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リアリティのダンス/LA DANZA DE LA REALIDAD/THE DANCE OF REALITY

2014-07-20 23:37:23 | 劇場&試写★6以上

 

 

 アレハンドロ・ホドロフスキー監督、23年ぶりの新作

自身の過去を描いた同名の自伝を原作に、

ホドロフスキーらしさ溢れるイマジネーションとシュールなマジックで

ファンタジックな物語として紡ぎだした傑作


ホドロフスキーは語る

「人々を癒し、家族を映画中に再生し、私の魂を癒す映画」

 

 

ロシア系ユダヤ人としてチリに生まれ、

葛藤と苦悩を抱えたアレハンドロ少年が、

未来の自分(現在のホドロフスキー自身)に導かれ、本当の、今の自分にたどり着くまで。

 

 

 1920年代、ウクナライナから移民してきた両親と、軍事政権下のチリ、トコピージャが舞台で

故郷のチリ、トコピージャでロケを敢行。

通りや町は80年前と変わらなかったが、父親の店は火事で焼けたのでこの映画のために再建した。

 

また、作品の中では両親をも願望通りに描く事で夢を叶えている。

共産主義者で強権的な父を、独裁政権に反発して大統領を暗殺しに行く旅によって生まれ変わる姿を、

オペラ歌手志望だったが両親に反対され売り子になった母を、

一人だけセリフがオペラというアイディアによって夢を実現させた。

そこがまた面白いし、息子や夫を癒してゆくマリア様のような唯一無二の存在でもある

というのを強調することになった。

 

息子を自分の父の生まれ変わりだと信じていた息子に金髪巻き毛のカツラを被せ、

お父様と呼んでいた。母親、サラは実際オペラ歌手のパメラ・フローレス。

この胸でかすぎてそっち目がいくよーと思ってたけど

実際母親が胸が大きかったらしい 笑。

とにかくこの方のオペラ台詞がまた素晴らしく良い。

 

ホドロフスキーの少年時代。アレハンドロ少年役には

本作でデビューのイェレミアス・ハースコヴィッツ。

 

5人の息子がいるホドロフスキー、95年に三男のテオを亡くした。そのとき、自身のエゴも崩壊して

自分のためではなく今後は人のための映画を撮ろうと決めたという。

彼が亡くなってなかったらこの映画はなかったとも。

 

 3人の実の息子 長男のブロンティス・ホドロフスキーが

本作で父、ハイメを。 ホドロフスキー作「エル・トポ」では息子役。

 

 

アレハンドロ少年に瞑想を教える行者、には

ホドロフスキー作「サンタサングレ 聖なる血」にも主演で出演した息子、クリストバル・ホドロフスキー。

 

本作の音楽も担当するアナキスト役には末息子のアダン・ホドロフスキーが。

この方、ジュリー・デルピー監督作「パリ、恋人たちの2日間」にも出演してた。

 

 

 御歳85歳の鬼才、 その才能、健在。

 

 

 

9/10(92点)

 

 

23年撮らずについに出来た作品だけあって、期待した以上に素晴らしい作品だった

 お金は使わないとまわらない、というオープニングから始まり、

孤独と葛藤に心に闇を抱いていた優しいホドロフスキー少年が

厳格で抑圧的な父親に「男たるもの」と厳しく育てられた様が描かれ、

少年から次第に父親の心の旅へと変わっていく。

実際の父親は、厳格な父親のままだったのかもしれないけれど

この作品の中では、父は 死に直面したことと、妻の癒しと神の赦し

その後自らが選んだ運命によって様々な体験をし、人間的になっていく。

何もなかった自分に、見返りを求めない人々に出会うことでまるで悟りを開いたように、

感化され、自分が本来持っている弱さを認め家族に優しくなって戻ってくる。

 

展開も読めず、突拍子もないことをしてくれるシーンも多く

死に至る病原菌に教われた夫へ、妻はどういう対応に出るのかと思えば

突然の放尿。 クラゲに刺された時には放尿されるといいとは前にマコ様の映画で

ニコール・キッドマンがやっていて書いたけど、

夫を癒しで治癒するために 尿を癒しと考え 全てが流れて癒されて行くという

すごい展開にはただただ、圧倒。

それが妻の台詞が全部オペラになってるからこその違和感のなさ。

少年もまた、母親なりの方法で癒されていく。

まるで舞台をみているかのような錯覚にも。

 

当時の時代背景と絡ませて描かれていく途方もない旅に思える父親ハイメの武者修行。

かなり見応えがあって、たっぷり映画を観たというこの充実感と

観たあとで誰かと語りたくなる、そして不思議とラストの方では涙が溢れてしまうのでした。

 

ホドロフスキー自身が出演し、少年時代の自分に語っているシーンは数カ所でてくるけど胸が熱くなるような

素晴らしいシーンだった。

 

うーん。こりゃ今年のかなりの上位になりそうな印象深い映画。

ホドロフスキー作品、これまでもすごい印象を残す作品ばかりだけど

ぜひ気になる方には観て欲しい1本

音楽も素晴らしい

 

ホドロフスキー的、人生讃歌

 ホドロフスキー自身の心の旅。 果てしのないその旅はまだまだ続いていく  「リアリティのダンス」

 

映画『リアリティのダンス』予告編

1920年代、軍事政権下のチリ。幼少のアレハンドロ・ホドロフスキーは、ウクライナ移民の両親と北部の炭坑町トコピージャで暮らしていた。権威主義的な 父の横暴と、アレハンドロを自分の実父の生まれ変わりと信じる元オペラ歌手の母の過剰な愛の中で大きなプレッシャーを感じて育ったアレハンドロ。学校でもイジメに遭い、孤独で辛い日々を送る。そんな中、共産主義者の父は、独裁者のイバニェス大統領暗殺を企み、首都へと向かうが…

 

「人生の目的とは、自分の魂を昇華させること。私にとって映画は芸術だ。ビジネスである前に」

「人間の心の在り方を根本から変えたい」ーーーーアレハンドロ・ホドロフスキー。

 

 

 公式サイト 

LA DANZA DE LA REALIDAD    2013年   チリ・フランス   130min

7月12日より公開中~

 

 

今回出演の息子ふたりと。