里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

墨彩画「木瓜」

2024年05月26日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3      
  

我が家の玄関近くにボケの木があります。花は白とピンクが混じり美しく可愛い。
しかし、トゲがあり邪魔にならないよう常に強剪定しています。それでも非常に強く必ず伸びてきます。
近隣でもボケの木を見かけます。我が家のように強剪定することなく大株になっていることが多い。
よく見かけるのは朱色の花で、密生して咲くため見応えがあります。
過日訪れた国営みちのく杜の湖畔公園ふるさと村でも朱色のボケの花が咲いていました。
ボケを漢字で書くと木瓜。
果実が瓜に似ていることから木瓜と書くらしい。小生は果実を見たことがないので分りません。
もっとも強剪定しているので実を着けるのは無理というもの。
大株になったボケの枝は複雑に入り組んでいますが、切り花にしたものを墨彩画で描いてみました。


水墨画「牡丹」

2024年05月14日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙

我が家の庭で5月に咲く花で目立っているのは牡丹。
花が大きいので否が応でも存在感を放っています。
我が家の牡丹は相当に古くからあるものです。小生が幼少の頃には牡丹の花が咲いていた記憶が明確にあります。
昔ながらの牡丹で、どこでもよく見かけるものです。
牡丹を描くとなるとやはり我が家の牡丹がモチーフになります。
花びらの数はもっと多いのですが、煩くなるので少し省略してみました。
牡丹とよく似ているのが芍薬。牡丹は木本で芍薬は草本。咲く時期も大概芍薬の方が遅いようです。
しかし、花は似ており違いを表現するのは難しい。
はっきりと違うのが葉の形。牡丹の葉には切れ込みがありますが、芍薬にはありません。


      

水墨画「ラッパ水仙」

2024年04月28日 | 水墨画:草花
画仙紙半切 1/3   

4月は方々でスイセンが花盛りです。いわゆる様々なラッパスイセンが競うように咲いています。
我が家にも数種のラッパスイセンがあります。
日本水仙のような小さい花の房咲きではなく、大柄で目立つ1花咲きが多い。
しかし、ミニのラッパスイセンもあるので、一概には言えないでしょうか。
品種は豊富で、花弁と副花冠の形と色が様々、多くの組み合わせがあります。我が家にも数種のラッパスイセンがあります。
典型的なラッパスイセンはその名の通り副花冠が長いものかもしれません。
今回は、やや短めのオレンジがかった副花冠のラッパスイセンをイメージして描いてみました。


水墨画「かたくり」

2024年04月21日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙   


春の代表的な野草の一つ「かたくり」。
昔は、我が家周辺の野山でもごく普通に見られました。しかし、何時の間にかすっかり姿を消してしまいました。
我が家の庭には細々ながら数株あります。調子が良ければ僅かながら花を咲かせてくれます。
その独特の姿、どうも今年は葉だけで花は見ることが出来ないようです。
当県南部の南蔵王山麓にはカタクリの群生地があります。そして、すぐ近くには水芭蕉の群生地があります。
過日、今年も水芭蕉が開花したとニュースで流れました。小生もこれまで何度か訪れています。
水芭蕉とカタクリの開花は多少ずれることもありますが、多くは両方愉しむことが出来ます。
しかし、カタクリのことは話題になりません。水芭蕉の見学者もカタクリの所は大概通り過ぎるばかり。
カタクリにとっては良いことなのか悪いことなのか。健気にひっそりと咲くカタクリはそれで良いのでしょう。


墨彩画「金魚草」

2024年03月25日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3   


過日、彼岸の生花用に金魚草を頂きました。ピンクと黄色の花です。
春らしいクリアな色合いでボリュームがあり華やいだ雰囲気が感じられます。
金魚草の名のとおりぷっくらとした花びらは可愛らしく金魚が沢山寄っているように見えます。
少し調べてみると品種も多く様々な色や形の花が切り花や鉢物、また花壇などにも作られているようです。
日本と同様中国でも金魚草と呼ばれるらしいのですが、英語圏ではSnap-dragonと呼ばれると言います。
かみつくドラゴンと言う意味で、花の姿がドラゴンの顔のように見えることから名付けられたらしい。
ちなみにフランスではgueule-de-loupという名前で呼ばれると言います。
こちらは口を開いたオオカミの顔のように見えることから名付けられたらしい。
東洋人は個々の小さな花の印象を、西洋人は大きな花全体をイメージすると言うことでしょうか。
濃いピンクの金魚草をイメージし墨彩で描いてみました。


墨彩画「日本水仙」

2024年03月18日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙   



過日記したように、当地で春を告げる花と言うと福寿草ですが、日本水仙もまた春を告げる花です。
今年、我が家の庭では福寿草よりも早く、2月早々からポツポツ咲き出しました。例年よりかなり早い。
但し早く咲くのは八重咲きの日本水仙。石垣のすぐ側にあり、暖冬のみならず輻射熱で暖かくなるからです。


しかし、助っ人が蕾のうちから次々採っていきます。香りが良いので色んなところによく飾るらしい。
そのうち真冬並みの寒さがぶり返し、なかなか沢山咲く状態にならず終わりそうです。
一重の日本水仙は庭の外れにあります。勢いもあまり良くありませんが、実に可憐な姿です。


画にするとなるとやはり一重の日本水仙。
6枚の小さな花びらに黄色の副花冠、花が数個房咲きになります。葉は殆どがよじれるのが特徴です。
黄色の副花冠にだけ色付けした墨彩画にしてみました。






墨彩画「フリージア」(鎮魂の日に捧ぐ)

2024年03月11日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3   

今日は鎮魂の日です。
東日本大震災から13年の歳月が流れました。
犠牲になられた方々に心より哀悼の誠を捧げます。
昨年が節目の13回忌でした。そろそろ明るい画でも良いのではと思い、敢えて墨彩画にしてみました。
フリージアのイメージはやはり黄色。自然に明るい気分にさせてくれ、切り花として人気があるのも分ります。
東日本大震災での犠牲者は我が県だけで1万人を超える未曾有の大災害でした。その殆どは海岸地帯の大津波による犠牲です。
内陸部に位置する我が家郎党に犠牲者はおりません。
しかし、家屋やライフラインのダメージは免れませんでした。一番復旧が遅れたのは下水でした。そして墓地の倒壊、農地の地盤沈下と崩落、さらに原発事故による放射能汚染は当地方まで波及しました。
1月1日の能登半島地震による被災者のご苦労は如何ばかりかとお察しします。
東日本大震災ではかつての同級生や同僚で亡くなった方がいますし、同僚の家族や知人にも犠牲になった方がいます。
ここしばらく真冬並の寒さが続いていますが、あの日も夕方に雪が降り出す寒い日でした。
午後2時46分には改めて黙祷を捧げます。合掌。



墨彩画「菜の花」

2024年03月04日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3   

考えてみると、菜の花という言い方はかなり曖昧な表現なのかもしれません。人によってイメージする菜の花には大分幅があるような気がします。
一般的にはアブラナ科(十字花科)植物に咲く花でよいのだろうと思います。
しかし、小生は幼少の頃、油菜(アブラナ)つまり菜種油の原料となるナタネの花だと思っていました。記憶も曖昧になるほど昔のことですが、我が家では水田の裏作にナタネを作っていました。それを実らせて菜種を穫り、街の油絞りの業者のところに持って行き菜種油にして貰うのです。
現在でも大規模にナタネを作り菜種油の生産と菜の花の観光を両立させているところがあります。ですから、狭義の意味ではナタネ即ち油菜の花が菜の花と言っても間違いではなさそうです。
一方で生け花などに用いる菜の花となるとどうでしょう。正月の生花などによく用いられます。これはナタネではありません。ハナナ(花菜)と呼ばれ、冬に咲くハナナは寒咲花菜。なおかつ現在の生花用ハナナは鑑賞向けに育成された葉の縮れた品種が多い。
今回墨彩で描いてみた菜の花は、この鑑賞用ハナナですが、どうだったでしょう。
寒咲花菜と言えば、我が家では食用として作っており、皆の人気が高い。こちらは鑑賞用ではなく食用として育成されたもの。もちろんどちらのハナナも兼用することは可能です。
食用のハナナ(花菜)は店に出るときには菜の花として売られることが多い。また、菜の花ではなく菜花(ナバナ)という言い方もよくされます。
こちらはアブラナ科野菜のトウを食用とする場合に用いられますが、狭義に食用のハナナを菜花(ナバナ)と言う場合も多い。
我が家では茎立ち菜(とう立ち菜)として、仙台雪菜、つぼみ菜、かき菜を作っています。また、大概のアブラナ科野菜は春になると自然にトウが立ち食用にできるものも多い。
これらは全て菜花(ナバナ)と言っても間違いではないので、ますます紛らわしい。そこで、小生はこれらアブラナ科野菜のトウを利用するものを総称しナバナ類と言う表現にしています。
ちなみに拙ブログには「畑:花菜類」のカテゴリーを設けています。これは「はなな類」ではなく「かさい類」です。ナバナ類以外のブロッコリー、カリフラワー、花ミョウガなど花や蕾を利用する野菜を含みます。


墨彩画「藪椿」

2024年02月26日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙  


ヤブツバキを墨彩画で描きました。
ヤブツバキは水墨、墨彩でしばしば描いています。今回のテーマはシンプルな墨彩画のつもりでしたが。
何度描いても頭の中と手の動きが一致するのは至難です。
ヤブツバキは園芸種と区別し野生のツバキ、いわば藪に生えるツバキでヤブツバキ。
我が家の周りには沢山のヤブツバキが自生しています。
どのヤブツバキも同じかと言えばかなりの個体差があると感じます。
早いものは12月から咲いています。時には11月から咲くこともあります。
しかし、それは1本だけ。暖冬だから次々と咲くかと思えばそうではないのです。
よく見るとようやく最近もう1本咲き始めました。あとはまだ咲く気配が見えません。
もともとヤブツバキは咲き揃いが悪い。多くは3、4月になって咲いてきます。
過日描いたサザンカに比べ花も葉も大きくはっきりと違いがありますが、画にすると全体の形は似ています。
明確に違うのが雄しべ。サザンカは根元からバラバラなのに対しヤブツバキは筒状になっています。
花の散り方も違います。サザンカは花びらがバラバラに散るのに対しヤブツバキは丸ごとぼとりと落ちます。
これが、かつて武士たちに「打ち首」を連想させるとして忌み嫌われたらしい。

水墨画「山茶花」

2024年02月19日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙   

我が家の冬の庭で楽しめる花となると限られます。
サザンカはその数少ない花の一つです。
前年は沢山の花が咲き、満開の時期も感じることができました。しかし、今年はいささか少ない。
12月から咲いており、満開はいつ頃かと思っていましたが、だらだらと咲いてあまり変わらないようです。
それなりに咲いてはいますが、ピークらしきものを感じられないまま収束に向かうことになりそうです。
我が家のサザンカは花弁の数が10枚くらいあります。
少し調べてみるとサザンカは5~7枚の一重が多く、二重は少ないと言います。
我が家のサザンカは二重のサザンカとばかり思っていましたが、果たしてどうなのか。
サザンカはツバキとは花も葉もはっきり違いがあります。花は小振りで、葉も細身で小さい。
しかし、水墨で描くと似通った姿になりやすいのです。
そこで、はっきりと違いを際立たせるのが雄しべ。
ツバキは根元が筒状、サザンカは根元からばらばらになっているので、それを強調することになります。


水墨画「枇杷の花」

2024年01月14日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3  

ビワの花が今時分に咲いているのを知る人はどのくらいいるでしょうか。
ビワの実を知らない人はまずいないと思いますが、花はどうでしょう。
我が家のビワも11月中から咲き始め厳寒期の今でも咲いています。
果樹の花と言うとリンゴやナシのように短期間に咲くものが多い。ビワの花は2、3ヵ月も咲いています。
それも沢山の小さな花が固まって着きます。近づいてよく見ないと花びらがどれなのか分りません。
遠目には花が咲いているようには見えないでしょう。
たった1本のビワの木ですが、昨年はよく穫れました。例年なら収穫直前に獣害に遭うのが常です。
もっとも半放任なので穫れなくても文句は言えません。
幼少の頃、我が家の裏には大きなビワの木があり、木によじ登ってよく穫ったことを思い出します。
小さい実で殆どが種ながら甘く、いつもひもじい思いをしていた時代に貴重でした。
ほどなくして切られてしまったのは残念なことでした。
ビワを描くとき、特徴的なのは長く厚みのある大きな葉です。勢いの良い葉が表現できれば成功ですが・・・。


水墨画「白菊」を捧ぐ

2024年01月08日 | 水墨画:草花
画仙紙  半切1/3   

能登半島地震発生から1週間が経ちました。
日が経つごとに犠牲者の数が増え、未だ安否不明の方が多数おられます。
犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表します。
拙い画ながら謹んで捧げさせて頂きたいと思います。
新年の初描きは縁起物の千両にしましたが、多くの被災者の方々を思うと心に掛かるものがありました。
年明けのめでたい元旦が鎮魂の日になるとは皮肉な巡り合わせです。
東日本大震災では本県だけで1万人以上の方が犠牲となりました。そのほとんどは津波による犠牲者です。
能登半島地震とはその点が大きく異なります。東日本大震災の津波は想定をはるかに超える巨大なものでした。
同級生やかつての同僚、その家族、仕事でお世話になった知人など多くが犠牲になり悲惨の極みでした。
しかも、混乱の中でそれを知ったのはかなり日が経ってからです。
能登半島地震の津波は予想されたほどではなかったと言ったら叱られるでしょうか。
内陸部の当地域は東日本大震災で犠牲になった方はおりません。
しかし、建物やライフラインは大きなダメージを受け、復旧するまでには長い日数を要しました。
今回の地震で被災された方々が一日も早く普通の日常を取り戻すことを念願するばかりです。


墨彩画「千両」

2024年01月03日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙   

2024年の初描きはセンリョウの墨彩画です。
能登半島地震に続き今度は何と航空機事故。お亡くなりになった方もおられる中で縁起物の画はどうしたものかとは思いました。
しかし、正月でもあり、敢えて失礼させていただくことにしました。
正月の縁起物と言えば、赤い実を着ける植物と言うことになります。
南天やマンリョウ、万年青など種々ありますが、センリョウはその代表的な植物と言えるでしょう。
年末になると沢山のセンリョウが店先に並びます。
赤い実のみならず長めの葉もまた光沢がありいいものです。
我が家の庭にはセンリョウはなく、正月に生けるのは専ら南天です。
センリョウはマンリョウとととも如何にも金運が上がりそうで縁起が良い。
初描きしたセンリョウに少しでもあやかることが出来れば嬉しい。
今年も水墨画・墨彩画は週1回は投稿したいものです。
どうしても怠けたくなるのが常なので、ブログ投稿がモチベーションになっているとは思います。
展示会への出品とも違い経費のかからないのも有難い。



水墨画「シクラメン」

2023年12月25日 | 水墨画:草花
本画仙 色紙    

今日はクリスマス。当たり前のことながら昨日はイブ。
今や特段変わりのないごく普通の日常として過ぎていきます。
せめてもと画を描いてみました。
クリスマスの花と言えばポインセチアのイメージですが、今回はシクラメンを。
12月に花屋さんの店先に並ぶ鉢物で一番多いのがシクラメンではないでしょうか。
昔からみると今は花の色も形も非常にバラエティに富んでいます。
そして、シクラメンで多くの人が連想すると思われる小椋佳作詞作曲の「シクラメンのかほり」。
当時、小椋佳とは何者と話題になりましたが、バンカーでシンガーソングライターの二刀流だったのでした。
二刀流それぞれで功成り名を遂げたのですから、その才能に脱帽。素晴らしいの一語です。
「シクラメンのかほり」で紡がれる言葉が新鮮で印象的だったことは間違いないでしょう。
この中に出てくるシクラメンは真綿色したシクラメン、薄紅色のシクラメン、そして薄紫のシクラメン。
ここは薄紅色のシクラメンをイメージして描いてみることにしました。
描き出しの思いとは裏腹に花びらを線描きで補筆することになりました。


墨彩画「小菊」

2023年12月10日 | 水墨画:草花
画仙紙 半切1/3   


小菊は晩秋に我が家の庭で愉しめる一番の花です。
特に管理もしていないので気ままに咲いています。未だかなり咲き残っています。
自然に増殖し石垣の僅かな隙間に定着している小菊もあります。
なぜこんな所にと自然の不思議さ、植物の生命力に驚かされます。
多くは小生が大分前に知人から頂いたもの。それなりの種類があります。
色もフラフルで、昔ながらの小菊のイメージとは違う感じがします。
中にはスプレー菊も混じっているのではと思うことも度々あります。
しかし、結局のところ小生には小菊とスプレー菊の違いがよく分りません。
知人からは小菊として頂いたので、全て小菊で良しとしています。
自然に咲く小菊をモチーフに墨彩で描いてみました。