僕らは”レイチェル”が正しくて警察が”復讐”と思う設定にした。どうなろうとシャーロックの言うことが正しいんだ。
SV : ドイツ人のバイヤーに見せた時、ドイツ話が出てくるから喜んでたわ。
SM : コナン・ドイルはリサーチが怠慢だったから”RACHE”の意味も確認しといた。
MG : 日本の格闘技”バリツ”はデタラメだしね。
SM : 知らなきゃ信じるね。気をつけないと。”シングルスティック”って?
MG : そんなのもあった。

■アンダーソンの前でドアを閉めるシャーロック
SM : 可哀想なアンダーソン。
MG : 舞台が現代だからと根拠もなく”シャーロック・ホームズならコンピューターを持ってる”と思ったわけじゃない。
実は原作でもホームズは現代的だ。19世紀の”現代人”だ。
頻繁に電報を打ったり受け取ったり、給仕のビリーに手紙を持たせて届けてもらう。
後期の作品では部屋に電話も引いてるんだ。だから彼をどんな情報にも通じた現代的な人間にしたかった。
もはや紙の資料など使わない。機械を駆使する男なんだ。
SM : インターネットはホームズ向きだ。原作では新聞の人生相談や個人広告をよく読んでる。
きっとネットを徘徊してモリアーティの情報を得ようとするだろうね。この時代に合ってる。
MG : ”ホームズの限界リスト”を見ると分かる。彼の知識にはギャップがある。
僕が気に入ってる部分は、”政治の知識 ゼロ”、”天文学の知識 ゼロ”、”通俗文学 膨大”。
犯罪の知識に限らず大衆記事を読んでるから人々の暮らしに詳しい。
つまらない不倫や下品な情事などの知識が彼の身に染みついてるんだ。
SV : 原作のレストレードは?この作品ではドジな役だけど…。
SM : 特定の描写を参考にしたんだ。あまり登場しないし、書かれ方がバラバラだからね。
「六つのナポレオン」の彼が僕らは好きだった。ストーリーの最後にレストレードがホームズに言う。
”君を誇りに思う。警察の皆が君と握手したがる”。
MG : ホームズは感激する。
SM : ホームズもワトソンも気づいてなかったが、実はレストレードはホームズを尊敬してる。だから称賛したんだ。
MG : だがホームズはレストレードのことを”最も優秀な刑事”とも言ってる。ワトソンのことは”バカ”と言うのにね。
つまり”最も優秀”だけど自分とは違う。ホームズがいなければレストレードが謎を解くかもね。
SM : だからルパートを起用した。オーディションでほかの俳優は少しコミカルに演じてた。
”ルパートならレストレードを主役にできそうだ”と言ったね。シャーロックが現れない時はレストレードのドラマを作ろう。
MG : ベネディクトが休暇の間。
SM : 彼にとって退屈な事件を、レストレードが解決するとかね。

レストレードのドラマって、イイじゃないっ!ヽ(*´∀`)ノ
もし「シャーロック」が「シリーズ3」で終わるなら、ぜひスピンオフを作って欲しい♪


MG : ルパートは洗練されているけど泥臭くて男っぽい部分を持ってるのが好きだ。
若い頃、歴史劇で評価された俳優の割にね。本物の刑事っぽい泥臭さがあるんだ。
SM : すごくハンサムなのに、誰にもそういってもらえない男って感じだ。父親っぽさもあるね。子供が4人いるせいか…。
SV : これも例のポールよ。
SM : ”アップダウン・ポール”。下りてきた。
MG : 商標だったらマズい。もう言うな。”上下する棒”が下りてきた。
SM : マークが買いたいといったこの家はドラマでは不気味な外観だが、実際はステキな家だ。美術部門が…、
MG : 見事に奇怪な家に変えた。
SV : その後、元に戻した。
MG : 実際はこんな家じゃない。僕らは現代の印象を強調しようとしてたのに、この家はゴシック様式だ。
パイロット版のシーンが地味に見えたからだ。印象的な雰囲気になったよ。
踊り場に警察の照明器具が置かれているが、ロウソクの灯でもないのにビクトリア時代風に見える。
SM : ジョンがシャーロックに会った途端、不思議な世界へ引き込まれる感じを出したかった。
パイロット版ではただの犯行現場なんだ。意図していたような奇妙さがなかった。
SV : それにパイロット版よりいいカメラを使えたことも大きいわ。

②へ続く…。


BBC SHERLOCK INDEX
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SHERLOCK3/シャーロック3 ~ 放送前アーティクル まとめ~

2012年10月26日 | SHERLOCK(BBC)
■ SHERLOCK3/シャーロック3 Articles/アーティクル まとめ




SHERLOCK3/シャーロック3 ~Edinburgh International Television Festival~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~The three words for series three~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Mark Gatiss's Tweet~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~The Story Of Christmas Auction 2012~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~What do we know so far and what can we deduce?~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Mark Gatiss's Tweet~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~News summary~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC confirms Sherlock series 4~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 begins filming~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock filming in restaurant~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC and AA continue to film series three of Sherlock~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 episode 2 title revealed as The Sign of Three~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC recreates the 'fatal' leap from S2 finale for new episodes~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock producer shares series 3 wedding photo~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~MF looks set to wed real-life partner AA~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~'Sherlock' fourth series not confirmed, says Steven Moffat~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Exclusive pictures~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Hundreds of fans line the streets to see them film Sherlock~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock relaxes upstairs at 221B as filming on series3 takes a break~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC ditches the deerstalker for guardsman’s hat~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~How to unlock the title of the third episode~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~UK版DVD/Blu-ray Pre-order~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~The title word of the third episode by "A Scandal in Belgravia"~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC reveals how Sherlock survived his fall
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 finale title revealed~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock S3 Sountrack Previews~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~The Killing star LM revealed as new villain~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC, MF in new 'Sherlock' trailer~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC looks dapper as hundreds of fans gather to watch him shoot scenes~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock’ Director: “We Did A Few False Shots”~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 footage in BBC Drama trailer~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 US air date revealed~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 to premiere at BFI in December~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~'Sherlock' series 3: New #SherlockLives trailer debuts~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~pay your respects~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 UK air date confirmed~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock mini episode to air on Christmas~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~The 30 Pictures From “Sherlock”~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~New Sherlock footage revealed in BBC's 2013 Christmas showreel~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3, episode 2 new plot teasers released~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 interactive trailer~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock premiere screening: seven spoiler-free teasers~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Sherlock series 3 mini-episode 'Many Happy Returns'~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~Amazon UK Sherlock promo video~
SHERLOCK3/シャーロック3 ~BC, MF return in new Sherlock images~


【BBC SHERLOCK INDEX】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする