リニア談合事件をトカゲの尻尾きりに終わらせてはいけない
2018-03-03
東京地検特捜部がリニア中央新幹線建設に関与した大手4社のうち、談合を認めた大林組と清水建設の幹部の逮捕を見送る一方で、大成建設と鹿島建設の幹部を逮捕した。
それが、報道されているように、逮捕した2社の幹部が証拠隠滅の疑いがあったからというのなら理解できる。
証拠を十分に固めた上で、関係者をすべて等しく逮捕すればいいだけの話だ。
しかし、自白したものと否認する者との間に差をつけるようでは司法取引だ。
日本ではいまだ司法取引は認められていない。
認められていない事をやるのは特捜の傲慢だ。
実際のところ、特捜幹部はこう語っているという。
「ゼネコン大手を互いに疑心暗鬼にさせ、(自主申告の)チキンレースに持ち込みたい」と(3月3日朝日)
いいだろう。
そこまで傲慢に言うなら、リニア談合の本丸であるJR東海にまで捜査を及ぼさないといけない。
その最高責任者は安倍首相の朋友である葛西敬之JR東海名誉会長だ。
ここまで大きな国策工事だ。
談合がないということはあり得ず、受注元のJR東海が何も知らないはずがない。
司法取引まがいのことまでして捜査した以上、国家ぐるみの談合の実態を明らかにしなければトカゲの尻尾きりだ。
それだけではない。
特捜がなすべき事は、安倍政権がらみの一連の疑惑がある。
リニア談合の次は、それら本丸疑惑の捜査が待っている。
今度のリニア疑惑捜査が、その露払いであればいくら厳しく捜査しても許される。
しかし、安倍政権がらみの一連の疑惑追及を断念して、そのガス抜きにリニア談合疑惑を厳しく追及するのであれば、特捜部もまた安倍政権に屈したということだ。
特捜部の本気度が試されるのはこれからである(了)