『賢い人は金持ちにならない』
つつましく生きて、決して威張らない。
たくさんの財産を持たず、世の中で贅沢をしないのがいいことだ。
昔から賢い人で金持ちになったような人は滅多にいない。
(徒然草・第18段)
吉田兼好は中国の昔話にある「清貧の生き方」をしている人を2人紹介している。
許由(きょゆう)という人の話。
彼は財産も道具もないので、手で水をすくって飲んでいた。
それを見た人が気の毒がって、ひょうたんをくれた。
しかし、彼はそのひょうたんが風に吹かれて立てる音がうるさいと捨ててしまい、前のように手で水をすくって飲んでいた。
二人目は、孫晨(そんしん)という人の話。
彼は冬でも掛け布団がない。
ひと束のワラの上で眠り朝に片付けていた。
吉田兼好はこの二人に対してすがすがしいと賛辞を送っている。
「自分にとって必要なもの以外は持たない」
という姿勢に理想的な生き方を見たからだ。
また「生きていくために必要なものはこれだけだ」生きていくためにどうしても必要なものは衣食住だ。
飢えず、凍えず、風雨をしのいで、静かに生きる。
そして、病気を治すこと。
この四つにことを欠くのが貧しいということであり、それに恵まれていれば豊かというべきだ。
この四つの他のものを求めるのは贅沢だ。
それさえ得られれば何の不満もありはしない。
(徒然草・第123段)
私達はたくさんの広告をみて、あれもこれも欲しいと欲求してしまいます。
それが満たされないと不平不満を言います。
本当に欲しいものはこの四つだと決めつけてしまえばどんなに楽なことでしょう。
イエス様の教えも、お釈迦様の教えにもすべてを捨てた者を弟子として連れて行きました。
私はこれを書きながら気づかされています。
私は言葉の花束を身につけるだけで良いと。