まるぞう備忘録

無題のドキュメント

目から傲慢な鱗が一枚一枚。

2015-06-21 11:04:03 | まるぞう経営学
 昨日の続きであります。運が良ければスタバで、あるいは移動中の電車や移動先のベンチなどでお客さんへのメールを添削していることを一昨日書きました。返答する前に自社で確認した方がいいこと。本当に再現ができないのかということ。対策は判明しているけどすぐには対応が難しいこと。営業的に値引きが可能なのかどうかということ。どれも回答するのにバランスが難しい問題ばかりですので、無意識に一度放り込んで数時間熟成したのちに回答を書くわけです。


 そして回答を書くときは一度熟成されていますから、お客さんの立場が手に取るようにわかります。どのように困っているかが想像つきます。(だいたい困っているからうちの会社のサポートに問い合わせをしてくるのですから)
自分がお客さんだったら、こういう対応をして欲しいなあ。という基準で自分がメールの文書を書いたり、社内に指示を出すことができます。


 でもふと立ち止まってみるととても感慨深いものがあります。うむ。傲慢で天狗であった自分が、仕事の時間の大半をお客さん視点でメールを書いたりしているなんて。(@。@)/ マジデ
 

 傲慢で天狗であったから会社を辞めて自分で起こすことになったわけです。上司も同僚もバカばっかりだから、もう自分で会社を起こそうと思ったわけです。私の読みどおり、会社を起こすともうバカな上司もバカな同僚もおりません。あ~あ、スッキリ。その代わりお客さんも付きませんでした。


 上司はまだ叱ってくれるだけありがたいです。自分が何が悪いか教えてくれます。でもお客さんは何も言ってくれません。単純に静かに離れていくだけです。注文をしないで他社に頼むだけです。(T_T)


 かつてのサラリーマン時代の私は、自分が正しいということを相手と戦う人間でありました。社内には敵を増やしていっていましたが、自分が正しいので敵が増えていくのは仕方ないけど当然のことでした。しかし自分が正しいという姿勢で相手を切っていくことは、結局自分の人生を狭めていくことであったのです。本当は「相手に対する寛容さ」が私の今回の大いなる人生の宿題であったのですが、サラリーマン時代の私には誰も諭すことはできなかったでしょう。だって聞く耳をもたない天狗ちゃんでしたから。



 さて自分で会社を起こすようになると一番の悩みや資金繰りです。だって注文が入らなければどんどん資金が減っていきます。自分たちの貯金の資本金もそうですし、金融機関から借りているウン千万円の資金も毎月毎月ガクンガクンと減っていきます。ああこの調子だとあと◯ヶ月後には会社は無くなるな。という現実に向き合う毎日は、やはり厳しい環境であります。



 やはりそこまで追い詰められて、初めてお客さんの立場で物事を考えることができる状況になりました。それは相手の誤解だろうが、自分が正しいと論破できようが、お客さんが発注してくれなければ自分は負けなのです。少なくともこちらは最後まで誠意ある態度を示せなければ、やはり会社は◯ヶ月後には潰れて、みんなの生活費を出せなくなってしまいます。そのように追い詰められた状況に長期間置かれることで、ようやく一枚一枚私の目から傲慢という鱗が剥がれていくようでありました。



 さて上記のことは私の超個人的な内容です。私以外の方にはほとんど関係のないお話でありますが、それを書いたのは理由があります。つまり現在この瞬間の生活の状況で問題があるとするならば、それは自分がかかえている人生の課題を解決する最短距離の境遇であるということです。やはり。
 たとえば私が一番苦労している会社の売上とか資金繰りとかは、私が今回の人生で向き合うべき問題を一番はっきりと示してくれる状況なのです。もし私が少しでも傲慢や天狗になれば、家族や社員のみんなの生活がとたんに立ちゆかなくなってしまうという環境なのでありました。うむ。


 昨日の記事で天狗会社や天狗社長の話を書きました。実際そのような会社や上司は世の中に多いことであろうと思いますし、その下で働いている方はやはりご苦労されていると思います。もちろん法律に触れるような仕事や、暴力などが行われる例は論外であります。しかしそうではない場合は、自分の上司が「俺は知らんぞ、お前の責任だ」であっても、自分の課題が何かを示してくれているのは、ほぼ間違いがないことであろうと思います。もし自分の課題がクリアされれば自然と境遇が変わるので自分でそれを知ることができます。たとえば「俺は知らんぞ、お前の責任だ」上司がいない部署あるいは会社に自然と移っていたことにあとから気がつくでしょう。というように。



おひさま、ありがとうございます。



下記は静止衛星軌道上で観測される太陽からの電子密度グラフです。急な変動がある場合は地震や事故に備えて防災意識を心掛けましょう。特に注意が必要な期間は、メールやTwitterで防災意識リマインダーを受け取ることができます。詳しくはこちら

天狗企業の罠。

2015-06-20 13:45:00 | まるぞう経営学
 昨日の続きであります。具体的なIT会社のお話ですので、業界に関係のない人にはピンと来ないかもしれません。ただ急成長する会社にはそれと同等の罠があるということが何となくわかっていただければ幸いです。ここでもまた陰と陽の因子の話ともつながるかもしれません。



  まるぞう株式会社は薄利多売でありますからお客さんの数はそこそこあります。毎日のようにいろいろなお客さんから問い合わせやらクレームのメールが来ます。それらの対応については直接は担当の社員がやっています。が、その文章については一つ一つ私がチェックしています。
 CoCo壱番屋というカレーチェーンがあります。その社長さんは午前中かけて、前日全国のお客さんから来たクレームを一つ一つ読んでいくそうです。今では社長は二代目になりましたが、二代目社長もその伝統を受け継ぎ、午前中かけて全国からのクレームを全て読むそうです。私はココイチのカレーは好きですが、この社長さんの姿勢も好きであります。



 さて逆に傾きかけたIT会社を身近に2つ知っています。一つ目のA社は右肩上がりだった営業成績がここ数年落ち始めていました。ある営業部長さんが「おかしい」と離れていったお客さんをいろいろ聞き取りしていくと、問題はサポートにあるということが判明しました。
 IT会社は製品を納めるところが儲けの半分。保守サポートが残りの儲けの半分といって過言ではありません。しかしサポートとは、ほぼクレーム対応であり、やはりめんどくさい仕事なのです。
 そして急成長したIT企業は社内に天狗の風潮が蔓延しやすいようです。天狗企業はサポートのサービス低下に一番あらわれます。窓口対応のサービスがまず落ちるのです。
 かの営業部長はサポート受け付けたもののうち3割が未対応のまま放置されていたということでした。3割放置とは驚くべき低サービス風土です。これでは顧客がどんどん離れていくのは当然でありましょう。



 またもう一社天狗企業を知っています。こちらもまた問い合わせをして返答が返ってくるまでに一ヶ月以上もかかることが頻繁にありました。このB社は、ある分野では業界トップシェアの新進気鋭の会社でありましたが、今は大口顧客がどんどん離れていっているようです。
 かつては優秀な営業マンが何人もいました。お客の無理難題やクレームでも社内に持ち帰り、社内を説得してお客さんに回答を提示していました。なかにはそれはできないよ。という内容もあったことでしょう。しかしきちんと誠意をもって「うちの会社の製品は◯◯はできないです。それは仕様です。ですが、△△の機能を使うことでここまでは対応ができると思います。」というような提案をしてたことでしょう。お客さんが必要なのは、担当者が「お客さん目線」かどうかが一番重要なのですから。


 B社は急成長することでやはりサポート窓口がパンクしたようです。担当の営業マンがフォローすべきクレーム数は飛躍的に増加しました。しかし天狗企業の共通点は組織の風通しがどんどん悪くなっていくことです。
お客さんの数が少ない時は、社員全員でそのお客さんの役に立ちたいと思っていたことでしょう。しかし顧客が増えて社員の数も急激に増えることで風通しが悪くなります。
 結局腕の良かった営業マンたちはどんどんB社を離れることになりました。それはお客さんと会社の板挟みになり続けた結果でした。腕利き営業マンはお客さんからのクレームを社内にあげます。なんとか解決して欲しいと開発部に依頼します。しかし開発部はクレーム対応はお尻が重いのです。


 私は開発の現場を知っていますが、クレーム対応とは新規開発以上に手間がかかるのです。できればやりたくない仕事の筆頭です。そもそもクレームにあがってくる不具合を、自社の開発環境で再現させるまでが大きな手間です。そして運良く自社の開発環境で再現したとして、開発手段もわかったところで、それをどうやって直すかがまた一苦労です。単純に直していいのかどうか。もうお客さんの数も多いですから、直したことで逆に不具合が発生するケースがあるかどうかを一つ一つチェックしなければなりません。評価されないのに地味な作業ですから。


 一方逆に、新規開発はそれなりに苦労もありますが、でも新しいものを創る喜びは担当者にはあります。完成したらみんなから「そんなのができるんだ。そんな格好いいデザインなんだ」と褒められることも励みになります。
 しかしクレームサポートはまずお客さんからの「苦情ありき」の後ろ向きの仕事です。自分が開発したものならとにかく、先輩技術者や他社技術者が作った製品の尻拭いも少なくありません。そもそも同じクレームを自社開発環境で再現するまでが一苦労です。


 天狗会社はこうしてサポートのサービス力が落ちていき、小さいボヤだったクレームは炎上をつづけ大火事になります。そして天狗社長の知るところとなり、担当者に大きな雷となります。
「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!!」


 そうすると社内はどんどん萎縮した空気になります。もうクレームが起きても誰も部長に報告しません。そして部長もまた社長に報告しません。だってクレームがあると知らせると怒られるのは自分だからです。もう隠しおおせなくなるまでクレームは炎上しつづけます。その板挟みに耐え切れず優秀な営業マンが一斉にやめていくのでした。


 身近のIT会社が天狗になって、サポートサービス力の低下で、お客が離れていって業績が落ちるのを目の当たりにすると、本当にこわいことであると思います。クレーム対応とは後ろ向きの仕事でありますから、これこそが本当に社長など会社のトップが直接指揮するべきことであろうと思います。


 働いている現場とは忙しいものです。突然ふってくるクレーム対応はできればババ抜きとして誰かに押し付けたいと思う気持ちもわかります。だからクレームというババは、会社のトップが積極的に消化(昇華)していくべきものです。
 「こんなになるまでどうして放っておいたんだ!!」という言葉は絶対に社員に言ってはいけないでしょう。それは風通しの悪い経営陣の責任です。



 私が小さい会社の経営の体験で学んだことは、クレーム処理こそ儲けの源泉であるということでした。一見回り道のようですが、ここの丁寧さこそが売上にもっとも相関があるように思います。そしてもう一つ学んだことは、そのクレーム処理こそが、経営TOPが自分の手間暇をかけて行わなければならないということでした。


 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。


 この言葉は特にクレーム対応部門で、経営TOPが現場以上に一緒に汗をかくことが必要であることをあらわしていると思います。



おひさま、ありがとうございます。



下記は静止衛星軌道上で観測される太陽からの電子密度グラフです。急な変動がある場合は地震や事故に備えて防災意識を心掛けましょう。特に注意が必要な期間は、メールやTwitterで防災意識リマインダーを受け取ることができます。詳しくはこちら

無意識スーパーコンピューターオフィス。

2015-06-19 09:55:10 | まるぞう経営学
 うちの会社は本当に小さな会社でありますが、薄利多売でありますから仕事の数はたくさんあります。現場の担当者では決められないことはすぐに社長である私に相談があがります。



 「まるぞうさん、◯◯社さんがからカクカクシカジカという相談があがっていあます。どう答えたらいいでしょう。」
 「まるぞう社長、△△さんから、こういうクレームが来ています。どう答えたらいいでしょう。」
 「社長、例の件の見積りの回答は何と返事したらいいですか~。」
などなど、などなど


 社員のみんなは私にすぐ回答して欲しいと思うことでしょう。私はふむふむ。ふむふむ。ふむう。と聞きながら、「すみませんがその件、私にメールでもらえませんか?」とか、「その内容はもう一度私に転送してもらえませんか?」とお願いします。


 ええ~?と彼らの心の不満の声が聴こえるようです。今相談したから今答えてほしいのに。それをまたメールで送れって、本当に手間なんだけど。こちらだって忙しいのに。


 その社員たちの気持ちは良くわかります。しかし私は頭を下げてメールで送ってください。お願いします。そしていつまでに回答しなければをききます。と言います。
 「今日の午前中までに必要です。」「ふむふむ」
 「これは今日の午後いちです。」「ふむふむ」
 「明日までに回答が欲しいそうです。」「ふむふむ」
 社員のみなさんにメールを送らせるという手間をかけさせているわけですから、必ず締め切りは守ります。


 私は社長なのでみなさんにメールで下さいとお願いしていますが、お客さんから直接依頼されたことや、もし上司がいたとして上司から依頼されたとしたら、その場で自分あてにToDoメールを送ることでしょう。大切なことはメールでリマインドすることで一度問題を完全に忘れることができるということです。



 私の今までの社長業の経験から、その場で即決して答えたことはだいたい間違えていたことが多かったのです。うむ。なぜならばその場での回答とは、担当者の気持ちがその場に強く働いているからです。
 「この手間のかかる仕事はやらなくていいよと言ってほしい」
 「自分に非はない、お客さんに問題あると認めてほしい」
 「お客さんからのこの値引きはうけてほしい」
などなど。


 即断即決とはかっこいい経営者でありますが、私のスタイルではありません。お金や契約内容にからむことや、お客さんからのクレーム内容や、何となくきな臭さを感じる内容については、とにかく一度脳みそにインプットしてから一度忘れる時間を設けることが必要であるのです。うむ。


 うむ。事情はわかった、いつまでに回答がいるのかもわかった。だけど一度完全にそれを忘れる。ということが本当に大切であるのです。
 人間の脳にはスーパーコンピューターがあるようです。しかしそれは無意識という層にあると私は感じております。無意識のスーパーコンピューターに演算させるためには、一度表面意識では完全に忘れる必要があるのです。表面意識がいつまでも覚えていると、ぐるぐる漏電して無意識のスーパーコンピューターに手渡せない。という感じなのです。
 これは長い経験からの私のノウハウでありますが、あとから考えると、自分は無意識のスーパーコンピューターに答えをださせているのだなあ。と思い当たります。あくまでも個人的な経験則感覚です。
 一度完全に忘れます。自分は忘れていてもパソコンにはメールで届いて思い出させてくれますから、安心して完全に忘れることができます。



 さて運が良ければ行きつけの駅前スタバで、窓側の席に座ってパソコンが開けるかもしれません。そうでない場合は、移動中の電車の中で座ってパソコンが開けるかもしれません。あるいはお客さんのところに早めについて、相手の駅のホームのベンチか、相手のビルの受付の待合コーナーかもしれません。


 大切なことはここでは、大勢の雑踏の中でありながら、誰も私を知らないということです。思考の途中で誰も私に話しかけることはないということです。私はこの限られた時間の中で約束通り回答を終わらせるべく、ノートパソコンを開きます。私が答えなければならない案件がメールとしてメールボックスにたまっています。ふむふむ。確かにこれだこれだ。私の表面意識は内容を思い出します。ふむふむ。



 雑踏の中で一度忘れたメールを読んでいると、いろいろな周辺状況が浮かんできます。無意識のスーパーコンピューターで寝かせたせいでしょうか。先方の状況や都合が手に取るようにわかります。
 うむ。それではこのように回答してあげたらきっと先方は助けになるだろう。とか。
 うむ。先方はこちらの問題と思っているようだけどどうも誤解だなあ。サーバの△△の設定を一度調べてもらおう。とか。
 うむ。先方が出せる金額はどうも◯◯なんだな。だけど納期は融通できるけどうちからの金額回答がとくに今日中に必要なんだな。とかとか。とかとか。



 もしこれがシーンとした真っ白い部屋であれば、私はこのように集中できないかもしれません。誰も話しかけてこないけど、多くの人が目の前で行き交う雑踏が逆に私の表面意識を適度にそらしてくれているようです。座り心地の悪いベンチであるからこそ集中できるように思います。


 私に関していえば、恵まれた環境では脳の発想力は落ちると思います。忙しい中で締め切りに追われるとか、揺れている電車とか、雑踏の中の座りごこちの悪いベンチは実は、私の貴重なオフィスであります。まるぞう株式会社が潰れずに存続できている秘訣であります。


おひさま、ありがとうございます。


下記は静止衛星軌道上で観測される太陽からの電子密度グラフです。急な変動がある場合は地震や事故に備えて防災意識を心掛けましょう。特に注意が必要な期間は、メールやTwitterで防災意識リマインダーを受け取ることができます。詳しくはこちら